【ACLラウンド16展望|大邱FC】躍進のカギを握る“ブラジル人トライアングル”と“東京五輪世代”

2021年9月14日(火)16時30分 サッカーキング

[写真]=Getty Images

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ACLで快挙も国内リーグでは苦戦
 2019年シーズン以来2度目となるAFCチャンピオンズリーグの舞台に臨んだ大邱FC。徹底した堅守速攻でJ1リーグを独走中だった川崎フロンターレさえも苦しめ、グループリーグを4勝2敗の2位で突破し、クラブ史上初の決勝トーナメント進出を決めた。

 川崎との対戦では2試合とも敗れたもの、少ない手数で一気に敵陣ゴール前まで迫るカウンターは脅威だった。1戦目の第1節(2-3)では先制点を含めリードを2度奪うなど川崎に迫り、2戦目の第5節(1-3)はハットトリックを決めたFWレアンドロ・ダミアンの前に沈んだが、1戦目で痛恨のPK失敗を犯したFWエジガルの得点で一時同点に追いつく粘り強さも見せた。

 ただ、ACLグループリーグでの善戦ぶりが嘘かのように、Kリーグでの大邱FCは苦しい戦いが続いている。

 まず、ACLグループステージを終えて帰国後の検査でチーム内に新型コロナウイルス陽性者が発覚したことにより、全選手とスタッフが2週間の隔離を強いられた。これによってコンディション調整に困難をきたし、活動再開となった8月以降のリーグ戦では負傷者が続出。この間には絶対的エースのFWセシーニャも無得点と沈黙し、チームは5連敗を喫して一時Kリーグ1(1部)12チーム中7位にまで落ち込んだ。

 ホームで迎えた8月最終戦で降格圏内の城南FCに勝利し、待ちに待った後半戦初勝利を手にしたが、現在指摘されているのはFWセシーニャへの依存だ。実際、チャンスメイクからフィニッシュまでを担うセシーニャの存在は絶対的なもので、セシーニャがハムストリング負傷のため欠場した9月最初のリーグ戦では、決め手を欠いてスコアレスドロー。チームを率いるイ・ビョングン監督も、「決定的な部分でセシーニャとエジガルが占める割合は大きい」と依存度の高さを認めている。

 とはいえ、ひとたび試合に出場すればセシーニャとエジガルの2人が破壊力を発揮することに変わりはない。また、今夏には新たなブラジル人選手のMFブルーノ・ラマスが加入。広い視野と左足からの鋭いキックを持ち味とするラマスをトップ下に据え、セシーニャとエジガルを2トップで起用する“ブラジル人トライアングル”が組まれている。
東京五輪世代の活躍にも要注目
 ACLグループステージを欠場した東京五輪世代の選手たちにも注目したい。大邱FCから3人がU-24韓国代表メンバーに選ばれたなかで、DFキム・ジェウは8月上旬に膝の内側靭帯を痛めて戦列を離れているが、MFチョン・スンウォンとDFチョン・テウクはともに主力としてチームをけん引している。

 韓国屈指のイケメン選手として知られるチョン・スンウォンは、正確なキックや優れたスピードに加え、激しいアップダウンにコンタクトプレーもいとわないハードワーカー。主戦場は右ウィングバックだが中盤をこなすこともでき、状況に応じてポジションを変えられるマルチロールな選手だ。

 東京五輪全4試合フル出場のチョン・テウクは大邱FCの守備の要。194センチ92キロの体格を誇り空中戦にめっぽう強いセンターバックで、彼の高さを活かしたセットプレーは一つの得点パターンでもある。

 史上初めて挑むことになるACL決勝トーナメント。アウェーの豊田スタジアムで迎える名古屋グランパスとの1回戦が、大邱FCにとって大一番であることは間違いない。韓国で4年目のシーズンを戦う日本人MF西翼としても、この試合にかける思いは大きいはずだ。

 初出場の2年前はグループステージで涙を飲んだが、今季はひとまず“2度目の正直”を果たすことができた。今度はクラブがまだ見ぬ準々決勝の舞台に足を踏み入れることができるか、敵地での戦いぶりに注目したい。

文=ピッチコミュニケーションズ

サッカーキング

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