漫画『くそみそテクニック』のハッテン場事情はグローバルスタンダードだった! 欧米のガチすぎる「やらないか」研究(亜留間次郎)

2023年2月7日(火)15時0分 tocana

【薬理凶室の怪人で医師免許持ちの超天才・亜留間次郎の世界征服のための科学】


 バラ族に掲載された漫画『くそみそテクニック』と主人公の阿部高和で有名になりましたがハッテン場と同じ意味の言葉は外国にも広くあります。


ドイツ語:Klappe
イギリス英語:Cottaging
オーストラリア英語:Gay beat
アメリカ英語:Tearoom


研究倫理がアウト過ぎる「ハッテン場研究」

 そして、世の中にはハッテン場の研究で有名になったアメリカの学者がいます。通称:ラウド・ハンフリーズこと本名:ロバート・アラン・ハンフリーズ社会学博士です。


 ラウドは彼が子供の時に米国聖公会で洗礼を受けたときの洗礼名で、成人してからシーベリー・ウェスタン神学校(Seabury-Western Theological Seminary)で神学修士号を取得して1955年に聖公会の司祭に叙階された本物の司祭です。


 ラウド・ハンフリーズはハッテン場研究者としての名前であると同時に司祭としての名前でもあります。


 ハンフリーズ博士の研究はハッテン場にやってきた人達のプライベートまで詳細に調べているのですが、調査方法が「のぞき」「盗撮」「ストーキング」「偽装身分で訪問調査」と研究倫理がアウト過ぎで、車のナンバーから持ち主を特定して家を突き止めて身分を偽ってインタビューしたりと探偵みたいな調査をしていた問題のある人です。


 それだけに、倫理的にまともな調査では得られない生データであるとの評価も高い一面もあるので、研究とは何かを問いかける問題作です。


 ハンフリーズが書いたハッテン場研究本である『ティールーム・トレード』は、今でもアマゾンでキンドル版が買えるので興味のある人にはお勧めです。


 面白いことにアメリカで行われた調査なのに日本の漫画である『くそみそテクニック』と状況がよく似ています。


 ティールームとはアメリカにおけるハッテン場になっている公衆トイレの隠語でイギリスではコテージと呼ばれています。完全に日本の漫画に登場したハッテン場そのままです。


 そして、魅力的な男性が通りすがりの男性を性的に誘ってトイレの中で行為にいたるところまで完全一致しています。あの漫画の描写は日本独自ではなく、グローバルスタンダードだったようです。


 博士の研究によるとハッテン場に集まる人達は恋愛感情を求めないその場限りの性行為を求めていると言っています。ハッテン場は一年のうちで4月から10月にかけての暖かい時期に活動が活発になるそうです。


 一日に複数回の行為に及ぶ人も多く繁忙期には1日平均3人の男性と関係を持つ人も居るそうです。


 意外なことに、ハッテン場に集まる人達はゲイに見える外観をしていませんでした。見た目は普通の人で、社会的にもノーマルのフリをして生活している人が多数派で奥さんや子供がいる人も珍しくなかったのです。


 そして、ハッテン場になっているトイレで用を足していると親切に情報を教えてくれる人がいたそうで昔から現場での口コミは重要だったそうです。



欧米ハッテン場の取り締まり

 欧米のハッテン場は非合法な物で、昔からハッテン場の取り締まりが行われ、時には著名人が逮捕されたこともあります。


 逮捕された著名人は逮捕時点では同性愛者であることを隠していた人ばかりで、事件になってから初めてカミングアウトしています。


 イギリスで同性愛は犯罪ではなくなりましたが2003年に出来た「Sexual Offences Act 2003」という法律で公衆トイレの中で自慰を含む性行為を禁止しています。


 アメリカでは秩序を乱す行為(Disorderly conduct)という法律で逮捕されます。この法律では公共の場で猥褻な言葉を発する、ジェスチャーをするだけで逮捕なので阿部高和みたいに胸を開いて「やらないか」と言っただけで逮捕されます。


