【AFF三菱電機カップ】王座奪還を目指すベトナム代表。技巧派レフティの奮起が躍進のカギを握る

2022年12月20日(火)18時0分 サッカーキング

[写真]=Getty Images

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この大会では本来の“カラー”が出せるはず
 AFF三菱電機カップ2022が、本日12月20日に開幕する。東南アジア最大のスポーツイベントとして毎回大変な盛り上がりを見せているが、今年はFIFAワールドカップ カタール 2022の興奮が冷めやらぬ中での開催ということで、例年以上の盛り上がりとなりそうだ。優勝候補の一角であるベトナム代表は、今大会で2大会ぶり3度目の優勝を狙う。ベトナムサッカーを躍進させた韓国人のパク・ハンソ監督が今大会を最後に勇退する意向を表明しており、優勝トロフィーを勝ち取って指揮官の花道を飾るべく、ベトナムはチーム一丸となって戦う。

 ベトナム代表は、今季Vリーグ閉幕後の11月下旬に招集され、約1カ月の長期キャンプを行いながら万全の準備をしてきた。この間、アジア遠征で東南アジア3カ国を歴訪したドルトムントと親善試合を行い、2ー1で逆転勝ち。大会前最後のテストマッチとなったフィリピン代表との親善試合は、攻めあぐねはしたが1ー0で勝利。ここまで負傷者もなく、いい形で大会を迎えることができそうだ。

 チームの核であり、今季からフランス2部ポーFCに所属するMFグエン・クアン・ハイは当初、招集が難しいとされていた。しかし、クラブ側が許可したことで開幕直前に合流することができた。攻撃にリズムを生み、違いをもたらすエースの存在は欠かせない。一方、ケガの影響から招集が見送られていたFWグエン・コン・フオン(元水戸ホーリーホック)は、自身2度目のJリーグ移籍が目前に迫っていることから参加を辞退した。

 ベトナム代表は、基本システムに3ー4ー3を採用している。組織的な3バックで中央のスペースを埋めつつ、危ない時間帯は5バックでがっちりブロックを敷く。一方で、両ウイングバックに攻撃的な人材を配置することが多いため、ボール保持が多くなる試合では両ウイングバックがかなり高い位置を取って攻撃参加する。アジアカップやW杯最終予選のような格上との対戦では負けないための現実的な戦い方をするが、東南アジア同士の対戦ではショートパスを多用したポゼッションサッカーで押し切ることもあり、こちらのほうが本来のベトナムカラーと言えるかもしれない。

グループステージ突破は難しいミッションではない
 ベトナムが入ったグループBの対戦表を見てみると、初戦ラオス(21日/アウェイ)、2戦目マレーシア(26日/ホーム)、3戦目シンガポール(30日/アウェイ)、4戦目ミャンマー(1月3日/ホーム)の順で当たる。グループ突破の最大のライバルとなりそうなのはマレーシアだ。圧が強い熱狂的サポーターを持つマレーシアとのアウェイゲームはいつも厳しい戦いとなるが、今回はベトナムのホームとなるため優位性を持って臨むことができる。大事な最初の2試合をきっちり勝ち切ることができれば、グループ突破の可能性はかなり高くなる。

 3戦目で当たるシンガポールは、やや不気味な存在と言える。西ヶ谷隆之監督が率いるシンガポールとは、9月に開催された国際親善大会で対戦して4ー0と完勝。しかし、シンガポールは自国開催となった前回のAFFスズキカップ2020で、ホームの大声援に後押しされて4大会ぶりのベスト4進出を果たしており、その勢いは侮れない。シンガポールサッカー協会は、すでにベトナム戦のチケット完売をアナウンスしている。完全アウェイという環境になることは間違いなく、加えてベトナムは不慣れな人工芝で戦わなければならないという懸念材料がある。

 それでも、ベトナムが本来の力を発揮すれば、グループ突破は難しいミッションではない。本当の戦いは準決勝以降。グループAは、順当にいけば前回王者タイと前回準優勝のインドネシアが勝ち上がってくると予想される。ダークホースには混血集団のフィリピンがいるが、タイの首位突破は堅いだろう。ベトナムとしては、宿敵タイとの頂上決戦は最後に取っておきたいところ。そのためにも、ベトナムにはグループ首位突破が望まれる。

 王座奪還を目指すベトナムのキーマンは、何といっても中盤のグエン・クアン・ハイだ。高い個人技を持つ技巧派レフティで、キープ力やキックの精度が高く、特に直接FKの精度はアジアでもトップクラスと言える。合流が間に合わず不在となった大会直前のフィリピン戦では、ベトナムが終始ボールを握りながらも、引いて守る相手に攻めあぐねる展開となり、その存在の大きさが改めて確認できた。準決勝以降は、実力が拮抗した相手との対戦が続く。一本のセットプレーが勝敗を左右する試合も出てくるだろう。ベトナムの優勝にはエースの奮起が求められる。

文=宇佐美淳

サッカーキング

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