48歳、一人暮らし。30年で組んだ住宅ローンが残り1800万円あり、老後が不安

2024年2月26日(月)22時20分 All About

ご相談者は、44歳のときに30年で住宅ローンを組み、残債が1800万円あり老後が心配だという48歳の一人暮らしの女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

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老後も不安で、繰り上げ返済のタイミングに悩んでいます

皆さんから寄せられた家計の悩みにお答えする、その名も「マネープランクリニック」。
今回のご相談者は、44歳のときに30年で住宅ローンを組み、残債が1800万円あり、老後が心配だという48歳の一人暮らしの女性です。ファイナンシャル・プランナーの深野康彦さんがアドバイスします。

相談者

ザイさん
女性/会社員/48歳
関東/持ち家(マンション)

家族構成

シングル

相談内容

住宅ローンが1800万円あります。44歳のときに30年ローンで購入しましたが、老後の資金が心配です。今後、結婚の予定はありません。ボーナスの金額はかなり変動するため、なるべく貯金に回しています。繰り上げ返済には不安があり、タイミングを悩んでいます。

家計収支データ

ザイさんの家計収支データは図表のとおりです。

家計収支データ補足

(1)ボーナスの使い道
年間60万円。20万円は両親や姪などのお祝いや、お小遣い、洋服、コンタクトや家電製品、旅行など。40万円は貯蓄。その前は年間140万円ほどありましたが、100万円は貯蓄しました。
(2)住居費について
・購入価格:4140万円
・ローン借入額:2140万円
・借入金利:0.85%(10年固定。その後1.2%)
・返済期間:30年
・ローン残債:1880万円
※返済は毎月返済のみ。管理費・修繕積立金で1万5750円。今後、修繕積立金は3万円くらいに上がる可能性があります。
(3)加入保険について
・医療保険(死亡保障なし)=毎月の保険料6500円
・会社の団体保険=毎月の保険料1500円
(4)退職金と公的年金について
年金は厚生年金合わせて、月に12万円くらいと予想。退職金は500万円くらい。65歳まで再雇用がありますが、雇ってもらえるかわからない。業界的に先があまり良くないため。

FP深野康彦の3つのアドバイス

アドバイス1:3年ごとに住宅ローンの繰り上げ返済をして54歳で完済可能
アドバイス2:60歳時点で3500万円の金融資産。老後の心配は不要
アドバイス3:これまで頑張ってきたのだから、楽しみのために使っていい

アドバイス1:3年ごとに住宅ローンの繰り上げ返済をして54歳で完済可能

結論からいえば、まったく心配はありません。家計に無駄はなく、ここまでよく頑張ってこられたと思います。住宅ローンについては、3年ごとに繰り上げ返済をしていけば、54歳で完済できます。安心してください。
現在、毎月10万円、ボーナスから40万円の貯蓄ですから、年間で160万円貯めておられます。ボーナスの変動があるとのことで、ボーナスが増えれば、もっと余裕のある計画になりますが、ひとまず、現状の貯蓄ペースで考えてみます。
1回目の繰り上げ返済で、すぐに500万円使って大丈夫です。貯蓄は1100万円になり、住宅ローンの残りは1380万円。年間160万円の貯蓄ですから、3年後には480万円。これを2回目の繰り上げ返済に回します。キリよく500万円。貯蓄は1080万円、住宅ローンの残りは約680万円になります。
ここから3年後の住宅ローンの残りはおそらく450万円程度ですから、一気に完済できます。貯蓄は1100万〜1200万円程度残せているでしょう。
つまり、6年後には住宅ローンを完済させることが無理なくできます。そのときご相談者は54歳ですから、60歳の定年退職まで貯蓄を積み重ねていけます。住宅ローンがなくなりますから、毎月の貯蓄を増やすことができます。

アドバイス2:60歳時点で3500万円の金融資産。老後の心配は不要

54歳から毎月16万5000円、ボーナスから40万円の貯蓄ができれば、年間約240万円。ボーナスが増えて昨年同様に100万円貯蓄に回せれば年間300万円の貯蓄ができます。年間240万円なら6年間で1440万円、年間300万円なら6年間で1800万円を上積みできるわけです。
60歳時点での金融資産は2600万〜3000万円、これに退職金の500万円を加えて3100万〜3500万円となります。これだけ老後資金として用意できれば、何も心配することはありません。
住宅ローンがなくなったあとの生活費は11万〜12万円に削減できています。公的年金の受給が始まる65歳までの5年間は貯蓄の取り崩しになるので、生活費がまかなえる程度のパート・アルバイトができれば十分です。
仮に毎月3万円、年間36万円の取り崩しがあったとしても、5年間で180万円。65歳時点で3000万円は残せます。65歳以降は公的年金で生活費はまかなえますから、大きな出費だけ貯蓄から使うようにすれば、生涯、お金に困ることはないでしょう。

アドバイス3:これまで頑張ってきたのだから、楽しみのために使っていい

このように考えていけば、もう少し自分の楽しみにお金を使ってもいいのではありませんか? 住宅ローンが残っていると不安になる気持ちもわかりますので、6年後までもうひと頑張りして、完済したら、少し生活にゆとりを持たせてもいいかもしれませんね。
今、加入している2つの保険は、解約しても大丈夫です。何かあっても十分貯蓄で対応できます。一括払い済みの保険もあります。もし割り切れるなら解約して、そのお金を楽しみのために使ってもいいでしょう。ご両親や姪のために、ボーナスからお祝いやお小遣いをあげている優しさは立派です。でもこれからは、自分のためにも使ってくださいね。

相談者「ザイ」さんから寄せられた感想

とても安心しました。家計のやりくりが下手で使い過ぎていると毎月思っており、住宅ローンを組んでからは、買い物などをしてお金を使うと罪悪感がありました。これからは旅行なども計画していきたいです。繰り上げ返済は時期や金額も迷いがありましたが、具体的に提案していただいたので、とてもわかりやすかったです。ぜひ検討していきたいと思います。
教えてくれたのは……深野 康彦さん
マネープランクリニックでもおなじみのベテランFPの1人。さまざまなメディアを通じて、家計管理の方法や投資の啓蒙などお金まわり全般に関する情報を発信しています。All About貯蓄・投資信託ガイドとしても活躍中。
取材・文:伊藤加奈子
(文:あるじゃん 編集部)

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