「公園で凧あげをしてたら、ホームレスが近付いてきて...」 4人家族を驚かせた男の「提案」とは
2024年1月13日(土)11時0分 Jタウンネット
シリーズ読者投稿〜忘れられない「あの人」と〜 投稿者:Kさん(兵庫県・50代男性)
ある年の正月、公園で凧あげをしていたKさん家族の元に、1人の男性が近付いてきた。
ホームレスらしきその人が、笑顔で一家に提案したのは......。
20年近く前の正月、妻と5歳の双子を連れて東京を旅行していた時のことです。
日比谷公園で日本凧を飛ばそうとしているところに、日焼けした顔に伸びた髪と無精髭を生やしたホームレスの男性が近寄ってきました。
お金をせびりに来たのか?子供はどうしよう?と考え、身構えました。
嬉しそうにはしゃぐ息子たちを見て...
しかしその男性は、とても優しい目と笑顔で、ゆっくりと言いました。
「凧、調整しましょうか」
私たちが上手く凧を上げられないのをみて、声をかけてくれたのです。
その後、彼は糸を調整してバランス取ってくれて、「これでやってみて」。渡された凧は空高く舞い上がりました。
その人は、凧ではなく嬉しそうにはしゃぐ息子たちを見て微笑んでいました。
聞けば、手先が器用で東北から町工場に出稼ぎに来たものの不況でリストラに遭い、「家族に顔向けできないから帰れない」と何年も野宿をしながら日雇いで働いているとか。
そのころ私は、 設立した会社が軌道に乗って自信と野心に溢れていて、ホームレスの人は"社会の落ちこぼれ"なんだと思っていました。
しかし、その人と話して「働きたい、誰かの役に立ちたい」という思いが叶わない人が大半だと知ったのです。
その後、息子たちは...
息子たちも今年、大学を卒業して社会人に。あの人のことは「いいおじさん」としてよく覚えており、人を身なりや仕事で判断しない人間に育ちました。
日比谷公園を通る度に「あの人、家族のもとに帰ったのかな」と思い出します。
小さな親切、忘れていません。
ありがとうございました。
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