体を触るなどの性暴力、約25%は学校関係者!?上下関係を悪用した実態も明らかに【内閣府調査】

2022年2月11日(金)6時3分 マイナビ子育て

6月16日に改正刑法が成立し、強制性交罪が不同意性交罪に、強制わいせつ罪が不同意わいせつ罪に名称変更され、処罰要件も厳しく見直されるなどしましたが、性暴力は若者の被害が少なくありません。体を触られたりする被害は痴漢が代表的ですが、学校が現場となることも。内閣府が実施した調査をもとに、被害の実態を見ていきます。

若者の性暴力被害の実態を調査

内閣府では、若年層(16歳〜24歳)の性暴力被害の実態を把握し、その施策を検討することを目的にオンラインアンケートを実施しており、スクリーニング調査で性暴力被害の経験がある人を抽出(有効回答:8,941人)したうえで本調査(有効回答:2,040人)を行っています。

この調査では性暴力を「望まない性的な言動」と規定し、以下の5つの分類を設けています。

性暴力被害の分類と例示「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果 報告書」より

本記事ではこのうちの「身体接触を伴う性暴力」に関する調査結果をご紹介します。

初めての被害は16〜18歳の時が多い

今回の調査で、性暴力被害を経験したことがあり、「身体接触を伴う性暴力」を「最も深刻な/深刻だった性暴力被害」の1つに挙げた人の特徴を見ると、16〜19歳が26.7%、20〜24歳が73.3%でした。所属・職業では大学生が最も多く27.8%、次いで勤め人(常勤)23.1%となっています。

また、初めて身体接触を伴う性暴力に遭った年齢は、16歳〜18歳が最も多く35.9%。次いで13歳〜15歳で20.3%、19歳〜20歳が15.8%となっています。高校生や中学生での被害が多いことがわかります。

身体接触を伴う性暴力被害に最初にあった年齢「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果 報告書」より

加害者は知らない人や目上の学校関係者

次に「身体接触を伴う性暴力被害」の加害者について見て行きます。

加害者として最も多い結果となったのが「まったく知らない人」で50.2%でした。これには痴漢被害が含まれることが想像されます。次いで「通っていた(いる)学校・大学の関係者(教職員、先輩、同級生、クラブ活動の指導者など)」が24.5%でした。

また、加害者の約9割は異性であり、約6割は地位的上位者だったこともわかります。したがって、中学生や高校生の被害の状況を想像すると、見知らぬ人が加害者であった場合を除くと、学校で教職員や先輩、部活の指導者といった自分より目上の存在から受けるケースがあるといえるでしょう。

「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果 報告書」より

被害場所は公共交通機関がトップ、学校も1割強

被害場所として最も多いのは「公共交通機関」で28.6%でした。やはり電車内などでの痴漢被害が多いことがうかがえます。他にも、「学校」13.0%、「自宅」9.5%、「加害者の家」7.8%などが挙げられています。

性被害時の状況としては、「相手から、不意をつかれ、突然に襲いかかられた」34.7%、「驚きや混乱、恐怖などで体が動かなかった」28.5%、「自分に行われていることがよくわからない状態だった」28.2%、「電車内で逃げられなかった(痴漢)」25.5%などの回答が多く、突然性暴力を受けて恐怖感に襲われる状況に置かれる被害者の様子が伝わってきます。

「若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果 報告書」より

被害後に「異性と会うのが怖くなった」という声も

最後に、被害を受けたことでその後の生活などにも影響が及んだかを見てみましょう。

「身体接触を伴う性暴力被害」を受けた直後から現在までに「生活の変化があったか?」と聞いた設問では、3割が「特にない」一方で、「異性と会うのが怖くなった」22.7%、「外出するのが怖くなった」17.2%などの回答も多く、「加害者や被害時の状況を思い出させるようなことがきっかけで、被害を受けたときの感覚がよみがえる」と回答した人も16.7%。これを踏まえると、精神的な影響が大きく残る可能性もあることが想像されます。

また、被害から回復できたかどうかについては、37.8%の人が「もとどおり回復した」と回答しているものの、「まったく回復していない」という人も10.2%に及びました。

まとめ

身体接触を伴う性暴力被害では、痴漢などの知らない人から受けるケースが多いほか、学校で目上の人から受けるケースも少なくないことがわかりました。性暴力は被害者側にその後も心に残るようなショックを与え、「恥ずかしい」という感情を抱かせる側面もあり、実態が見えにくい暴力でもあります。社会全体での取り組みが不可欠ですが、家庭においても、性暴力についての知識を持っておくことがとても大切でしょう。

(マイナビ子育て編集部)

※画像はイメージです

調査概要

■若年層の性暴力被害の実態に関するオンラインアンケート及びヒアリング結果 報告書調査地域:全国調査対象:16歳〜24歳のアンケートモニター 1.スクリーニング調査(有効回答数:8.641人)  1次配信=有効回答数:6,224人 2次配信=有効回答数:2,717人 2.本調査(有効回答数2,040人)調査時期:2022年1月7〜17日

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