トヨタ、4年連続のWタイトルに歓喜「亮は信じられないような能力を見せてくれた」とブエミ/WECバーレーン

2022年11月13日(日)12時42分 AUTOSPORT web

 11月12日(土)、バーレーンのバーレーン・インターナショナル・サーキットで2022年シーズンのWEC世界耐久選手権最終戦となる第6戦『バーレーン8時間』の決勝レースが行われ、7号車GR010ハイブリッドが優勝、8号車が2位でフィニッシュし、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は今季3度目のワン・ツーフィニッシュを達成。TGRがマニュファクチャラーズチャンピオン、そして8号車のセバスチャン・ブエミ/ブレンドン・ハートレー/平川亮がドライバーズチャンピオンに輝き、同チームは4シーズン連続となるダブルタイトルを獲得した。


 8時間の決勝レースは現地時間14時、強い日差しに照らされ気温35度という暑さの中で開始された。8号車のスタートを担当したブエミがポールポジションから序盤戦をリード。3番手からスタートしたロペスの7号車は、猛追するアルピーヌ・エルフ・チームの36号車アルピーヌA480・ギブソンに一旦ポジションを奪われるも、3周目には抜き返し、3位のポジションを取り戻す。


 8号車のブエミが、追いすがるプジョー・トタルエナジーズ93号車プジョー9X8からの追撃をしのいでいる間に、3位に上がった7号車のロペスもトップ2から離されることなく追走。3台は6秒ほどの差で1時間経過後の給油ピットへ。このピット作業でプジョー93号車をかわしたロペスの7号車は、首位の8号車に続いた。


 2時間を経過したところで、3番手のプジョー93号車がトラブルに見舞われ、レースはフルコースイエローに。このタイミングで2台のGR010ハイブリッドはピットへ向かい、8号車はハートレーへ、7号車はコンウェイへとドライバー交代。コースに戻った2台は、1秒以内の差で首位争いを展開した。日没を迎え、3時間を経過してまもなくのところで、7号車のコンウェイが8号車をパスし、首位に立った。

レース中盤から首位に立った7号車GR010ハイブリッド


 コンウェイはプッシュを続け、レース折り返しとなる4時間を経過したところでピットへ向かい、可夢偉へと7号車のステアリングを托す。その翌周ピットへ向かった8号車は、ハートレーから平川へとドライバーチェンジ。8号車は7号車のすぐ後方でコースへと復帰した。


 7号車可夢偉は徐々に後続との差を広げていき、5時間が経過した時点で2番手との差は15秒まで拡大。さらに次の1時間ではその差を倍増させ、残り2時間を切ったところで7号車はロペスへ、8号車はブエミへとドライバー交代を行った。


 レース残り45分ほどというタイミングで、チームは最後のピットインを行い、7号車はコンウェイ、8号車はハートレーがチェッカードライバーを担当。後半は首位を守り続けた7号車が245周を走り抜いてトップでチェッカーを受け、8号車も45.471秒遅れの2位でフィニッシュした。ライバルのアルピーヌが3位に終わったため、ドライバーズタイトルは8号車の3人が手にすることとなった。


 ブエミとハートレーはこのタイトル獲得により、世界耐久選手権及びその前身である世界スポーツカー選手権のトップカテゴリーを含めた歴史の中で、初めて3回のチャンピオンを獲得したドライバーとして記録に名を残すこととなった。また、ブエミ、ハートレーとともに6月のル・マン24時間を制した平川は、トップカテゴリー参戦初年度にして、日本人としては3人目となるWECのチャンピオンに輝いている。


 これでWECの2022年シーズンレース全スケジュールは終了たが、TGRは翌13日(日)もバーレーン・インターナショナル・サーキットに残り、WECの公式ルーキーテストに参加する。このテストでは、WECの推薦により、今季LMP2クラスで戦ってきたリル・ワドゥがGR010ハイブリッドをテストドライブする予定となっており、彼女はハイパーカーをドライブする最初の女性ドライバーとなる。


 TGRからバーレーンでの最終戦に臨んだ6人のドライバーの、決勝後のコメントは以下のとおり。


小林可夢偉(チーム代表兼7号車ドライバー)
「レースではワン・ツー・フィニッシュを果たし、セブ、ブレンドンと亮がドライバーズチャンピオンを獲得、チームもマニュファクチャラーズタイトル獲得と、このレースでの目標すべてを達成できました。この結果には本当に満足しています」


「今日も、シーズン中もずっと、チームとドライバー全員が素晴らしい仕事をしてくれました。日本の仲間や、シーズンを通して応援してくれたパートナーの皆様にも感謝いたします。今年は激戦が繰り広げられたシーズンでしたが、最高の結果で締めくくることができました」


「7号車のドライバーとしても、最終戦を勝利で終えられて最高の気分です。マイクとホセは力強くレースを戦い、チームクルーも今年1年同じように、良く戦ってくれました。7号車としてはドライバーズタイトルを逃したのは残念ですが、8号車はチャンピオンにふさわしい戦いぶりでしたし、彼らのためにも良かったです」


