「低脂肪や低カロリーを気にする人は考えを改めて…」「長く<コレステロールは恐ろしいもの>と描写されてきたが…」サプリメント会社創設者が解説する栄養素の新常識
2025年2月21日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
睡眠不足、止まらない食欲……。サプリメント会社ウィルパウダーズ創設者のダヴィニア・テイラーさんによると、人間のカラダで起きるあらゆることは、快適な気分にするセロトニンや眠気の原因となるメラトニンといった<ホルモン>の働きがコントロールしているそうです。今回は、そんなダヴィニアさんがホルモンをコントロールする対処法をまとめた著書『いつでも調子がいいカラダになる! ホルモンをととのえる本』より一部引用、再編集してお届けします。
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脂質はカラダに悪い?
「脂質は燃料です!」というメッセージを、ぜひ頭に叩き込んでください。炭水化物を食べたら、燃焼するのは炭水化物です。脂質を食べたら、燃焼するのは脂質です。今の私の食生活には脂質がたくさん含まれますが、それは、次のことを学んだからです。
低脂肪ダイエットは、恐ろしいほどカラダに悪いうえ、今より太るだけです。なぜなら、カラダは常に炭水化物を燃焼するようになり、過剰なエネルギーを脂肪として蓄えてしまうから。むしろ、オメガ3のような脂肪酸こそ、かなり重要です。なぜなら私たちのカラダは、食べ物から特定の栄養目標値を摂るようにプログラムされているからです。
本当にお腹が空いていてグレリンを分泌しているとき、カラダは特定量のアミノ酸と脂肪酸を欲しています。そしてあなたが何を食べるかにかかわらず、カラダはそこにアミノ酸と脂肪酸を探し求めます。
そのため、たとえばトーストを1枚食べた場合、ある程度のアミノ酸は含まれるものの完全食ではないため、脂肪酸の目標値を満たすことができません。そこで、ホルモンが食欲を掻き立て、アミノ酸と脂肪酸の目標値を達成するまで食べ続けるようにしむけるのです。
ところが、口にしたのが善玉脂質の含まれる栄養満点な食べ物だったら、すぐに満足して、レプチン反応がもう食べるのをやめていいと伝えてくるでしょう。
善玉脂肪が含まれる食品
低脂肪や低カロリーを気にするより、良質な脂肪はカラダと食欲にとってとてもいいということを理解するよう、考え方を改める必要があります。
善玉脂肪を摂るには、アボカド、卵、脂の乗った魚、動物性脂肪、グラスフェッド・バター〔牧草だけを与えられて育った牛の牛乳をつかったバター〕のような食品を食べるか、次のような善玉脂質を料理に使う、あるいは食事に加えるなどします。
『いつでも調子がいいカラダになる! ホルモンをととのえる本』(著:ダヴィニア・テイラー 翻訳:松丸さとみ 監修:松村圭子/CCCメディアハウス)
【善玉脂質】
・MCTオイル
・オリーブオイル/エキストラバージン・オリーブオイル(脂質は栄養の吸収を高めるため、オリーブオイルをサラダに加えればサラダの栄養がカラダに吸収されやすくなります)
・亜麻仁油(私はたまにスムージーに少しだけ入れます)
・アボカドオイル
・フィッシュオイル
・かぼちゃの種
カラダにはコレステロールが必要
コレステロールとは、体内の全細胞内に存在する蝋(ろう)のような質感の物質です。エストロゲン、プロゲステロンなどすべての性ホルモンや、ビタミンD(ホルモンです!)など、特定のホルモンをつくるのに欠かせません。コレステロールはまた、脂肪の消化・吸収を助ける胆汁酸となります。
80年代や90年代に育った人は、コレステロールがメディアで大げさに取り上げられていたのを覚えているでしょう。今でさえ、コレステロールは何か恐ろしいもののように描写され、何としてでも減らすべきだと言われます。
でも、「高コレステロールはカラダに悪いので、コレステロール値を下げる薬を飲めばいい」というような簡単な話ではありません。本当のところは、コレステロールは健康的なホルモンの量を保つために非常に重要です。
コレステロールには、HDL(高比重リポタンパク質)とLDL(低比重リポタンパク質)の2種類があります。
HDLは、血中の余分なコレステロールを回収して肝臓に戻すため、「善玉コレステロール」と呼ばれています。肝臓はそのコレステロールを排出して、心臓を病気から守ります。
「悪者」はLDLで、血管壁にたまって血栓になったり、そこから心臓発作や脳卒中を引き起こしたりする可能性があります。そのため、HDLとLDLの値を区別する必要があります。同じものではないのです。
卵はコレステロール値は高いけれど……
食事に関して、コレステロールの考え方を改める必要があります。卵はコレステロール値は高いですが栄養がたっぷり含まれており、食欲や血糖ホルモンをコントロールする食べ物としてぴったりです。私は毎日、卵を食べています。
悪玉コレステロールを増やすのは、糖質と炭水化物なので、何も悪くない卵まで責めないでください。人間はこれまで数千年にわたり卵を食べてきました。
アメリカ心臓協会は今や、コレステロールは「過剰摂取が懸念される栄養素ではない」※と報告しています。
※:https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6024687/
※本稿は、『いつでも調子がいいカラダになる! ホルモンをととのえる本』(CCCメディアハウス)の一部を再編集したものです。
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