広島の新スタジアムは全席屋根付き、“選手目線シート”など座席42種類…建設見学の青山敏弘「僕らの夢ができる」

2023年7月31日(月)11時51分 サッカーキング

サンフレッチェ広島の男女両チームが新スタジアム建設現場を訪問 [写真]=湊昂大

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 新スタジアム『エディオンピースウイング広島』の完成まで約5カ月。建設が進むスタジアムの中央に立ったMF青山敏弘は、「いよいよ僕たちの夢ができるんだなと実感した」と感慨深そうに話した。今年12月の完成に向けて、“夢の舞台”が着々と形づいている。

 サンフレッチェ広島とサンフレッチェ広島レジーナの選手、コーチ陣らと久保允誉会長が7月27日、建設中の新スタジアムを訪問した。ピッチや観客席などを見学し、スタジアムの概要や工事について説明を受けた。初めて新スタジアムの内部に立った青山は、「思った以上に高さがあってすごく広く感じたので驚いた。早く試合をしたいし、ピッチに立つ姿をイメージしながら見ていました」と心躍らせていた。

 男子チーム主将のDF佐々木翔は、「やっぱりここ(ピッチになる場所)に立つと感動しますし、このスタジアムで試合ができるんだなと想像しました」と話し、女子チーム主将のDF近賀ゆかりも、「観客席がすごく近いのを一番に感じて、ワクワクする気持ちになった」と期待を膨らませる。

 広島の新スタジアムは市内中心部に位置する中区基町に建設中。市街地にある原爆ドームからは徒歩で約10分、最寄りのJR新白島からは徒歩で約15分と、郊外にあるエディオンスタジアム広島(Eスタ)と比べてアクセスは格段に良くなる。収容人数は約2万8500人で、一般のシートは快適性や出入りのしやすさを追求してオリジナルのものを設計。大型ビジョンは国立競技場と同じ規模のものが完備され、最新の音と光の演出を行う設備もあるという。バラエティ豊富な座席も用意され、よりエンターテイメント性の高いスタジアムになる。

 大きな売りであるピッチと観客席の距離は約8メートルの近さで、選手とサポーターの距離感が格段と縮まる。青山は、「僕たちの目線がサポーターの方の目線と同じなので、同じ感覚で一緒に試合を戦ってくれると思う」と話し、佐々木は、「より僕らのプレーを近くに見てもられるし、僕らも観客やサポーターの方たちの顔が見られるので、より一体感を持って試合ができる」とコメント。近賀も、「みなさんと一緒に戦っているという感じがあるし、本当にモチベーション高くできると思う」と喜んだ。

 利便性の高い新スタジアムを中心にマッチデイの過ごし方も変わりそうだ。佐々木は、「(サッカー観戦は)エンターテイメントの1つだと思うので、みなさんに楽しんでいただいて、そこから地域の方たちにもいい影響があればと思う」と街中スタジアムへの期待を込める。「見にきてくれた方たちがサッカーをつまみにお酒を飲んだり、楽しんだりしてもらえることが一番。サッカーを見に来て帰るだけではなく、街に出て友達とコミュニケーションを取るような温かさのあることも生まれると思うので、そういうところも楽しんでほしい」

 クラブは多彩な楽しみ方を提供していく。7月21日、新スタジアムにおける2024シーズンのチケット概要発表会見を行い、サンフレッチェ広島の仙田信吾代表取締役社長、柳原弘味企画統括部長、企画広報部の石井奏大さんの3名が出席。チケットの概要や新スタジアムの魅力について説明した。

 クラブはチケット設定において、「様々な観戦体験を。何度でも、来たくなる。」をテーマに掲げる。360度のコンコースは誰でも自由に一周でき、座席もバラエティ豊富なため様々な視点や環境で観戦を楽しめる。醍醐味の1つである飲食では、選手コラボや世界グルメのメニューなどを開発中だという。企画広報部の石井さんは、「お客様ご自身で魅力を見つけていただいて、さまざまな観戦体験をしていただきたい」と話した。