「シーズン中はいつも、チームとドライバーともに素晴らしいチームスピリットで本当によく動いてくれました。この瞬間を全員で祝いたいと思います」


■「このシーズンを戦ったことで成長できた」と平川亮


■マイク・コンウェイ(7号車)
「レースで勝ち、ワン・ツー・フィニッシュの一翼を担えて最高の気分だ。素晴らしい仕事をしてくれた可夢偉、ホセと7号車のチームクルー全員,そしてもちろん、ドライバーズチャンピオンを決めた8号車にも祝福を贈る」


「8号車は本当に安定していて、シーズンを通して強かったので、今年のチャンピオンは間違いなく彼らのものだ」


「今日のレースはとても順調で、8時間の大半をチームメイト同士で接近戦を繰り広げることになった。8号車はしぶとく追いすがってきたが、可夢偉が引き離してギャップを広げてくれたので、その後は快適だった」


「我々7号車は今日、すべてがうまく行った。クリーンなレースを戦い、ピットストップも速く、戦略も適切だった。マニュファクチャラーズタイトルを獲得できたことは素晴らしいし、日本とドイツ・ケルンの仲間たち、そして、支えてくれたすべてのみんなのおかげで勝ち取ることができたタイトルだ」


■ホセ・マリア・ロペス(7号車)
「8号車の3人は本当にシーズンを通して強く、チャンピオンに値する戦いぶりだった。日本とドイツ・ケルンのチームメンバー、そして、この成功のために支えてくれたすべての人たちとパートナーの皆様へも祝福を贈る」


「競争の激しいシーズンだったが、目標を達成することができてとても満足している。今日のレースは、スタートから本当に楽しかった。GR010ハイブリッドはとても快調でプッシュできたし、他のハイパーカーとのバトルも楽しめた」


「マイクと可夢偉も彼らのスティントで素晴らしい走りをしてくれて、最後に僕が乗るときには、充分なマージンができていた。我々は最高のチームで、その一員であることを誇りに思う。このチームでともにこのような瞬間を祝えるというのは本当に幸せだ」

2022年WEC第6戦バーレーンで優勝したトヨタ7号車の小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペス


■セバスチャン・ブエミ(8号車)
「今シーズンの世界チャンピオンになれたことが信じられない気分だ。我々8号車はすべてのチャンスを最大限に活かし、ル・マン24時間の勝利とチャンピオンというふたつを達成できた」


「亮は今年ドライバーとして加わったばかりなのに、その初年度にチャンピオンを勝ち取ったのは特に称賛に値する。いきなりハイパーカーをドライブし、強力なライバルとのバトルを繰り広げるというのは容易なことではないが、彼はチームメイトとして信じられないような能力を見せてくれた」


「7号車も常に手強いライバルであり、今日のレースで分かるように、彼らとの戦いは大変だった。我々8号車も勝ってタイトルを決めたかったが、スタートこそ良かったものの、その後は勝つには充分ではなかったと言うことだ」


「今はチャンピオン獲得のこの瞬間を祝い、あとは確実にエキサイティングなものになる来シーズンへ向け意識を切り替える」


■ブレンドン・ハートレー(8号車)
「ここバーレーンでの目標を達成し、ダブルタイトルを勝ち取ることができて本当に嬉しい。まだチャンピオン獲得の実感は湧かないが、すぐにその瞬間はくるだろう」


「シーズンを通して最高のサポートで、チャンピオンを勝ち取り、ル・マンで勝てるGR010ハイブリッドを用意してくれたチームの皆に感謝している」


「今日の我々の目標はシンプルで、アルピーヌよりも上位でフィニッシュしてタイトルを獲得することであり、勝つためにリスクを冒すことはできなかった。7号車のレースペースは良く、勝利に値する走りだった。彼らは素晴らしかった」


「7号車はシーズンを通して最大のライバルであり、熾烈な戦いを続けてきたし、もちろんアルピーヌも手強い相手だった。我々は懸命に戦い、このタイトルを勝ち取った。このタイトルはチーム全体で勝ち得たものだ」


■平川亮(8号車)
「今日、我々の望んだすべてを達成することができました。とても嬉しいですし、この瞬間を、本当にその結果に値する働きをしたチームとともに祝いたいと思います。まだ実感はなく、慣れるのには時間がかかりそうです」


「WECをハイパーカーで戦うというのは、すべて私にとって初めての経験で、最初は大変な挑戦でした。私自身の参戦初年度となった今シーズン、ル・マンで勝ち、また世界チャンピオンになれるとはまったく予想していませんでした」


「それだけに、こんな私を支えてくれたチームとチームメイトに本当に感謝していますし、このシーズンを戦ったことで成長できたと思っています」


「今日は、チャンピオン獲得の条件が分かっていただけに、とにかくリスクを冒さないことが重要であり、我慢のレースでした。私の役割は、良いポジションで自分のスティントを走り抜くことであり、それは達成できたので満足しています」

レース前半をリードした8号車トヨタGR010ハイブリッド

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