先生の「平均年収」ってどれくらい? 小・中学校、高校、大学でどれくらい違う?

2024年2月29日(木)20時30分 All About

会社員と比べて、「安定した職業」というイメージのある教員。その年収は小・中学校や高等学校、大学など務める学校や役職ごとにさまざま。最新の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」と文部科学省「学校教員統計調査」をもとに、教員の年収を詳しく見ていきます。

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会社員と比べて、「安定した職業」というイメージのある教員。公立学校の教員であれば異動はあるものの、リストラはなく定年まで働き続けることができ、勤続年数とともに給与も上がっていく仕組みです。
その年収は小・中学校や高等学校、大学など務める学校や役職ごとにさまざま。本記事では最新の厚生労働省「賃金構造基本統計調査」と文部科学省「学校教員統計調査」をもとに、教員の年収を詳しく見ていきます。

小・中学校、高等学校、大学の教員の平均年収とは

はじめに、教員の平均年収を見てみましょう。

図1は小学校から大学まで、教員の平均年収をまとめたものです。小学校から大学へ教育段階が上がるにつれて、教員の年収も上がっています。また、国立や公立よりも私立の学校の方が、給与が高い傾向にあるようです。
なお、この表の額には「諸手当」や「教職調整額」が含まれていません。「教職調整額」とは時間外の勤務に対して支払われる手当のことで、給与の4%分とされています。したがって、実際の給与は表の額よりももう少し高くなります。

教員の平均年収を年代別に見るとどんな傾向がある?

次に年代別の平均年収について見てみましょう。

図2は年代別に教員の平均年収をまとめたものです。全体の傾向として59歳までは年代が上がるにつれて年収も上がっており、勤続年数とともに年収が上がる教員の給与体系の特徴が表れています。年代が上がるにつれて校長や教頭といった役職に就き、給与が上がる人が増えるため、このような傾向になるとも考えられます。
一方で60歳以降は年収が下がっています。これは現在、公立学校の教員の定年が61歳であり、その後は再任用として現役時代よりも低い給与で働くケースが多いことが理由です。現在、公立学校の教員の定年年齢が段階的に引き上げられており、2031年には定年が65歳になるため、今後60歳以降の年収は上昇する可能性があります。また、大学教員は一般的に65歳前後が定年のため、他の教員と比べて60歳以降の給与の下がり幅が小さくなっています。

教員の平均年収、役職に就けばさらに上がる?

続いて、役職別の平均年収を見てみましょう。

図3は役職別に小学校、中学校、高等学校教員の平均年収をまとめたものです。当然ながら、教諭から校長へと役職が上がるにつれて年収も上がり、小学校の教諭と校長の年収差は約160万円になります。この表の額には諸手当などが含まれておらず、賞与や、校長や教頭に支払われる管理職手当がさらにプラスされるため、実際の校長の平均年収は800万円を超える形だと考えられます。
なお、「令和4年賃金構造基本統計調査」によると、企業規模10人以上の民間企業における平均年収(※)は課長職が約784万円、部長職だと約913万円ですので、校長はちょうどその中間に位置するくらいの年収になります。

大学教員の平均年収も役職別にチェック!

また、大学教員の役職別の平均年収は以下の通りです。

こちらも役職が上がるにつれて年収も上がり、講師と教授の年収差は約183万円にのぼります。さらに大学のトップである学長になると、年収は約992万円となり、諸手当も含めれば1000万円を突破します。これは社員数1000人以上の大手民間企業の部長職に肩を並べる年収です(※)。
会社員であれば役職定年があり、50代になると給与が下がるケースがある一方で、教員は定年まで給与が上がり続けます。これは単なる収入面の利点だけではなく、働くことへのモチベーションが持続する利点でもあるのでしょう。「役職に就けばさらに給与を上げることもできる」という点において、安定したライフプランを描きたい人にとって、教員は魅力的な職業だといえるでしょう。
(※)参考「令和4年賃金構造基本統計調査」、「きまって支給する現金給与額×12+年間賞与その他特別給与額」で計算
(監修:酒井富士子/経済ジャーナリスト・オールアバウトマネーガイド)
(文:All About 編集部)

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