F1第11戦木曜会見:母国で8勝を記録するハミルトンがジュニア時代を振り返る「いつかここでF1マシンに乗ると夢見た」

2023年7月7日(金)17時53分 AUTOSPORT web

 今季のF1ドライバー20人のうち、イギリス国籍保持者は、ルイス・ハミルトン(メルセデス)、ジョージ・ラッセル(メルセデス)、ランド・ノリス(マクラーレン)の3人だ。ただしタイ国籍のアレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)も、生まれ育ちはイギリスで、英語が母国語という意味では、イギリス人ドライバーと言っていいかもしれない。


Q:アレックス、シルバーストンはあなたにとって、非常に特別な場所とのことですが。
アルボン:そうなんだ。僕はこのすぐ近くで育ったし、レーシングライセンスを取得するためのテストもここで受けた。だからシルバーストンは、僕のレーシング・キャリアのまさにスタート地点だったと言えるね。運転の仕方も学んだよ。右足で何をするか、左足はどうとか、そんな質問もされたけど(笑)


Q:何と答えたんです?
アルボン:よく覚えてないけど、右足がゴー、左足がブレーキと言ったと思う。あとはフラッグの意味とかね。コースリミットについての質問はなかったなあ(笑)




Q:2018年のF2では、ここでフィーチャーレースを制しています。シルバーストンで速く走るために必要なことを少し教えてください。
アルボン:ここは高速コースの特徴が際立つ上に、風もとても強い。周囲が開けてるから、あらゆる種類の風が吹いてくるんだ。追い風と向かい風では、マシンバランスは大きく変わってしまう。なので向かい風のコーナーでは思った以上にペースが出なくて、逆に追い風では簡単に限界を超えてしまったり。本当に手こずることが多いね。


 ハミルトンはこれまでイギリスGPで8勝を挙げており、ジム・クラーク、アラン・プロストの5勝を大きく凌ぐぶっちぎりの最多記録だ。


Q:ルイス、シルバーストンで素晴らしい記録を持っていますが、この場所とのつながりを教えてください。
ハミルトン:ここは最高のグランプリコースだよ。僕がもっとずっと若かった頃、カデットレースで初めてここに来たのを覚えている。ブルックランズのあたりだったと思うけど、藁俵に突っ込んでレースを終えたのを覚えている。そして初めてF1を間近で見たのは、確か13歳か14歳かそこらだったと思うけど、フォーミュラ・ルノーでここに来た時だった。マクラーレンのガレージの後ろに立って、いつかはここで、このF1マシンに乗るんだと夢見たよ。その夢が叶って、2007年に初めてここでポールを獲ったときの観客の盛り上がりも、とてもよく覚えている。自分のクルマの音に混じって観客の声が聞こえたのは、おそらくあの時だけだったと思う。本当に特別な体験だった




 若い世代のF1ドライバーにとってハミルトンは、同じレースを戦うライバルであると同時に、伝説的な存在でもある。


Q:ハミルトンがあなた方にとって、そしてF1にとってどれほど重要な存在なのか、教えてください。
シャルル・ルクレール:F1を見て育ってきたなかで、ルイスは常にトップを走り、チャンピオンを争うドライバーの一部だった。それだけでなくF1の枠を超えて、さまざまなことにも挑戦している。彼がグリッドにいるのは素晴らしいことだ。このスポーツにとって、本当に素晴らしいことだと思う


角田裕毅:初めて彼を見たのは7歳のときで、富士で開催された日本GPでした。カート友だちが、レースの際にハミルトンレプリカのヘルメットをかぶっていたことも覚えています。それほどの存在だったから、彼と一緒にドライブできるなんて本当に夢のようです。残念ながら今はマシン差がありすぎて、フィールドで戦っているとは言えません。同じレースを走っているのに、そう感じられない。でもあの時から12、3年経って、彼と一緒にレースしているなんて間違いなくクールなことです。今でもサーキットで彼を見るたびにワクワクしますし、一緒に走ることが本当に光栄です

2023年F1第11戦イギリスGP FIA会見 左からシャルル・ルクレール(フェラーリ)、エステバン・オコン(アルピーヌ)、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)、角田裕毅(アルファタウリ)


 この週末のシルバーストンは、ハミルトンが共同プロデューサーを務めるF1映画の撮影が行われることでも話題だ。


Q:いよいよ撮影が始まりましたが、さぞ興奮していることと思います。あなたはこの映画に、具体的にどう関わるのでしょう。
ハミルトン:以前すでに話したこと以外は、特にないかな。(架空チームのために特設された)ガレージも、まだ見に行っていないしね。ただオーストリアの1、2週間前に、ここでブラッドの練習を見ていたよ(注:主演のブラッド・ピット)。すごくエキサイティングだった。ようやく今週末から撮影が始まるということで、自然と緊張が走る。みんなにこの映画を気に入ってもらいたいし、このスポーツの本質が凝縮されていると感じてもらいたい。それが僕たちの目標だ


Q:ブラッドに何かドライビングのヒントを与えたとか?
ハミルトン:いや、ウォールの外側で見ていただけだよ


Q:彼の走りは印象的でしたか。
ハミルトン:全開で走っていたね。実は以前、ロサンゼルスのサーキットで1日一緒に走ったことがあってね。レース経験がないのに、鋭い目を持っていると思った。MotoGPを見るのが大好きで、レース好きだから、ライン取りのコツは十分に掴んでるんだろうね。そして見事に、それを実践していたよ


Q:F1側が映画撮影にこれだけオープンな姿勢を見せるのは、本当に素晴らしいことだと思います。11番目のチーム用に、実際のガレージを設けたこと、F1がこのプロジェクトを受け入れてくれたことに、あなたはどれほど満足していますか?
ハミルトン:本当に感謝している。旧経営陣がいた10数年前に、このようなことが可能だったかどうかはわからない。おそらくこのスポーツの成長という点で、これが重要な一歩だとは思わなかっただろうね。でも今の僕たちはNetflixの素晴らしい仕事と影響力を見てきたし、この映画はそれを超える新たな高みへと導いてくれると思う

2023年F1第11戦イギリスGP 映画の撮影のために走行する『APXGP』のマシン
2023年F1第11戦イギリスGP 映画の撮影のために設置された『APXGP』のガレージ

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