【要注意】羽田に行くはずが品川へ!? 武蔵小杉と京急蒲田…首都圏2大“迷宮駅”の絶望トラップ
2025年1月6日(月)21時25分 All About
1本のホームにさまざまな方面へ向かう電車が次々と到着する。行先をしっかり確認せずに乗ってしまうと、思わぬ遠回りを強いられることも。首都圏には、そんな複雑な構造を持つ駅が点在している。その代表格である武蔵小杉駅と京急蒲田駅を取り上げる。
【武蔵小杉駅】東京、品川、横浜、川崎、渋谷、新宿……どこへでも行けるのが仇(あだ)?

と、簡単に言ってしまうけれど、この乗り換えが一筋縄ではいかない。2つの路線が交差しているところにホームがあれば問題はないのだけれど、かつて横須賀線には駅がなかった。2010年になってようやく停車駅となったのだが、さまざまな理由から南武線ホームと横須賀線ホームはかなり離れている。

さらに横須賀線のホームには多方面への電車が発着しているので要注意だ。




8社局の電車が入り乱れる東急の武蔵小杉駅
武蔵小杉には東急の駅もある。こちらはJRとは改札口が別だ。ホームは2本で、それぞれ両面に電車が停車する。横浜方面のホームは、1番線が東横線の横浜、みなとみらい線直通、2番線が目黒線で日吉行、その先は東急新横浜線・相鉄線直通となる。

隣の4番線は東横線乗り場だが、渋谷から東京メトロ副都心線に乗り入れ和光市行き、東武東上線直通の川越市、森林公園行き、小竹向原から西武線に乗り入れて石神井公園行きや小手指行き・飯能行きなど実にバラエティーに富んだ行き先が続々と発車していく。くれぐれも乗り間違えないようにしたい。

東横線に乗って渋谷へ行こうと思ったのに、目黒線に乗ってしまった場合は、目黒駅でJR山手線に乗り換えるか、大岡山で大井町線に乗り換えて自由ヶ丘に向かえば、再び東横線に乗れる。目黒線の南北線直通に乗るつもりが、都営三田線直通に乗ってしまった場合、春日と後楽園は駅名こそ違うもののほぼ同じ位置にある乗換駅なので、ここでリカバリーが可能だ。じっくりと首都圏の路線図をチェックすれば回復策はいくらでもある。
【京急蒲田駅】慌てると乗り間違い必至

ところが、横浜方面からやってきて、京急蒲田駅でスイッチバックして空港へ向かう電車が存在するので話がややこしくなってしまう。


ところが、横浜方面からやってきて羽田空港へ向かう電車は線路配置の関係から、この4番線に発着せざるをえないのだ。したがって、同じ線路を品川行きと羽田空港行きが併用することとなる。行先を確かめずに電車に乗り込むと、羽田空港へ行くつもりだったのに、品川まで連れていかれる悲劇が待っている。運悪く、それが快速特急であれば次の停車駅は品川。搭乗手続きの時間に余裕がなければ、飛行機に乗れなくなる事態も想定されるだろう。
ホームの乗車位置には、品川方面への乗車位置と羽田空港方面への乗車位置が大きく書かれてはいるものの、発車間際に慌てて車内へ駆け込む人の目には留まらないのかもしれない。

なお、京急蒲田駅の2番線と5番線は優等列車を待避するときの普通列車専用で、横浜寄りに目立たなくひっそりと佇んでいて、空港方面へ向かう旅行者の目に留まりにくいので、ここでは触れない。
京急のアクロバット的な車両や列車ダイヤの運用は、鉄道ファン目線では興味深いものの、不慣れな利用者にとっては恐怖かもしれない。
この記事の筆者:野田隆
名古屋市生まれ。生家の近くを走っていた中央西線のSL「D51」を見て育ったことから、鉄道ファン歴が始まる。早稲田大学大学院修了後、高校で語学を教える傍ら、ヨーロッパの鉄道旅行を楽しみ、『ヨーロッパ鉄道と音楽の旅』(近代文芸社)を出版。その後、守備範囲を国内にも広げ、2010年3月で教員を退職。旅行作家として活躍中。近著に『シニア鉄道旅の魅力』『にっぽんの鉄道150年』(共に平凡社新書)がある。(文:野田 隆)