アブダビGP木曜会見:オコンを小突いた理由を語るフェルスタッペン「2位にしてくれてありがとうと、握手でもしたら、それこそ笑い者」

2018年11月23日(金)11時39分 AUTOSPORT web

 いよいよ2018年も最終戦。アブダビGP開幕前日となった木曜日のヤス・マリーナ・サーキットで行われたFIA会見は、2部構成で、しかも豪華なメンバーが集った。


 第1部はルイス・ハミルトン(メルセデス)、フェルナンド・アロンソ(マクラーレン)という新旧の王者と、来年F1にデビューするジョージ・ラッセル(2019年ウイリアムズ)とランド・ノリス(2019年マクラーレン)のふたりの若手だ。


 レースドライバー以外が木曜日の会見に出席するのは極めて異例なこと。F1側の期待が見て取れるが、この会見で主役を張ったのは、もちろん、このレースが事実上の引退レースとなる。アロンソだった。通常の会見では主役になるはずのハミルトンも、この日は脇役に回るほど、記者からの質問はアロンソに集中した。その中のひとつが次のような質問だった。

2018年F1第21戦アブダビGP ルイス・ハミルトン、フェルナンド・アロンソ


「みんなは『今回が引退レース』だと言うが、公式にはあなたは引退という言葉は使っていない。ラウダやプロストのようにカムバックする予定はあるのか?」


 アロンソはこう答えた。
「現時点では復帰はかなり難しいだろうね。でも、僕は扉を閉じてはいない。その理由は、F1を離れた後に僕がどのような気持ちになるのか、現時点では自分でもまだわからないからだ。というのも、僕は人生のほとんどの時間をF1に捧げてきたからね。だから、来年にならないとわからない」


 こんな質問も飛んだ。
「フェルナンド、あなたがこれまでレースしてきた中で、最も手強かったドライバーはだれですか?」


 隣に座っているハミルトンが見つめる中、アロンソはこう答えた。
「ひとりを選ぶのは難しいけど、選ぶとしたらやっぱりマイケル(・シューマッハ)かな。僕がレースを始めたとき、この世界を支配していたのがマイケルだったからだよ。カート時代からF1に入ってきてからもそう。常にマイケルがF1で輝いていた。そのマイケルとF1でやりあったバトルは僕にとっては特別なものだった。もちろん、その後も僕はいろんなドライバーと戦い、彼らもまた素晴らしい才能を持っていたけど、個人的な感情としてはマイケルが一番だった」


 続いて、開かれた第2部も、ある意味豪華なメンバーだった。それは前戦ブラジルGPで接触事故を起こしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)とエステバン・オコン(フォース・インディア)がフェラーリのふたりとともに登場したからだ。フェラーリのふたりが中央に座ったが、この会見での主役は両脇に座ったフェルスタッペンとオコンだった。


■前戦ブラジルGPで接触事故を起こしたマックス・フェルスタッペンとエステバン・オコン


 まずフェルスタッペンに対して、「もう一度同じ状況となったら、どうするのか?」という質問が。フェルスタッペンは次のように即答した。


「何も変えるつもりはない。僕はレースリーダーのルイス(・ハミルトン)を抜いて、あとはタイヤをマネージメントするために、クルージングしていた。そこにピットアウトしてフレッシュタイヤを履いたドライバーがやってきて……。確かにあの2周はフォース・インディアのほうが僕よりも速かったと思うけど、でも僕はプッシュしていたわけじゃないし、2周も走れば、フレッシュタイヤのおいしいところは終わっているので、そのあとはおとなしく後ろにとどまるのが普通だと思うよ」


 さらにオコンを小突いた件についてはこう説明した。
「僕は謝罪を求めていたのに、違う反応が返ってきた。そういう態度をされれば、感情的にもなるよ。しかも僕は勝利を失ったんだよ。それを考えれば、僕はすごく冷静だったと思う。相手を押すぐらいはどんなスポーツでもある。2日前に見たサッカーでもあった」


「2位にしてくれてありがとうと、握手でもしたら、それこそ笑い者だよね。みんなは車検室でどんな言葉が交わされたか知らない。そして、僕が彼を押してるところを見ただけで判断している。会話の内容を知ったら、ちょっとみんなも変わると思うよ。僕らはロボットじゃない。感情があるんだ!!」

2018年F1第21戦アブダビGP 両脇には前戦で接触したマックス・フェルスタッペンとエステバン・オコン


 それを聞いていたオコンは、こう語った。
「レースリーダーと事故を起こすなんて、いいものじゃない。彼は素晴らしい走りでレースを勝とうとしていた。本当に申し訳ない。でも、僕にも言わせてほしい。僕はあのとき、10位集団の後方にいた。彼らが何かあれば、ポイントも狙えた。だから、ピットストップあとが勝負だった。ところが、ピットストップで時間を失っていたんだ」


「それでマックス(・フェルスタッペン)の後ろでコースに戻った。しかも、僕の方が速くて(フェルスタッペンに)青旗が振られていた。それで無線でチームに抜いていいかどうかも確認したんだよ。でも、振り返っても、結果は変わらない。いまは前を向くしか……」


 このふたりの一件に関して、意見を求められたセバスチャン・ベッテルは、ちょっと困った顔をしたものの、フェルスタッペンを次のように擁護した。
「僕も経験があるから、言わせてもらうと、僕らは感情を持った人間で、感情というのはどっちにも転ぶということだ。いいほうに転べは喜びになるし、逆に転べば不機嫌になる。そして、その感情もこのスポーツの一部だということだよ」

2018年F1第21戦アブダビGP 木曜会見 セバスチャン・ベッテル、キミ・ライコネン


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