 新スタジアムの販売座席数は2万8500席で、全ての席が屋根付き。座席の種類は国内最大規模の42種類になる。チケット料金は、一般価格(前売券)で最安2700円〜最高1万2000円。小中高生の価格(前売券)で最安900円〜最高1500円に設定されている。また、2024シーズンからはJリーグチケットサイトでの販売を行わず、クラブ独自の販売サイト「サンフレチケット」を運用する予定。チケットは現地での当日券購入を除き、すべて同サイトで販売するという。

 仙田社長は、「多くの席が今のエディオンスタジアムに比べて少し値上げになりますが、一方で今より安くなる席も用意し、お買い求めいただきやすい工夫もしています。チケットの発券も利便性を考慮した先進的なシステムを導入いたします。日本で初めて、本格的なサッカースタジアムが市街地中心部にでき、そこからサッカーの感動をお届けしてまいります」と語った。

 座席の種類は、現在使用しているEスタの9種類から大幅に増える。実際にクラブスタッフが定期的に建設中の新スタジアムに足を運び、ピッチの見え方などを確認しながら設定したという。柳原企画統括部長は、「場所によって見え方が変わるのに同じ料金はいかがなものかと思って細分化した。お客様には値段やニーズに合った選択をしてほしい」と説明した。

 座席は車いす席を含む通常シートが23種類、VIP・ボックス・プレミアムのシートが6種類、バラエティシートが13種類の計42種類。1層目のメインスタンドとバックスタンドの一部には、音声の聞こえを補助する集団補聴席が約900席用意される。そのほか、世界基準を掲げるラウンジもあり、キッズルームやセンサリールームも設置される。

 通常シートの中で特徴的なのは、1層目のメインスタンドとバックスタンドの最前列から3列目までに設けられる「プレイヤーズアイシート」。ピッチとスタンドの近さを生かし、“選手目線”の臨場感を最大限体感できる。ベンチすぐ裏の座席は「プライムシート」と名付けられ、一般価格(前売券)で最高値の1万2000円。なお、ベンチはEスタのものを移設する予定で、新スタジアムではホームベンチとビジターベンチの位置がEスタと左右逆になる。

 バラエティシートは、1人でも複数でも利用できる「カウンターシート」や、大人数で楽しめる「パーティーテラス30」など多彩な座席が用意されている。座席の価格は一律4000円。名称についている数字は、利用人数を表し、「バルコニー6」だと6人、「パーティーテラス30」だと30人で試合観戦を楽しめる。バラエティシートの各座席の詳細は後日、ホームページにて公開される。

 女子チームのサンフレッチェ広島レジーナについては、2023−24シーズンの後半戦から新スタジアムを使用する予定のため、チケットの詳細は日程などが決まり次第発表される。今回発表されたチケットの中では、部屋単位で販売する「プレミアムスカイボックス」のみレジーナのリーグ戦も観戦可能だという。

 これまでのシーズンパス(個人)と年間指定席(法人)は、2024シーズンから個人、法人ともに名称を「シーズンチケット」に変更。シーズンチケットは来季からJリーグ各カテゴリーのクラブ数が20に統一されるためホーム戦19試合分に増える。シーズンチケットの購入は、2023年のシーズンパスと年間指定席の購入者を対象とした先行受付が9月から始まり、新規の受付は11月から開始される。

 シーズンチケットの購入者には座席情報が刻まれた記念プレートやペンライトなどが特典として贈られる。スタジアムでは光や音での演出を検討中で、観客はペンライトなどで演出に参加できるという。石井さんは、「皆様にも光の演出にご協力していただき、スタンドを紫に染めるような景色を皆さんと作っていきたい」と期待を込めた。

 広島の新スタジアムは2021年2月に着工し、進捗は約65パーセント(7月21日時点)。今年12月に完成する予定で、来年2月にオープンする。

取材・文=湊昂大

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