新型LMDh『ランボルギーニSC63』は8月からテストを開始。レースデビューはWEC開幕戦を予定

2023年7月13日(木)18時57分 AUTOSPORT web

 ランボルギーニのモータースポーツ活動を担うスクアドラ・コルセのボスであるジョルジオ・サンナは、7月13日(木)に世界初公開された新型プロトタイプカー『ランボルギーニSC63』における、開発プログラムの次の段階について説明した。


 木曜日にグッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)でワールドプレミアされた3.8リットルV8エンジン搭載車は、ホモロゲーション取得と大規模なテストプログラムの後、来年3月にカタールで行われるWEC世界耐久選手権開幕戦でレースデビューする予定だ。


 サンナによると、完全自社設計のエンジンは現在2カ月間ダイノに設置されており、マシンの初公開に先立ち、屋内でのテストに重点を置いているという。


「現時点では、これまでに見えてきた結果に満足している」と彼はSportscar365に語った。


「我々にとってプロトタイプはもちろん初めての経験だ。しかし、この1年でスクアドラ・コルセの能力と組織力は大きく成長した。その間には、私たちと協力して仕事に付加価値を提供する数人のキーパーソンを連れてきた」


「開発の面でも新しい哲学があった。私の考えでは、それは新しいGTカーの開発においても、将来に向けてより多くの経験を与えてくれる思う」


「トラック(サーキット)でのテストは8月初旬に開始する予定だ。しかしトラックに行く前には、初めて屋内で非常に長く集中的なテストプログラムを実施した。この2カ月間、パワートレイン全体をテストするダイノでのシミュレーションと、耐久テストのシミュレーションを行ってきたんだ。また、ローリングシャシー全体を使ってダイノテストも行った」


「基本的にクルマの後ろの部分(パワートレインや駆動系の開発)については室内で行う。アスファルトの上を走り始める時には、すでにかなりの部分が終わっていて、すぐにパフォーマンスと耐久テストに集中することになるだろう」


 ランボルギーニは、2台のテストシャシーと2台のレースカーを製作し、前者はヨーロッパでテストプログラムを開始した後、10月にアメリカに移動する予定だとサンナは語った。


 これにはアメリカ・フロリダ州のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで、今年12月に行われるIMSAのテストへの参加も含まれる。このテストはウェザーテック・スポーツカー選手権への参戦を希望する新しいLMDhメーカーには義務付けられているものだ。


 ランボルギーニSC63の北米デビューは、現在のところ3月のセブリング12時間まで予定にない。つまり開幕戦デイトナ24時間をスキップすることになるが、これについてサンナは準備が間に合わないことを理由に挙げた。


「我々はホモロゲーション・プロセスに関して必要なことを行い、可能な限り多くのデータを収集するつもりだ」とサンナ。


「しかし、今日、『デイトナに出る準備ができている』と言うのは時期尚早だ。現時点では(デイトナへの出走は)予定されていない」


「テストはひとつのことで、24時間を走るというのはまた別のことだ。レースカーを生産する能力の問題もあるし、スペアパーツの問題もある。また、レースに出るためにはマシンの能力だけでなく、組織全体の準備が必要なんだ」

ランボルギーニSC63は、来季2024年のWEC世界耐久選手権とIMSAウェザーテック・スポーツカー選手権のミシュラン・エンデュランス・カップへの参戦を予定している


■リジェとの単独提携のメリット


 サンナは、フランスのLMP2/LMDhシャシーコンストラクターであるリジェ・オートモーティブと協力することにメリットを感じていると語った。


「私たちはリジェと共同デザインのようなかたちで多くの仕事をしてきたが、ランボルギーニ・スクアドラ・コルセの関与は非常に深く、これは最初から意図していたことだった。能力とノウハウを創造すること、それが私たちが行っていることなんだ」


「コンストラクターが我々だけに集中していることは、確かに有利と言える。これはすでに私たちにいくつかの利点を与えている」


「私たちは意思決定をより柔軟かつ迅速に行い、より良いサポートを受けることができるのだから(この先も)プログラムに沿ってさらなる利点もあると考えている」


■LMHとLMDhがより公平性を持つことに期待


 LMH(ル・マン・ハイパーカー/WECの規定)車両がWEC開幕5連勝を飾った一方で、サンナはFIA国際自動車連盟とACOフランス西部自動車クラブが来年までにハイパーカークラスにおけるプラットフォーム間のバランスをより近づけると考えている。


「現時点では、(LMHとLMDhの)バランスが取れているとは思えない」


「しかし、技術的な観点から見てまったく異なるふたつの(プラットフォームの)クルマで性能のバランスを取ることがいかに難しいかは理解している」


「それでも、私はベストで真に公平なBoP(バランス・オブ・パフォーマンス)を完成させることは可能だと信じている。正直なところ、最初のレースからル・マンまで、私はレースごとに(BoPの)進歩と改善を見てきた」


「ル・マンはおそらく最高のBoPだっただろうと思うが、我々がより良いものを期待しているのは明らかであり、それは時間の問題だ」


「シーズン終盤には、プロモーターがすでに良い結果にたどり着いていると確信している」

SC63は、現在GT3カテゴリーでランボルギーニを走らせているプログラムパートナーのアイアン・リンクスとともに作られたチームによってオペレートされる
ランボルギーニSC63はダニール・クビアトやロマン・グロージャン、ミルコ・ボルトロッティ、アンドレア・カルダレッリらによってドライブされる

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