妖艶に服を脱がされ、ベッドの上で悶え…「1万人に1人の美少女」で元アイドル、『子宮恋愛』主演女優・松井愛莉(28)の数奇なキャリア
2025年5月23日(金)12時0分 文春オンライン
「私の子宮が恋をした」——インパクトの強いタイトルとPR動画がネット上で拡散され、放送前から話題になったドラマ『子宮恋愛』(読売テレビ・日本テレビ系)。夫との冷え切った家庭に虚しさを抱えて同僚との不倫を選ぶ主人公を演じたのは、元アイドルで俳優・モデルとして活動する松井愛莉(28)だ。

松井といえば『子宮恋愛』以前にも2017年には『オトナ高校』(テレビ朝日系)で性経験豊富な「エロ小悪魔教師」役を演じた。2021年には『エロい彼氏が私を魅わす』(FOD配信)というセンセーショナルなタイトルのドラマで主演を務めたほか、ドラマ以外でもこれまで何かと話題になることが多かった俳優である。
「メンバー紹介であきらかに声援が少なくて、悲しかった」
福島県出身の松井は、12歳のときファッション誌『nicola』のモデルオーディションで1万人を超える応募者の中からグランプリを受賞したことがきっかけとなり、芸能界入りを果たす。
モデルデビューした翌年には、所属事務所・アミューズのタレントによるグループ「さくら学院」初代メンバーとして、アイドル活動もスタート。同期には三吉彩花の姿もあり、2人で派生ユニットを組んで「みよまつ」と呼ばれるなど交流が深かった。
2018年のインタビューで、三吉はさくら学院時代の松井について「スーパー人見知り」な性格と評している。グループのメンバーとなかなか打ち解けられず、歌やダンスも未経験でパフォーマンスでは苦労した。周囲のメンバーとの間に実力や人気の差を感じて、肩を落とすこともあったといい、松井自身も当時を振り返って次のような本音を漏らしていたことがある。
〈「ライブ中には、メンバー紹介であきらかに声援が少ないとか、その露骨すぎる事実に悲しくなったこともあります」
「自分が望まないところで勝手に比べられちゃう世界なんだってことを初めて突きつけられて。でも、あとになってみると、この頃があるからメンタル面はめちゃくちゃ鍛えられたのかも」(『松井愛莉1stスタイルBOOK ハタチ』より)〉
苦労もあったアイドル期間を通して逞しさを身につけた松井はその後、元々消極的だった演技の仕事にも挑戦して活動の場を広げていく。
ドSな夫に首筋を嚙まれ…バラエティ豊富な出演作の数々
俳優デビュー作は、学園青春ドラマ『山田くんと7人の魔女』(2013年、フジテレビ系)。山本裕典演じる問題児の男子生徒と、西内まりや演じる優等生の女子生徒の体が入れ替わるラブコメディで、松井はツインテールの後輩女子を初々しく演じた。
若手の登竜門として知られる、結婚情報誌『ゼクシィ』の6代目CMガールに16歳で抜擢され、知名度が急上昇したのもこの年だ。時を経て今年「法的に結婚できない年齢の女性タレント」起用をめぐって同誌に対する批判が殺到したことも記憶に新しいが、松井といえばそのように、関わった仕事の周辺で何かと話題が多い人でもある。
過去には、ファッション誌『Ray』(2015年4月号)で松井がモデルを務めた際、女子大生風のコーディネートに添えられた「教授のお宅へお呼ばれ」という見出しが、なにやら意味深だとネットがざわついたことも。この年は、人気アニメを原作とする実写化でネット世論がざわついたドラマ『あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。』(フジテレビ系)で「あなる(安城鳴子)」役も演じている。
その後『社内マリッジハニー』(毎日放送・TBS系、2020年)では、ドSな夫と即日婚し、恋の心理戦を繰り広げる“あざとかわいい”妻を熱演。2021年に主演した『エロい彼氏が私を魅わす』は「私の子宮が指さす彼」「犯罪レベルのセクシィキス」などの強烈なサブタイトルが注目を集めた。
最新の主演作である『子宮恋愛』も、放送前から物議をかもした。しかし、本編には松井の熱演が目を引く回もある。中でも5月15日に放映された第6話は、モラハラ気質の夫(沢村玲)に感情を抑圧されてきた主人公が、ついに離婚を願い出る見せ場だった。
あるシーンで松井の演じる主人公に離婚届を差し出されて逆上した夫は、彼女を床に押し倒して力ずくで押しとどめようとする。松井は苦悶の表情で目に涙を浮かべて激しく抵抗。強い意思で夫を振り払ってやっとの思いで家を飛び出す——という、これまでの展開で最も切迫したといえるシーンだった。
ボロボロで街に出た松井を、想い人である同僚(大貫勇輔)が見つけ、2人は感情のあふれるまま初めて一夜をともにする。夫の言いなりだった女性が感情を取り戻し、不倫の恋に没頭していく姿を全身全霊で表現していた。
抜群のスタイルでも「素朴」なキャラをしっかり演じ切る力がある
松井のキャリアを振り返ると、センセーショナルな話題に視線が集まりがちだが、俳優としての彼女は邪なところやずるさがない実直な役柄がさまになる人でもある。
2024年に人気を博したホームドラマ『西園寺さんは家事をしない』(TBS系)では、松村北斗演じるシングルファーザーの病死した妻の役として、大切に思われ続ける清廉な女性を好演。病で亡くなった設定で、回想シーンのみの出演ではあったものの、衰弱していく中でも松村を思ういじらしい姿が魅力的であった。
さらに振り返ると、初主演の映画『癒しのこころみ〜自分を好きになる方法〜』(2020年)で演じた、同僚や常連客に見守られながら成長する不器用な新米セラピスト役もよく似合っていた。
主人公はぶっきらぼうな父親と2人で古めの一軒家に暮らしながら、街の小さなリラクゼーション店で働いているというじつに地に足のついた設定。モデル出身で非凡なスタイルの持ち主でもある松井だが、意外とそんな役柄にもなじむ。いい意味で「素朴」なのだ。
「仕事は逃げられないから、やるしかない」
『癒しのこころみ』主人公がそうであるように、松井といえば毅然とした役柄よりも、ときに迷ったり悩んだりするような共感性の高い女性を等身大で演じている印象が筆者にはある。では本人の「素」はどうかと言うと、インタビューで次のように語っていた。
〈「何か悩みがあったときも人にはあまり相談できないタイプ。(中略)何かあったときに乗り越えるのは私であって、私が解決しなきゃ意味がないっていう思いもあるんです。だから今までも苦しいときは自分で折り合いをつけてきたつもり。仕事において逃げられないのわかっているから、やるしかない。じゃあ、それをどうがんばるのか、これからどうするのかを前向きに悩もうと。(中略)有言実行よりも何もいわずに達成していくほうが素敵だと思う部分も大きくて」(『松井愛莉1stスタイルBOOK ハタチ』より)〉
苦しみや迷いは胸の内に秘め、泥臭くとも努力して前へと進む。そんな姿勢に彼女のプロ意識が見える。何かと話題の渦中に巻き込まれることも多いが、これからの松井愛莉の俳優道に幸多からんことを祈ってやまない。
(白川 穂先)