インディカー第12戦アイオワ/オーバル強者ニューガーデンがダブルヘッダー2連勝。佐藤琢磨はウォールにヒットし25位

2023年7月24日(月)11時49分 AUTOSPORT web

 7月23日、ダブルヘッダーレースとして行われるNTTインディカー・シリーズ第12戦アイオワの決勝レース2がアメリカ・アイオワ州アイオワスピードウェイで行われ、ジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)が優勝を飾った。


 チップ・ガナッシ・レーシングから参戦する佐藤琢磨は13番手からスタートしたが、141周目にウォールにヒットし25位でレースを終えている。


 ニューガーデンがアイオワでのダブルヘッダー制覇を達成した。


 今シーズンのこれまでのオーバル4戦で全勝、昨年のセントルイスでのレースも合わせるとオーバルレースで5連勝という驚異的な成績だ。


 さらに、今回の2連勝によりニューガーデンのアイオワスピードウェイでの勝利数は6勝となる。


 今回のレースで3位表彰台を獲得した、ポイントリーダーのアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)とニューガーデンは今シーズンの勝ち星で並び、ポイント差もトロントでの第10戦終了時点の126点から80点へと大きく縮まることになる。


 残るは6戦、ニューガーデンはキャリア3回目のシリーズチャンピオンに向け、ここから猛チャージを仕掛けることとなるかもしれない。


 2位となったのはウィル・パワー(チーム・ペンスキー)。土曜日午前の予選では驚速アタックを披露し、2日連続ポールポジションからのスタートだったが、今年もアイオワでの勝利を手に入れることはできなかった。


 ただ、パワーの健闘によりチーム・ペンスキーにとっては、2日連続での1-2フィニッシュを達成。シボレーエンジンにとっても1、2位独占となった。

ポールポジションからスタートするウィル・パワー(チーム・ペンスキー)


 昨日はパト・オワード(アロウ・マクラーレン)が3位に入り、表彰台はシボレー勢によって独占された。


 しかし、今日はそれをパロウが阻止した。予選12番手だった彼はレース序盤にはポジションをなかなか上げられずにいたが、2回目のピットストップ以降にペースを上げて5番手までポジションアップ。


 そして、最後のリスタートで2台をパスして表彰台に手を届かせた。


 ゴール間際のイエローコーションに際してフレッシュタイヤを採用し、大逆転を狙う作戦に出たチームもあるなか、パロウと彼のチームはコース上に止まった。その判断は正しかった。


 ただ、ニューガーデンの速さは他を圧倒していた。


 昨日はレース中盤から失速気味となり首位を守れなかったパワーは、その対策を施したマシンでトップを走っていたが、今日は31周目にニューガーデンにパスされてしまった。


 しかし、昨日のパワーがそのままズルズルと順位を下げたのに対し、今日はレース後半になってからスピードを上げるパフォーマンスを見せた。


 そこにはアイオワでの勝利を強く欲する彼の気持ちが現れていたが、それでも前を行く後輩チームメイトのスピードにはまったく歯が立たなかった。


 ニューガーデンは、コースのどこを走っていてもライバル勢より一段高いグリップを得ているようで、ラインを自在に変えながらトラフィックをすいすいと処理してマシンを走らせ続けた。

リスタートでも落ち着いた走りを見せたジョセフ・ニューガーデン(チーム・ペンスキー)


 ニューガーデンはレース後、「自分たちのマシンが今日も強いであろうことはわかっていた。大きなプレッシャーも感じたよ。けれど、それは自分たちが自らかけたプレッシャーでもあった」


「何としても好結果を残したい。勝って最高の週末にしたいという気持ちが強かったんだ。そして私たちは勝った。とても良い気分だよ」


「チャンピオンシップをかけたアレックス(パロウ)との戦いが今後も続く。彼は素晴らしいドライバーで、チームも強力だ。しかし、自分たちがタイトルを手にできることを願っている」


「何が起こるかは誰にもわからない。インディカーシリーズでは変化は急激に起こる。シーズン後半戦が楽しみだ」と語った。


 3位に入ったパロウは、「今日は表彰台に上れてとてもハッピーだ。序盤はハンドリングで苦しんでいたが、ピットストップのタイミングを早める作戦が成功してポジションを大きく上げられた」


「ピットストップも素晴らしく、チームのみんなが僕をより上のポジションへと押し上げてくれた。そして、最後に最高のリスタートを切れたことで僕らはトップ3フィニッシュとなった」


「チームのパフォーマンスが良かった。彼らを誇りに思う。大勢のファンが集まってくれたアイオワで、表彰台に上がれたことを嬉しく思う」とコメントした。

1度はラップダウンにされたものの追い上げて3位を獲得したアレックス・パロウ(チップ・ガナッシ)


 昨日のレースを9位フィニッシュだった佐藤琢磨(チップ・ガナッシ)は、朝のプラクティスで2番手タイムを記録。


 第11戦の課題に対して改良を施したマシンセッティングを試し、それが良い感触に繋がった様子。


 13番手スタートとなるレースでも、今日は序盤から順位を上げて行く戦いが期待されたが、スタート直後から逆にポジションを落としてしまった。


 コンディションはプラクティス時とまったく違い、マシンはリヤの安定しない状況になっていたためだ。


 暑くなったコンディションに対する調整が不十分だったのか、レース中に行えるセッティング変更や、フロントウィングとタイヤの内圧調整だけでハンドリングの不調に対処するのは難しかった。


 数度導入されたイエローコーションにも助けられ、琢磨は何とかリードラップに留まり続けていたが、2回目のピットストップの後にコースコンディションの変化からかハンドリングは更に悪化。


 コースを取り囲む壁に右後輪を接触させてしまい、サスペンションが曲がってしまったために4ラップの遅れを取ってしまった。


 その後はレースに戻り完走は果たしたものの、結果は25位フィニッシュとなった。


「自分たちにとっては非常に厳しいレースになりました。今朝のプラクティスでのマシンはバランスが良く、安心して走れるマシンになっていました。今日は、周回数を重ねてもタイヤのグリップが下がらないだろうと思えるマシンでした」


「ところが、レースがスタートした途端、状況が完全に違っていたことに気づきました。なんとか頑張り続けていたんですが、3番目のスティントでマシンのハンドリングが一気に悪くなり、右リヤを壁にヒットさせ、サスペンションを曲げてしまいました」


「朝のプラクティスと同じ速さをレースで見せられなかったことが本当に悔しいですね。表彰台に上ったアレックス・パロウに心からおめでとうと言いたいと思います」


「チップ・ガナッシ・レーシングは今日も非常に力強く戦っていましたが、自分は期待する結果を残せませんでした。それが非常に残念です」


「しかし、今週末の私たちは多くのことを学んだので、こうした情報のすべてを活かし、今シーズン最後のオーバルレースとなるセントルイスで戦いたいと思います」と琢磨はレース後に話していた。


 次戦のインディカー第13戦は、8月5〜6日にナッシュビル市街地で開催される。

ペースが伸びず苦しいレースとなった佐藤琢磨(チップ・ガナッシ)

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