マスタングGT3導入第1号のプロトン、フォードと同時にポルシェも走らせる意向を明かす

2023年6月27日(火)14時30分 AUTOSPORT web

 今月9日にフランス、ル・マンで発表されたとおり、プロトン・コンペティションは、新型『フォード・マスタングGT3』の最初のカスタマーに選ばれた。しかしながら、クリスチャン・リードが率いるチームは、来季2024年もポルシェでのGTレースを継続する意向を示した。


 ドイツのチームは、WEC世界耐久選手権に導入される新しい“LMGT3クラス”で計画されているGT3プログラムに先立ち、2台のマスタングGT3を発注したが、チームのボスであるリードはSportscar365に対し、ポルシェとの長年の提携関係も維持したいと語った。


 プロトンはまもなく、WECとIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権の両トップカテゴリーに『ポルシェ963』を投入する予定だ。これに加えて、リードは“タイプ992”ポルシェ911 GT3 Rを4台注文していると述べた。


 WECのLMGTEアマで長年ポルシェ911 RSRを走らせてきたプロトンは、引き続きGTレースでポルシェを走らせることになる。


 フォードのカスタマーチームになることは、承認された各GT3メーカーが来シーズンふたつのLMGT3グリッドスポットを持つというルールを考慮すると、プロトンの賭けを広めるのに役立つ。ただし、同チームがGTEアマに代わる新カテゴリーで、ふたつのメーカーの代表になれる保証はない。


 ポルシェはハイパーカー(クラスに参戦しているLMDh)メーカーでもあるため、LMGT3への参戦が承認される見込みだが、2台分のグリッドスポットに対して複数のチームがエントリーを希望していると理解されている。


 プロトンもWECでポルシェ911 GT3 Rを走らせる可能性があるか、と尋ねられたリートは「それはマニュファクチャラー次第、ポルシェの決定次第だ。彼らがそれをどう対処しているかはわからない」と述べた。


 プロトンとフォードの提携は、チームとマルチマチックのパートナーシップから発展したもので、最近のGTEアマ・キャンペーンにはマルチマチックのスタッフやハリー・ティンクネル、セバスチャン・プリオールといったカナダのコンストラクターから派遣されたドライバーが参加している。


 マルチマチックはフォード・マスタングGT3の開発と製造に協力しており、来シーズンはウェザーテック選手権のGTDプロクラスに、フォードのファクトリーチームを送り込む予定だ。


「このクルマの最初の図面とコンセプトを見たとき、とてもクールだと思った」とリードは付け加えた。


「ル・マンに来てみるとフォードには素晴らしい歴史がある。私は何か違うことを試してみたかったんだ。このプログラムで何人かのカスタマーを走らせるというアイデアも気に入っている。完璧だよ」

プロトン・コンペティションの77号車ポルシェ911 RSR-19 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース


■ELMSでもマスタングGT3が走る可能性あり


 プロトンがWEC以外でフォードを走らせるのか、あるいは当初の2台体制からさらに拡大するのかは今のところ明らかになっていない。他のシリーズへの参戦について問われた彼は、「正直なところ、わからない」と答えている。


「顧客からの関心があれば、ELMSヨーロピアン・ル・マン・シリーズも選択肢のひとつだ。だが今のところ、最初のコミットメントはWECだ。なぜなら10月にエントリーを提出する必要があるからだ」


 ポルシェとのハイパーカーとGTEアマプログラム、フォードとの新しいGT3への取り組みに加え、プロトンはポルシェカレラカップ・ドイツにも参戦し、IMSAではウェザーテック・レーシングのメルセデスAMG GT3エボを走らせている。


■ル・マンでクラス3位獲得のGRレーシングがWEC継続に意欲


 プロトン・コンペティションとともに長年GTEアマクラスでポルシェ911 RSRを走らせてきたGRレーシングは、GT3ベースのレギュレーションに移行する来年もWECグリッドに残ることを熱望している。


 イギリスのチームはエントリーの割り当てを担当するポルシェと話し合いを続けているが、どのカスタマーチームが、あるいは何台がその指名を受けるかはまだわからない。


 GRレーシングは2016年からチームオーナー兼ブロンズドライバーのマイク・ウェインライトのためにGTEアマクラスに1台体制でエントリーしており、WECでもっとも長く続いているチームのひとつだ。


「現実問題として、私はそれを喜んでやっているが、エントリー枠を得られるだろうか? それは基本的にポルシェ次第だ」とウェインライトはSportscar365に語った。


「問題は、誰がやるかだ。多くのGT3チームが同じことをやりたがっている」


 GRレーシングのチーム代表を務めるオーウェン・デイリーは、ポルシェにGT3カーを発注しているとされるGRが、別のブロンズドライバーを加え2台体制でエントリーすることに前向きであると付け加えた。


「私たちには2台のクルマを持つという選択肢もある」とデイリー。


「チームとしてエントリーできるのであれば、1台でも2台でも走らせたい」

GRレーシングの86号車ポルシェ911 RSR-19 2023年WEC第4戦ル・マン24時間レース
フォード・マスタングGT3のコクピット
新型フォード・マスタングGT3の走行イメージ(リヤ)

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