GT500決勝《あと読み》:結局、GT-RとLC500はどちらが速いのか。時代の移り変わりを感じた2017年シーズンのGT500

2017年11月13日(月)16時9分 AUTOSPORT web

 スーパーGT最終戦、第8戦もてぎで2位を獲得し、KeePer TOM’S LC500の平川亮、ニック・キャシディがタイトルを獲得した2017年のスーパーGT500クラス。レースは予選を圧倒的な速さで制したMOTUL AUTECH GT-Rがポール・トゥ・ウインで、ニッサン陣営が今季初優勝を果たし、シンプルな展開となった。


 最終戦はノーウエイトハンデの戦いとなり、各メーカー、そして各チームの実力が明らかになるが、今回のもてぎで気になったのが、『なぜレクサス陣営の予選結果がバラけたのか』と、『GT-RはLC500に追いついたのか?』という2点だった。


 開幕戦から序盤はレクサスLC500が上位を独占していたが、ウエイトハンデが重くなるにつれて、ライバルメーカーのウエイトの軽いマシンが上位に入り、レクサス陣営内の勢力図は不透明になっていた。


 今回の最終戦ではウエイトハンデはゼロで、タイヤ選択もほとんど同じ状況。それなのに、予選ではQ3に残ったのはレクサス6台中3台。WedsSport ADVAN LC500と昨年もてぎを制したDENSO KOBELCO SARD LC500、そしてLC500の開発を務めた立川祐路、石浦宏明のZENT CERUMO LC500がQ1で敗退してしまった。


 シーズンを経て、レクサス陣営内のセットアップが各チームそれぞれ独自の方向に行き始めたという見解もあるが、今回に関してはau TOM’S RC Fの東條力エンジニアの意見がもっとも説得力を感じた。トムスはKeePerとauの2台ともQ1を突破している。


「使っているタイヤはだいたい同じレンジのものですけど、今回の予選Q1ではウォームアップの仕方がチームで違いました。ウチはアウトラップのあと、2周ウォームアップしてからアタックしましたが、他のレクサス勢はウォームアップは1周だったので、タイヤの温まりが違ったのだと思います」と東條エンジニア。


 今回の予選ではMOTUL GT-Rが2番手にコンマ9秒差をつけてポールを獲得したが、「最近のGTはパフォーマンスのなかでタイヤが占める割合がどんどん増してきている」というのが、共通した見解だ。


『クラス1』規定になって3メーカーとも共通モノコックを使用し、そして空力の規制も厳しくなったことでわずかなタイヤとセットアップのマッチング、そしてウォームアップの仕方などのタイヤの細かい部分が、今まで以上に大きなタイム差となってリザルトに反映される傾向が強まっている。


 そのタイヤの要素が大きいがために、ミシュランを装着しているMOTUL GT-Rとブリヂストンを装着するLC500の勢力図が見えづらくなっている。結局のところどちらのパッケージの方が速いのか。

MOTUL AUTECH GT-R
KeePer TOM’S LC500


「このもてぎではGT-Rにポールを奪われたけど、LC500のマシンの素性は相変わらずいいので、総合力ではまだまだウチが勝っている」と複数のレクサス陣営の関係者が話せば、「このもてぎだけでは判断はできないですけど、LC500に追いついたと思いますし、このもてぎの結果を見る限りではウチが追い抜いたと思っています」と話すのは、MOTUL GT-Rの鈴木豊監督。


 今までは「いえいえ、あちら様が……」と、結果が出ても謙遜していた雰囲気があったが、今はお互い、「ウチの方が速い」と自信を持っているのが面白い。


 平川亮、ニック・キャシディがともに23歳というスーパーGT史上最年少でタイトルを獲得、ドイツからDTMの3メーカー3車が来場して歴史的なデモランを行うなど、着実に次の時代へ歩みを進めているスーパーGT。国内3メーカーの勢力図だけでなく、開発エンジニアの心持ちも、そんな情勢を反映してか変わりつつあるのを感じる。


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