容姿コンプレックスから15歳の美少女を殺害… 被害者の霊に憑りつかれ犯人の容貌が激変? 遺族「娘と同じ目つきだった」

2023年2月11日(土)11時0分 tocana

 絶えることのない自己否定と絶望の果てに女がとった“観念的”な行動とは——。それは成り代わりたいほどに羨ましい人物を殺害することであった。


15歳の美少女に嫉妬するベビーシッター

 動機が不可解な殺人事件は決して珍しくはないが、そのターゲットに成り代わるために殺害を計画し、実行に移した殺人犯がいた。美少女に成り代わることを意図した実に“観念的”な殺人事件が、1999年のオーストラリアで起きた「レイチェル・バーバー殺人事件」である。


 オーストラリア・メルボルン出身の3人兄弟の長女、レイチェル・バーバー(当時15歳)は、モデル業とダンスに情熱を傾ける、才能と野心に満ちた若い女性であった。一流のミュージカル女優になることを思い描いていた彼女は、学校で最も人気のある生徒の1人としても学友の間でも尊敬され、学業優秀で前途有望なボーイフレンドがいたのである。


 背が高くてほっそりしたモデル体型のレイチェルは「妖精のような顔」とエメラルド色の瞳など、好印象を与える身体的特徴に恵まれていた。


 彼女はリッチモンドのダンスファクトリーの有望なレッスン生でもあり、そのパフォーマンスも好評を博していた。ダンスであれショーであれ、ステージ上では自信に溢れていた彼女だったが、その実、私生活ではきわめて内気な性格で特に初対面の人物の前では極端な人見知りであった。


 1993年(1992年との記録もある)にレイチェルの家族はメルボルンからモント・アルバートに引っ越したのだが、その屋敷では子どもたちのベビーシッターとしてキャロライン・リード・ロバートソン(当時19歳)を迎え入れた。


 すぐに信頼できる家族の一員になったキャロラインだったが、長女・レイチェルの人気と成功を耳目にするたびに、心の奥底で彼女に対する羨望と嫉妬を募らせていたのだった。


 キャロラインはぽっちゃり体型の自分の容姿にきわめて深刻なコンプレックスを抱えており、14歳の時に描いた自画像には「敗者」、「望まれていない」、「汚い」、「肥満」、「頭がおかしい」などの侮蔑的な言葉で自分自身を貶めていたのである。


 彼女は家族を離れた父親(父と娘の交流は続いていた)へ送った手紙の中で、自分がいかに価値がないと感じているかを書き綴っている。


「私は、天使でいっぱいの異星人の環境に投げ込まれた、問題を抱え、苦しめられ、失われた魂のように感じます」(手紙より)


 キャロラインの自虐的コンプレックスとレイチェルへの嫉妬の感情は、最終的に自分のアイデンティティをレイチェルと交換してみたいという考えに発展し、レイチェルを殺害するという恐ろしくも観念的な犯罪に駆り立てたのである。


入念に計画された犯行と杜撰な逃避行

 突拍子もない動機の犯行であるにもかかわらず、犯行は入念に計画されて行われた。


 キャロラインは2人だけになった機会を見計らってレイチェルに割りの良いアルバイトの話を持ちかけたのである。それはある心理学研究の実験に参加することで、短時間で500ドルの報酬が得られるが、周囲には絶対に秘密にしておかなくてはならないという条件であった。もちろんこれはレイチェルをおびき出すための偽りの儲け話である。


 そして1999年3月1日の朝、レイチェルはボーイフレンドだけには「単発のバイトに行く」とだけ知らせて出かけたのだった。そしてその後、レイチェルが戻ってくることはなかったのだ。


 レイチェルはこの日、一人暮らしをしているキャロラインのアパートに招かれ、睡眠薬が混入されたピザを食べさせられて眠ったところを電話コードで首を絞められて殺害されたのだった。犯人はもちろんキャロラインである。


 入念な計画で犯行に及び、レイチェルを殺害したキャロラインであったが、その後の行動は逃避願望を安易に反映した杜撰なものであった。


 帰らぬ娘を心配したレイチェルの両親はすぐに警察に連絡していたのだが、翌日から仮病を偽ったキャロラインは毛布に包んだ遺体を自宅に2日間置いていた間に銀行でローンを組んでお金を借りた。その後にタクシーで幼少期にゆかりのある農場へ行き、かつてのペットの愛猫の墓の横にレイチェルの遺体を埋めたのだった。


 この後、キャロラインは長距離列車に乗ってこの地を離れて別人として生きていくことを計画していたのだが、あまりにも不可解で疑わしいキャロラインの行動を受けて周囲はすでに警察に相談しており、ほどなくしてキャロラインは当局に身柄を拘束されることになったのである。



興味深い容貌の変化

 2000年10月、法廷でキャロラインは有罪を認め、懲役20年の実刑判決が下った。


 法廷でキャロラインは“何者でもない自分”は常に自分以外の誰かになりたいという願望があったと告白し、自分が望むすべてのものを具現化した存在であるレイチェルが今の自分に憑りついているのだと説明した。つまりキャロラインはレイチェルになろうとしてレイチェルを殺害し、今の自分にはレイチェルが憑りついているということになる。


 ちなみに逮捕後、警察がキャロラインのアパートの部屋を捜索したところ、レイチェル・バーバーの出生証明書を取得する申請書が発見されている。


 服役したキャロラインは2013年8月10日に仮釈放の資格を得たが、レイチェルの両親が娘を殺した犯人をまだ刑務所に閉じ込めておくようにと公に働きかけ、仮釈放は延期された。


 その1年半後の2015年1月にキャロラインは刑務所から釈放された。彼女は自分の犯罪に対する反省を表明したことは1度もないと話している。


 興味深いことに、キャロラインはこの15年間の服役中にそれまでのぽっちゃり体型からスリムな体型とすっきりした顔つきに変貌しており、15年ぶりに見た者には別人としか思えないほどの変わりようであったのだった。


 特にレイチェルの母親はかつてのベビーシッターであったキャロラインの姿を20年ぶりに目にした時、一瞬彼女がレイチェルだというあり得ない見間違いをしたという。変わりはてたキャロラインは「レイチェルのような目つき」をしていたと話している。


 レイチェルを殺害したことで、“何者でもない自分”がレイチェルに憑りつかれたというキャロラインの言い分だが、ひょっとするとこの容貌の変化から超常現象的な説明ができる可能性があるとすれば恐ろしい限りである。



参考:「Bugged Space」ほか

tocana

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