第二の人生を楽しむために、シニアこそ「終活」よりも「推し活」を!疑似恋愛で性ホルモンも活性化、見た目も気持ちも若々しく

2025年3月11日(火)12時30分 婦人公論.jp


(写真:stock.adobe.com)

現代の生きる糧として注目されている「推し活」。もともとは若者を中心に使われる言葉でしたが、昨今は「幸福寿命」の観点から高齢者に推奨する動きが活発になっています。そんな「シニア推し活」について、高齢者医療の第一人者・和田秀樹が解説した著書『60代から100歳以上まで 人生が楽しくなる「シニア推し活」のすすめ』より、一部を抜粋してご紹介します。

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推し活による疑似恋愛が若返りをかなえる


第二の人生を楽しむためには、恋することをおすすめします。なぜなら、恋愛には若返りの効用があるからです。

例えば、早くに夫を亡くし、未亡人として歳を重ねてきた女性が、恋をすると急に若返ることがあります。きれいになり、周囲の人からも「もしかして恋をしているんじゃない?」と驚かれることも少なくありません。

女性でも男性でも、恋をすると髪型や服装に気を遣うようになり、おしゃれになって、まずは見た目が若返ります。すると、自然と気持ちも若々しくなっていきます。そして、意欲的になり、さらには体を動かすことも苦でなくなります。

歳を重ねてからの恋愛には、このようにさまざまな面で、良い影響がたくさんあるのです。

しかし、現実問題として、夫や奥さんとは別の新たなパートナーを見つけるのは倫理的によろしくなく、家族や親の介護、さまざまな事情で離婚に踏み切れないという方が多いことも承知しています。むしろ、日本ではそういった方が大多数でしょう。

そんな方におすすめしたいのが推し活です。「残りの人生、恋愛なんてできそうにない」とか「こんなに歳を取って、好きな人に出会えるとは思えない」「いまさら楽しいことは諦めている」という方が、第二の人生をより充実したものにするために、推し活は大いに役立つのです。

一般的に推し活とは、アイドルやミュージシャン、スポーツ選手など、特定の誰かを応援する活動のことで、恋愛に似た効果があります。しかし、恋愛ほどリスクがなく、心に潤いや活力を与えてくれるのが魅力です。とりわけ女性におすすめです。

男性の場合は、キャバクラや風俗など、疑似恋愛に近いサービスが数多く存在します。おじいちゃんになったとしても、年金でまかなえる範囲でそういった場を利用する分には、なんの問題もありません。むしろ、多少のスケベ心は男性ホルモンの活性化にも役立つので、「どんどん行ったほうがいい」と、私はおすすめしたいところです。

とはいえ、「奥さんが厳しいからそういった店には行けない」という男性もいます。そういった場合でも、美少女フィギュアを集める程度なら許容してもらえるというケースもあるでしょう。

一方で、女性が同様のサービスを気軽に利用できる環境は、まだまだ整っていないのが現状です。超高齢社会において、特に女性のほうが長生きである現状を考えると、シニア世代の女性を対象とした新しいサービスや楽しみ方がもっと必要だと思っています。

例えば、良くない評判が多いホストクラブですが、私は、中高年の女性向けに文化サロンのような「インテリ系ホストクラブ」を作ってはどうかと考えています。

現在のホストクラブは、イケメンや押しの強いホストが多い印象ですが、すべての女性がそういったタイプを好むわけではありません。むしろ、知性や共感を持った中高年の男性とゆったりと会話を楽しめるような心安らぐ場所があれば、多くの高齢女性もリラックスして利用できるでしょう。

ホストは全員60代以上で、一流大学卒の男性ばかりを集めるのです。ただ、残念ながら、そのようなクラブはいまのところ存在しないようです。

そこで、女性には推し活という別のアプローチをおすすめするのです。推し活は有名人を応援するだけではありません。例えば、カルチャースクールの講座に参加して魅力的な講師との交流を楽しんだり、スポーツクラブで好みのインストラクターのレッスンに通ったり、近所のカフェの店員さんにときめいたりすることも推し活の一つです。

先日、偶然入ったカフェでこんな微笑ましい光景を目にしました。60代くらいの男性を囲んで、同年代かそれ以上の女性たちがワイワイと賑やかにお茶を楽しんでいたのです。

おそらく大学の先生かカルチャースクールの講師で、何かを学ぶ会のような教室が終わり、「先生、お茶でもご一緒にいかがですか?」という流れになったのでしょう。みなさん楽しそうで、元気に溢れている様子は、まるで女学生のころに戻ったかのように心弾む印象です。

講師との交流からときめきやドキドキといった感情が生まれることで、心身が若返るきっかけとなるのでしょう。


『60代から100歳以上まで 人生が楽しくなる「シニア推し活」のすすめ』(著:和田秀樹/KADOKAWA)


(写真:stock.adobe.com)

「推し」がいるだけで性ホルモンが活性化


このような推し活による疑似恋愛のようなものは、本物の恋愛とは異なり、「夫や子どもに知られたらどうしよう」と心配する必要もなく、後ろめたさやストレスを感じることもありません。

本物の恋愛や不倫などと違い、「ホストクラブに通う」「キャバクラに行く」といった行動ならば問題ないのではとも考えられますが、これらの趣味も「夫や妻に知られたらどうしよう」と、ビクビクしながら行っている場合は、やはりストレスになります。

一方で推し活は、何を気にすることもなく、恋愛感情のようなものがもたらすすばらしい効果を得られるのです。

例えば、女性の場合、閉経すると女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が大幅に減少します。しかし、例えば郷ひろみさんのファンになった妻の友人のように、推しを見てドキドキしたり、ときめいたりすると、女性ホルモンが再び活性化されます。すると、生理が再び始まるということがあっても不思議ではありません。

女性ホルモンが増加すれば、肌や髪にハリが出てきて、若々しく、きれいになります。若々しくなれば、メイクも楽しくなり、おしゃれにも気を遣うようになるでしょう。また、エストロゲンは骨の健康を維持するためにも重要なホルモンで、骨密度の維持に役立ちます。そのため、女性に多い骨粗しょう症にもなりにくくなります。

さらに、女性の場合は閉経すると男性ホルモンの分泌も増えるため、意欲や行動力が向上し、人付き合いに積極的になる傾向もあります。

「ネイチャー」という国際的な総合科学ジャーナルに掲載された学術論文では、女性に男性ホルモンを補充すると、寄付やボランティアなど人のために何かをしたいという気持ちが増えることが示されています。つまり、男性ホルモンは人間関係を良くする役割を担っているということなのです。

一方、男性の場合、年齢とともに男性ホルモンの分泌が減少していきますが、たとえ疑似であっても、恋愛をすると男性ホルモンが増加し、見た目も気持ちも若々しくなります。

男性ホルモンが多いとか増えるというと、「女好き」や「スケベ」というイメージで語られることがありますが、実際には男性ホルモンが増加すると、人に対して優しくなるだけでなく、人との付き合いが億劫でなくなります。

逆に、男性ホルモンが減少すると、女性に関心がなくなるだけでなく、人付き合いそのものが悪くなります。

女性にしても男性にしても、推し活による疑似恋愛は低下している性ホルモンの増加を促す格好の手段です。第二の人生をより幸せにするためにも、推し活に取り組むことをおすすめしたいと思います。

※本稿は、『60代から100歳以上まで 人生が楽しくなる「シニア推し活」のすすめ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

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