日本で「ユニコーン企業」が育たない理由とは?株式会社SmartHR芹澤雅人代表取締役CEO「日本の市場は限られている」「外に目を向けないと難しい」

2024年3月18日(月)21時10分 TOKYO FM+

笹川友里がパーソナリティをつとめるTOKYO FMのラジオ番組「DIGITAL VORN Future Pix」(毎週土曜 20:00〜20:30)。この番組では、デジタルシーンのフロントランナーをゲストに迎え、私たちを待ち受ける未来の社会について話を伺っていきます。3月16日(土)の放送は、株式会社SmartHR 代表取締役CEOの芹澤雅人(せりざわ・まさと)さんをゲストに迎えて、お届けしました。

(左から)芹澤雅人さん、笹川友里


芹澤さんは、2016年にSmartHR入社。2019年以降、CTOとしてプロダクト開発・運用に関わるチーム全体の最適化やビジネスサイドとの要望調整などを担い、2020年に取締役に就任。その後、D&I(ダイバーシティ&インクルージョン)推進管掌役員を兼任し、SmartHRにおけるD&Iの推進に尽力。2022年1月より現職に就いています。
◆これから先も“働き方”が変化していく!?
2013年に設立し、日本では数少ないユニコーン企業(創業10年以内で、企業評価額が10億ドル以上、かつ非上場のベンチャー企業のこと)になるまでに成長を遂げている株式会社SmartHRですが、芹澤さんが入社した2016年時点での従業員は、わずか3名でした。
「もちろん『ある程度まで(会社を)大きくしたいよね』という話はしていましたけど、まさかこんなに大きくなるとは誰も考えていなかったです。当時、思い描いていた事業計画と今(おこなっている事業)は全然違いますし、『SaaS(Software as a Service)』というクラウドサービス自体の盛り上がりもすごくあって、思っていた以上の成長です」と率直な感想を口にします。
入社当時からこれまでのデジタルシーンを振り返り、「一番、エポックメイキングだったのは“コロナ”ですね。良くも悪くも、それで“デジタル”という分野が進んだ」と言及。
さらには、「ここ数年、日本において“働く”という価値観がすごいスピードで変わってきていると感じます。それこそ“リモートワーク”もそうですし、特徴的なのは、昔は新卒で入って(定年まで)勤めあげる終身雇用の概念が当たり前でしたけど、近年は、みんな転職するし、副業も推進されている。これらはすごく大きな変化だと感じています。そして今後も、このレベルの変化がもっと起きていくだろうなと思っています」と推測します。
そして、今後の展望については「一人ひとりの生産性をいかに高めるか、労働力をどう確保していくか、といったところが注目され、変わっていくと思うので、この先、どういう働き方をしているのか楽しみです」と期待を寄せます。
◆ユニコーン企業「SmartHR」が求める“人材”
昨年SmartHR社は約300人を採用しましたが、芹澤さんは「今年はさらに(人材採用を)加速していきます!」と声を大にします。この言葉に笹川から「どんな人材を求めているのでしょうか?」との質問が飛ぶと、「私たちは、社内で自社のことを『スタートアップ』ではなく『スケールアップ企業』と呼ぶようにしています」と芹澤さん。
というのも、これは社外の対外的な印象を意識したもので、「“スタートアップ”と言うにはちょっと(企業規模が)大きいですが、まだまだ大企業ほど安定しているわけではないので、もっと(会社の)急成長を貪欲に追い求めていくために」と意図を述べたうえで、「(スケールアップ企業の)特徴としては、急激な製品・サービスの“市場のシェア拡大”と“組織の急成長”、この2つがキーなので、ここに関して創意工夫と努力で追い求めていけるような人たちは、(人材採用で)まだまだ求めたいところですね」と強調します。
さらには、「“人間にしかできないこと”というのは“アイデアを出していくこと”だと思うんですよね。なので、いろいろなことに興味を持つこと。アイデアって“既存のものと既存のものの組み合わせが発明になる”ってよく言われるんです。ということは、言ってしまえば誰でも(アイデアを)見つけられると思うので、そういった発明をして、それが自分の業務にどう活かせるのかを考えていくことが大切だと思います」と語ります。
◆日本でユニコーン企業があまり育たない理由とは?
最後に、日本でユニコーン企業がなかなか育たない理由についても言及。芹澤さんいわく、その大きな理由は2つあり、1つは、日本のスタートアップの市場が“ドメスティック(国内的)”であること。「国内で勝負しようとするスタートアップ企業がまだ多いにもかかわらず、日本の市場ってものすごく限られているので、外に目を向けないとユニコーン企業になるのは難しい」と断言します。
そして2つ目に、「ユニコーン企業を立ち上げて、ガツンとキャピタル・ゲイン(保有する資産を売却することによって得られる売買差益)で財を成すことに対するリアリティさが、日本ではまだまだ少ないと思います。シリコンバレーではそういった例をよく聞きますけど、日本はまだそういう例が出にくい」と指摘。
そして、「そこに憧れて(会社を)立ち上げる人が少なかったり、日本の法律的なところでもキャピタル・ゲインに対する柔軟性が欧米諸国に比べるとまだまだ足りないと思います。なので、このあたりを改善していくと、もうちょっと“ユニコーン企業をつくりたい!”というアントレプレナーシップ(リスクを恐れずに新たな事業を創造する精神・姿勢)を持った人が増えてくるんじゃないかと思います」と提言しました。
次回3月23日(土)の放送は、株式会社JPデジタル代表取締役CEOの飯田恭久(いいだ・やすひさ)さんをゲストに迎えてお届けします。“日本郵政グループのデジタル化”というミッションをになうJPデジタルの事業内容についてなど、貴重な話が聴けるかも!?
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3月16日放送分より(radiko.jpのタイムフリー)聴取期限 2024年3月24日(日) AM 4:59 まで
※放送エリア外の方は、プレミアム会員の登録でご利用いただけます。
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<番組概要>
番組名:DIGITAL VORN Future Pix
放送日時:毎週土曜 20:00〜20:30
パーソナリティ:笹川友里
番組Webサイト: https://www.tfm.co.jp/podcasts/futurepix/

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