インディカー第13戦ミド・オハイオ:第2のホームでホンダが表彰台独占。ディクソンが王者争いに踏みとどまる

2019年7月29日(月)16時3分 AUTOSPORT web

 インディカー・シリーズ第13戦ミド・オハイオの決勝レースが28日に行われ、8番手からスタートしたスコット・ディクソン(チップ・ガナッシ)が今シーズン2勝目を挙げた。


 17番手スタートの佐藤琢磨(レイホール・レターマン・ラニガン・レーシング)は、オープニングラップでアクシデントに巻き込まれると、イエローが入らないノーコーションのレースでは挽回できず19位で終えた。


 インディカー・シリーズ第13戦はミドオハイオ・スポーツカーコースで行われるホンダ・インディ200アット・ミド・オハイオ。全長2.248マイルのテクニカルなロードコースでのウイークエンドは、前週のアイオワとは打って変わって3日連続で快晴に恵まれた。


 シボレーはロードアメリカで行うはずだったマニュファクチャラーテストが雨によるコース冠水でキャンセルとなったため、ミド・オハイオで全ユーザーを招いてのテストを行なった。ホンダには今年のマニュファクチャラーテストデイはもう残っていない。


 ドライコンディションでのプラクティス3回の後に行われた予選では、ウィル・パワー(チーム・ペンスキー)がポールポジションを獲得。


 マニュファクチャラーテストの効果か……と言うと、そう断言できるものでもなかった。2番グリッドはホンダユーザーのアレクサンダー・ロッシ(アンドレッティ・オートスポート)が獲得。シボレー勢でチャンピオン争いの真っ只中にいるジョセフ・ニューガーデンとシモン・パジェノー(いずれもチーム・ペンスキー)、彼らはいずれもロッシの後ろの予選3、4番手だった。


 ホンダが第2のホームコースとして重要視して来ているミド・オハイオでは、ホンダエンジンを使うドライバーたちがテストなしの不利を乗り超えて奮闘した。


 ロッシを含めた3人が予選ファイナルに進出したのだ。セバスチャン・ブルデー(デイル・コイン)が予選5番手、フェリックス・ローゼンクヴィスト(チップ・ガナッシ)が予選6番手となった。


 予選ファイナルに進めなかったホンダ勢でも、コルトン・ハータ(ハーディング・スタインブレナー・レーシング)、スコット・ディクソン、ジャック・ハーベイ(メイヤー・シャンク・レーシング・ウィズ・ASPM)、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)、ジェイムズ・ヒンチクリフ(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)、マーカス・エリクソン(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)が予選7〜11番手を占め、ペンスキー包囲網を作り上げた。


 シボレー軍団のエド・カーペンター・レーシング、AJ・フォイト・エンタープライゼスらは、3回のプラクティスで光る走りを見せることもあったが、テストを行ったメリットを活かして、予選で確かな結果を掴むことはできなかった。


 ミド・オハイオに最も近い大都市コロンバスが地元のレイホール・レターマン・ラニガン・レーシングも、佐藤琢磨、グラハム・レイホールともにマシンセッティングを仕上げれきれず、好パフォーマンスを見せることはできなかった。


 まだまだチャンピオン争いの行方はわからない……とは言え、ランキング4位のディクソン、5位のパワー、6位の琢磨にとっては、ミド・オハイオは“優勝するしかない”レース。


 これが終われば残るは4戦で、最終戦ラグナセカがダブルポイントだとはいえ、今回大きくポイント差を縮めることができなかったら、もうタイトル獲得のチャンスはほぼ消滅すると考えられていた。


 そんな状況下でポールポジションがパワー。逆にディクソンは予選ファイナルを逃して予選8番手。パワーにチャンスがあり、ディクソンは絶望的という見方がされていた。

パワーを先頭にレースはスタート


 ところが、実際にレースを行うとパワーはスタートからスピードが伸びず、反対にディクソンはブラックタイヤでのスタートという作戦が正解でファーストスティント終盤に2番手まで順位を上げ、ピットで新品レッドを装着するとライバル勢を突き放すスピードで大量リードを築き上げた。


 パワーをはじめとするペンスキー勢だけでなく、ロッシまでもがスピードを欠いていた。レースで最も生き生きとしていたのはチップ・ガナッシ・レーシング勢。最後は彼ら同士のバトルとなり、ファイナルラップにルーキーが5度のチャンピオンに猛アタック! しかし、ディクソンが巧みなドライビングでしのぎ、シーズン2勝目を挙げてタイトル争いに首をつないだ。


 さらに、ライアン・ハンター-レイ(アンドレッティ・オートスポート)が3位でゴール。ホンダドライバーたちによる1-2-3フィニッシュ、表彰台独占が達成された。

ライバルたちを圧倒するレースペースをみせたスコット・ディクソン

ウィル・パワーを交わすフェリックス・ローゼンクヴィスト


 ニューガーデンは最終ラップにハンター-レイにかなり強引な攻撃を仕掛け、それが失敗してコースアウト。4位フィニッシュのはずがリタイアで14位。まさか、手堅いニューガーデンがこのようなミスをするとは……。


 ランキング4位のディクソンが優勝し、ランキング3位のシモン・パジェノーは6位、ランキング2位のロッシは5位。残り4戦でポイント上位の4人が62点の中に収まる混戦となった。


「最後は凄い事になった。フェリックス・ローゼンクヴィストがチームメイトでなかったら、コースから弾き出されていたと思う。彼はフェアに戦ってくれた。今日の自分たちは作戦が少し攻撃的過ぎた」


「終盤に2セット目のレッドタイヤを投入したが、あれは僕の判断ミスだった。なんとか最後まで持ってくれたが、グリップがなくなってラップタイムは大幅ダウン。優勝できてうれしいよ。さらに勝利を重ねたいね」とディクソンは語った。

序盤のアクシデントで厳しいレースとなった佐藤琢磨


 佐藤琢磨は、17番手スタートから19位フィニッシュとなった。スタート直後の左コーナーでマーカス・エリクソン(アロウ・シュミット・ピーターソン・モータースポーツ)と接触。両者ともタイヤパンクで大きく後退した。


「十分なスペースがあったが、アウト側でジェイムズ・ヒンチクリフが減速し、その後ろにいたエリクソンが急激にインサイドに切り込んできて、避けられなかった」


「左フロントタイヤがパンクし、サイドポッドにもダメージ。次のコーナーでコースオフした。すぐピットしてタイヤを交換。そこからはトップグループより速いペースで走りました」


「しかし、コースオフした時に飛び込んだ石などが燃料給油システムにトラブルを引き起こしてしまった。ピットで給油をしても90パーセントぐらいまでしか燃料が入らなかった」


「レースは昨年と同じでフルコースコーションが一度も出なかった。おかげで僕らはライバル勢より一度多いピットストップが必要になって19位でのゴール。次のポコノは毎年良い入りができているコース。今年はインディ500、テキサスと高速コースで速さを見せているので、今度こそ良いレースを戦い、好成績を挙げたい」と琢磨は語った。


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