なおも際立つ羽生結弦の存在感 世界初の4A成功17歳が「刺激を受けた」と話す「尊さ」
2022年9月16日(金)17時0分 ココカラネクスト
(C)Getty Images
新しい時代の扉がまた一つ、開いたと言っていいでしょう。
9月14日、米レークプラシッドで行われたフィギュアスケート男子、国際スケート連盟公認大会のUSインターナショナルクラシックのフリー冒頭。米国人の17歳、イリア・マリニンがあのクワッドアクセル(4回転半ジャンプ)を成功させたのです。
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主催の全米フィギュアスケート協会によれば、成功は世界初。SP6位で迎えたフリーで1位となり、合計257・28点で見事に逆転優勝を成し遂げました。
大会後、同協会を通じて出たコメントで、マリニンからは先達に対する敬意が語られました。
「僕はずっと、4回転半について試行錯誤をしてきたんです。アイデアを持って3、4月から、技術の改良に取り組み始めたのですが、ユズル・ハニュウに刺激を受けたことは間違いありません。だからきょう、この場で挑戦してみようと思ったんですよ」
ユズル・ハニュウ−。
歴史的な快挙の裏には、あの男の流した汗が、確かに存在していたのです。
スポーツ紙のデスクは言います。
「4回転半は難易度の高い大技です。羽生結弦は今年2月の北京冬季五輪のフリーで果敢に挑んで、回転不足で転倒したものの、主要国際大会で史上初めて『4回転半に挑戦した』と認定されました。マリニンはこの勇気に刺激を受けたと語ってくれた。確かにあの時、羽生はベストの結果を得られなかったけれど、その挑戦が価値あるものだったと、海を越えて、時を超えて17歳が実証してくれたわけです」
さらに、前述のデスクはこう続けるのです。
「羽生には正直、アンチも多い。あの時の挑戦に『こけた』『失敗だ』とネット上には冷笑する声も見られました。しかし、果敢に挑んだその後に、羽生の背中をしっかりと見ていた若い力がこうやって大きな偉業を成し遂げた。そして羽生への敬意を口にしている。同じ日本人として、誇らしくなってきますよ」
見ている人は、必ず見ている−。
あの日のユズル・ハニュウの挑戦が、怖いものなしの17歳にもたらした「ケミストリー」。プロ転向を表明し、競技会からは退いた今でも、羽生が強い存在感を放っていることを再認識する機会になったといえるでしょう。
[文/構成:ココカラネクスト編集部]