勝田貴元レギュラー昇格へ「毎戦表彰台に上がれる能力がある」とラトバラ代表。オジエもサポートを約束

2023年11月21日(火)19時5分 AUTOSPORT web

 約1年前、2023年シーズンに向けてTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のワークスドライバーとなることが発表された日本人ラリードライバーの勝田貴元が、今度は同チームのWRC世界ラリー選手権“レギュラードライバー”として2024年シーズンを戦うことがアナウンスされた。


 この決定は、11月20日(月)に愛知県名古屋市内で行われた『2024 WRC WEC体制発表会』のなかで明かされたもの。勝田は今シーズン、ワークスドライバーとしてチームに迎えられ3台目の『トヨタGRヤリス・ラリー1』を8度のワールドチャンピオンであるセバスチャン・オジエとシェアしながら、ときに4台目のマシンも駆り全13戦を戦い抜いた。


 2023年シーズンの最高位は、チームの“ホームラリー”であり彼自身にとっても第ニのホームであるフィンランドでの3位。また、2021年と翌22年に表彰台を獲得したケニアではチームの1-2-3-4の一翼を担う4位入賞を果たした。


 体制発表前日まで行われていた2023年シーズン最終戦『ラリージャパン』でも、結果は5位だったが都合10回のステージウインを飾り、オジエに「ラリージャパンのベストパフォーマーだった」と言わしめる印象的な走りを披露し、観る者を魅了していた。


 そんな勝田が今度はレギュラードライバーに昇格する。これは彼が2024年シーズンの全ラウンドに、マニュファクチャラー選手権の対象となるワークスノミネートを受けて出場することを意味する。今季以上に4年連続“三冠”を目指すチームでの責任を負うことになるのだ。


 残念ながら体調不良のため体制発表会を欠席した勝田は、「来年は自分の力を証明する重要な年になります。これまでのキャリアにおいて最高の年にできるように頑張ります」とのメッセージを寄せた。


 2連覇チャンピオン、カッレ・ロバンペラのフル参戦休止とともに勝田のレギュラー昇格を決断したヤリ-マティ・ラトバラ代表は、母国ラウンドで活躍した日本の“ヒーロー”がレギュラードライバーとして戦う準備ができていると語った。


「タカ(勝田貴元)に関してはサファリ・ラリー(・ケニア)で表彰台に登ることができている。ケニアのような非常に耐久性が求められるようなラリーで表彰台に上ることができる力を見せている。だが今シーズンに関してはフィンランドで一番感心した」と述べた同チーム代表。


「ラリー・フィンランドは選手権の中でもっともハイスピードで戦われるラリーだが、タカはそこで表彰台に上がった。そしてラリージャパンでも、ウエットのターマック(舗装路)という難しいコンディションのなか、誰よりも多くのステージウインを獲得した。金曜日には残念ながら木にクラッシュしてししまったが、アーロン(・ジョンストン/コドライバー)と一生懸命車を修理して戻ってきて、その後力強い走りを見せてくれた」


「彼はもう準備ができている。あらゆる種類の道で走るスキルを持っているので、来年こそはすべてのラリーで表彰台に上がれるような能力があると思っているん」

TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチーム(TGR-WRT)のチーム代表を務めるヤリ-マティ・ラトバラ
勝田貴元/アーロン・ジョンストン組(手前:トヨタGRヤリス・ラリー1) 2023年WRC第13戦ラリージャパン


■「期待以上の成長」とオジエ


 勝田の成長を感じているのはラトバラ代表だけではない。6連覇を含む通算8度のシリーズチャンピオンであるオジエの目にも、彼の成長ぶりは印象的に映ったようだ。


 オジエは体制発表後のトークセッションで「正直に言って非常に感心している」と述べた。


「タカのこの成長ぶりいうのはこの数日間でハイライトも見ることができたと思うが、ラリージャパンでは本当にその力を見せつけたと思う。彼は期待以上の成果を出したよ」


「本当にラリージャパンのベストパフォーマーだったと思う。ほとんどのステージで彼がトップタイムだったので、その成長をぶりには感心した」


■お互いに助けあうTOYOTA GAZOO Racing WRT


 2024年もトヨタからパートタイム参戦を続けるオジエは、チーム残留の理由のひとつに居心地の良さを挙げている。ヘルメットを被ればお互いにライバルとなるものの、サービスパークに戻ればすべての情報をチームメイトと共有し、チームを強くするために全員が協力するTGR-WRTの家族的な雰囲気を気に入っていると語った。


 また来月40歳となるフランス人は勝田の人間性を評価しており、つい彼を「助けたくなってしまう」と語ったうえで、今後もサポートしていきたいと続けた。


「今夜このチームの家族的な雰囲気についての話をしたが、そういった人としての面というのはすごく大事だと思っている」とオジエ。


「お互いに助け合うという、そんな家族的な雰囲気と時間がこのチームには本当にあるんだ。そして、タカに関してはつねにすごくいいチームメンバーだ。一緒に働きやすいチームメイトだね」


「彼はとても強いコミットメント、このプログラムにも持ってきてくれたし、すごく自然な形で彼を助けたくなってしまうんだ」


「タカがもっと良くなるためにぜひ、今後もサポートしていきたい。僕自身も彼の成長を助けることができたのであればすごくハッピーだ。これからも期待している」


 ラリージャパン2023を制したエルフィン・エバンスとレギュラー昇格の勝田がフル参戦、世界王者経験者のオジエとロバンペラがシェアシートでパートタイム参戦となる2024年シーズンは、1月25〜28日に行われる伝統の『ラリー・モンテカルロ』で開幕を迎える予定だ。

2021年限りでフルタイムドライバーを引退したセバスチャン・オジエ。今年12月に40歳となる8冠王者は2024年もパートタイムでWRCに参戦する
勝田貴元(右)とコドライバーのアーロン・ジョンストン(左) 2023年WRC第13戦ラリージャパン
2024年シーズンを戦っていくTGR-WRTのメンバー。右からカッレ・ロバンペラ、ヨンネ・ハルットゥネン(奥)、エルフィン・エバンス、スコット・マーティン(奥)、セバスチャン・オジエ、ヴァンサン・ランデ(奥)、アーロン・ジョンストン(奥)。勝田貴元は体調不良のため欠席

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