 欧米では昔は同性愛を処罰する法律でハッテン場を取り締まっていたのですが、同性愛が合法化した現在は別の法律を持ち出してハッテン場を取り締まっています。


 日本では明確に犯罪とする法律はないので大丈夫そうですが、海外のハッテン場に出かけるときはご注意ください。


 欧米でロリコンのおとり捜査で写真一枚持っていたら逮捕有罪なんて話は有名ですが、実はハッテン場も同じように「やらないか」の一言だけでおとり捜査の警察官に逮捕される世界だったのです。


 こうした問題を考えると、児童ポルノが違法ではなくなってもロリコンは逮捕有罪にされる気がしています。


 同性愛が犯罪だった1962年にアメリカのオハイオ州マンスフィールドで行われた大規模な捜査ではハッテン場だった公衆トイレにカメラを仕掛けて撮影しました。


 このフイルムは裁判の証拠になり38人がソドミー罪で有罪判決を受けて投獄され、ハッテン場だったトイレは裁判後に取り壊されました。この映像は2007年に販売されたのでネット上にあるかと思って検索してみたらありました。タダの盗撮映像なので面白くはないです。


 大規模に取り締まられているだけあって有名人が逮捕有罪になった事例も多く、1998年4月にシンガーソングライターのジョージ・マイケルが警察のおとり捜査に引っかかってハッテン場になっていたロサンゼルスの公衆トイレで逮捕されました。


 彼は後にゲイであることをカミングアウトしていますが、イケメンの大物のシンガーソングライターが声をかけてきて偶然やれるチャンスがあるハッテン場が実在したことを考えると、通りすがりに阿部高和みたいなイケメンから「やらないか」と声をかけられるのはフィクションでもなかったみたいです。


 1998年10月、英国労働党のロン・デービス議員が有名なハッテン場だったロンドン南部のクラパムにある都市公園のトイレでナイフを突きつけられ強盗に襲われました。


 ハッテン場でやらないかしているゲイなら強盗しても被害届を出さないと思った強盗に襲われたのです。ロン・デービス議員は国会議員を辞職することになりました。


 彼はその後も懲りずに2003年3月にはトイレとならぶもう一つのハッテン場である高速道路の休憩所で「やらないか」しているところを『ザ・サン』の記事にされて2度目の辞任をしています。


 2007年6月11日、アメリカの上院議員ローレンス・エドウィン・クレイグはハッテン場になっていた空港のトイレで逮捕されましたが、当時はこのトイレがハッテン場だったことが広く知られていたらしく、おとり捜査の警察官がゲイのフリをして歩いていました。


 クレイグ議員はおとりの警察官に「やらないか」に相当するジェスチャーをしただけでおとり捜査に引っかかって逮捕されたのです。クレイグ議員は議会でLGBTの権利に反対していただけに面倒になりました。


 自分はゲイじゃないと主張したせいでゲイの皆さんから猛烈なパッシングを食らい、ハッテン場で関係したことがあったと主張する8人のゲイが新聞に出たりして大騒ぎになりました。最後は追い詰められて辞職して、複数のフィクションでネタにされました。



ハッテン場の情報

 阿部高和がやっていたことは英語ではゲイ・クルージング(Gay cruising)と呼ばれています。


 イギリスでは少なくとも 17 世紀から存在していたと言われるほど伝統があり、欧米にはこうしたハッテン場を集めたゲイ向けの旅行ガイドがあります。


 昔は有名な『スパルタカス・インターナショナル・ゲイ・ガイド(Spartacus International Gay Guide)』という世界中のハッテン場を掲載した雑誌があったのですが会社が倒産してしまいました。現在は権利を買った会社がネット上で運営しています。


 サイト内を検索してみると、しっかりと日本のゲイ・マップも載っていました。新宿二丁目がお勧めみたいで、ゲイの外国人を歓迎していると書かれています。さすがに、トイレは逮捕者続出の違法性が問題になっていることもあって現在は載っていません。


スパルタカス・ゲイ・ガイド
https://spartacus.gayguide.travel/


ロン・デービス
https://en.wikipedia.org/wiki/Ron_Davies_(Welsh_politician)


ローレンス・エドウィン・クレイグのスキャンダル
https://en.wikipedia.org/wiki/Larry_Craig_scandal
https://en.wikipedia.org/wiki/Tearoom_Trade
https://en.wikipedia.org/wiki/Cottaging
https://de.wikipedia.org/wiki/Klappe_(Sex)

tocana

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