【岩手県宮古市】子どもだけの架空のまち「みやっこタウン」で学ぶ「つながり」と「まちづくり」

2024年1月9日(火)16時0分 ソトコト


2011年3月11日に東日本大震災があった東北の“いま”を伝えるコーナーです。東北で生まれているソーシャルグッドなプロジェクトや地域で活動する人々を紹介します。(TOP写真:「みやっこタウン」では、まちの仕組みを知り、仕事や消費を体験できる。)


子どもが人生を切り拓けるようにさまざまな学び・体験の場を創出。


2023年10月8日、岩手県宮古市の旧・赤前小学校に、子どもだけの架空のまち「みやっこタウン」が登場した。子どもたちが“市民”となり、宮古にまつわる職業やまちでの生活を体験し、納税や投票といった社会のしくみも学べるイベントで、職業体験やまちの運営を通して、子どもたちが社会に参画するイメージを育んでいくことを目的としている。6回目の開催となった昨年は、仕事、大学、地域活動、消費(遊び、買い物など)の計40ブースが設けられ、宮古市内の小学4〜6年生136名が参加して大盛況となった。


「みやっこタウン」を中心となって企画・実施するのはNPO法人『みやっこベース』。東日本大震災後に災害ボランティアとして宮古市にやって来た早川輝さんが、2013年2月に任意団体『ユースみやっこベース』を立ち上げ、2015年9月にNPO法人化した。『みやっこベース』では、「子どもが希望と意志を持ち、未来を切り拓くことができる地域」を目指して、コミュニティスペース『みやっこハウス』の運営をはじめ、地域全体で子どもが学び、育つことができるさまざまな機会の提供や、キャリア支援・企業支援事業、コミュニティ形成・まちづくり事業などを行っている。


高校生が震災復興やまちづくりに関わるきっかけ・仕組みをつくることからスタートした『みやっこベース』だが、震災を知らない世代が増えていく中、まちへの愛着を育むためには、もっと早い小学生の段階から、まちづくりに関わる震災復興とは別の動機づけが必要ではないか。そう考えた早川さんは、ドイツ・ミュンヘン発祥の子どもによる都市運営のプログラム「こどものまち」を、宮古市でやってみることにした。それが「みやっこタウン」だ。2016年の第1回開催以来、宮古市における認知度は年々上がってきている。


しかし「みやっこタウン」では、宮古市の主要産業である漁業などの第一次産業は体験しづらい。そこで第一次産業の現場を含む宮古の豊かな自然を子どもたちに体感してもらうため、2023年6月に「みやっこネイチャークラブ」という新しいプログラムを始めた。自然の中で遊ぶことを通して、子どものやり抜く力や好奇心といった非認知能力に加え、地元への愛着を育むことを目指している。


また2017年からは、宮古市内の若手社会人を対象に、組織の枠を超えて横のつながりをつくることで早期離職防止を図る、地域内合同新社会人研修「ルーキーズカレッジ」を実施。このように『みやっこベース』では、高校生向けの活動から子どもや若手社会人向けのものへと、活動の幅を広げている。「子どもたちが人生を自分で切り拓いていけるようになり、一人ひとりが幸せになってほしい。そのために、ニーズ・課題を見つけて新しいことにチャレンジして


「みやっこネイチャークラブ」のシーカヤック体験。海に親しむきっかけとなった。

地域内の同年代と交流することで早期離職防止につながる「ルーキーズカレッジ」。

text by Makiko Kojima photographs by Miyakko Base


記事は雑誌ソトコト2024年2月号の内容を本ウェブサイト用に調整したものです。記載されている内容は発刊当時の情報であり、本日時点での状況と異なる可能性があります。あらかじめご了承ください。

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