「まってろよ おれの白うさぎ」さっそく商品化されていた 初回放送の6日後に販売開始
2023年1月24日(火)20時0分 Jタウンネット
2023年1月8日、NHK大河ドラマ「どうする家康」が始まった。
第1話「どうする桶狭間」の最終盤、織田信長がつぶやいた次のセリフに、グッと心を掴まれた読者も、少なくないのではなかろうか。
「待ってろよ、竹千代。俺の白兎」
竹千代とは、ドラマの主役・家康(劇中ではまだ「松平元康」)の幼名。このインパクト絶大のセリフに、視聴者は大盛り上がり。ネット上では放送後に「俺の白兎」「俺の白うさぎ」などがツイッタートレンドに入り、家康誕生の地・愛知県岡崎市では......こんな和菓子が爆誕した。
箱に描かれているのはウサギや日本刀のイラストと、織田家の家紋「織田木瓜」。そして「まってろよ おれの白うさぎ」というあのフレーズ。そう、信長のセリフをそのまま商品名にしているのだ。よくよく見れば、ローマ字で書かれているのも、
「MATTEROYO ORENO SHIROUSAGI」
「まってろよ おれの白うさぎ」である。
ウサギのうんちに似てるから...
「まってろよ 俺の白うさぎ」は、岡崎市の老舗和菓子屋「小野玉川堂」が手掛ける薯蕷饅頭。プレスリリースによると14日に販売が開始されている。なんと、第1回の放送の6日後である。
Jタウンネット記者は2023年1月20日、関係者を取材した。
「小野玉川堂」の店主・小野悟さんによると、「まってろよ おれの白うさぎ」は、岡崎市が運営する中小企業向け経営相談所「オカビズ」から提案を受け、実現した商品だ。話を聞き、「面白い」と思ったという。
入っている饅頭は5つ。それぞれ白うさぎの形のパッケージで個包装されており、その内1つは兜をかぶっている。ドラマの中で元康が着ていた甲冑を模したデザインとのことだ。なお、残りの4つは家臣に見立てているという。
家康と家臣たちでは、饅頭の中身にも違いがある。家康は粒あん、家臣たちはこしあんだ。
「お話をいただいたとき、すぐに三方ヶ原の戦いで、家康がうんちを漏らしながら浜松城へ逃げ帰ったというエピソードが頭をよぎり、最初から家康の中身は粒あんしかないと考えていました。粒あんはウサギのうんちにも似ているので......」
と小野さん。理由はかなりぶっ飛んでいるものの、小野玉川堂の粒あんはこだわりの逸品。「薪で焚く」という昔ながらの製法を、創業以来ずっと貫いているという。家康の中身として相応しい......のかもしれない。
乗るしかない、このビッグウェーブに
饅頭は、ウサギのお尻の形をしている。「放送から一週間も経たないうちにこれほどの商品を生み出せるとは」と驚いたが、同店では元々「迷菓 兎尻饅頭(めいか うさしりまんじゅう)」というウサギのお尻の形をした商品を販売しており、それを大河用にアレンジしたのだという。
兎尻饅頭は、「ふだん和菓子を食べない層にも、あんこの美味しさを知ってほしい」という思いで立ち上げられた同店のブランド「antabe(アンタベ)」の商品で、「まってろよ おれの白うさぎ」として販売することで、ブランドを広めるきっかけにもなる、と思ったそうだ。
「まってろよ おれの白うさぎ」を発案したのは、「オカビズ」のチーフコーディネーター・秋元祥治さんだ。岡崎市が「どうする家康」の舞台の1つとなるため、「地域の中小企業はこの波に乗っかるしかない」と、以前から考えていた。
そして迎えた初回放送で、あの盛り上がりである。「俺の白うさぎ」で何かできないか——秋元さんは動き出した。
「今年がウサギ年だというのもあって、地域のお菓子屋さんが何か作っていたりしないかな? と考えました。そこで過去にオカビズに相談に来てくださったお店にお声かけさせていただき、商品化が実現しました」(秋元さん)
地方には、技術や熱量はあるのに、広報や営業といった点に苦労している中小企業も多い。岡崎市内のそんな企業にとって、「どうする家康」は乗っていかねばならない「ビッグウェーブ」なのだ、と秋元さんは語る。
第1話の放送後、オカビズが提案を行ったのは小野玉川堂だけではない。和菓子店「近江屋本舗」にも声をかけ、「俺の白兎」というウサギの形の上生菓子の販売が始まった。
また、第2話「兎と狼」でもオカビズの提案をもとに、2つの菓子店に新商品が登場。「寅年 寅の日 寅の刻生まれ」といわれる家康が「実はウサギ年生まれだったのでは」というエピソードや「家臣には虎のように勇ましく振舞うが、陰でウサギのように震える」描写から着想を得たスイーツが21日から販売中されている。
ドラマが回を重ねるごとに、新しいスイーツもどんどん生み出されていくのだろうか? 岡崎市が「どうする」のか、これからも目が離せない。