第8回 横浜トリエンナーレ開幕! 現代アートの国際展をまずは「無料」で楽しもう

2024年3月21日(木)18時15分 All About

現代アートの国際展「第8回 横浜トリエンナーレ」が2024年3月15日に開幕。横浜美術館をメイン会場として6月9日まで開催されます。まずは無料会場から楽しんでみませんか?

写真を拡大

現代アートの国際展「第8回 横浜トリエンナーレ」が2024年3月15日に開幕。横浜美術館をメイン会場として6月9日まで開催されます。「現代アートは分からない……」という人は、まずは無料会場から楽しんでみませんか? 見どころを紹介します(画像はプレス内覧会にて筆者撮影)。

現代アートの国際展「横浜トリエンナーレ」について


横浜トリエンナーレは、横浜市で3年に1度開催する現代アートの国際展で、2001年にスタートしました。国際的に活躍するアーティストの作品から新進のアーティストまで、広く国内外の最新の動向を紹介するとともに、横浜から新しい価値観と新たな文化を継続的に世界へ向けて発信し、国際交流と相互理解に貢献することを目指しています。
横浜を象徴するアートプロジェクトとして8回目の開催となります。前回の2020年はコロナ禍の中にもかかわらず、約15万人が来場しました。

主会場はリニューアルしたばかりの横浜美術館


第8回 横浜トリエンナーレの総合ディレクターは横浜美術館の蔵屋美香館長。アーティスティックディレクター(AD)はリウ・ディン(劉鼎)さん、キャロル・インホワ・ルー(盧迎華)さんが務め、「野草:いま、ここで生きてる」をテーマに、全93組のアーティストが参加。そのうち日本初出展は31組で、新作を発表するのは20組です(2024年3月14日時点)。

横浜美術館をメイン会場とし、旧第一銀行横浜支店、BankART KAIKO、クイーンズスクエア横浜(2階クイーンモール)、元町・中華街駅連絡通路(みなとみらい線「元町・中華街駅」中華街・山下公園改札1番出口方面)の全5カ所が会場となっています。一部は無料で観覧可。
蔵屋館長は「横浜美術館は約3年の大規模改修を経て、本展開催をもってリニューアルオープンしました。バリアフリーの環境を整え、どなたでも安心して多くの作品を観覧いただけます。当初から掲げる『現代アートの良質の入門編となる』という目標に立ち返り、『美術館に行こう』と身構えることなく、多くの方がふとアートに出会うタッチポイントを増やしています。すべてが分かったわけじゃないけれど、新しい扉を少しだけ開けた気がする。会場を訪れた方たちにそんな感覚を持ち返っていただければ」とコメントしています。
横浜トリエンナーレでは、展示内容のキャプション(=説明文)も分かりやすく、現代アート初心者にもやさしい展示です。

テーマは中国の文学者・魯迅の詩集からインスパイア


ADの2人が注目したのは日本にもゆかりの深い中国の文学者・魯迅(ろじん)。テーマの「野草」は魯迅の詩集「野草」(1927年刊行)からとっています。
約100年前、時代の波に翻弄された魯迅は、絶望の中に小さな希望を見いだす自らの生き方を、もろくて無防備で、しかし同時にたくましく生き延びる力を持つ野の草にたとえました。詩集には1人1人の主体性が尊重される社会の実現に向けた魯迅の願いが込められています。それは現在でもなお、色あせないメッセージを私たちに教えてくれます。
「野草:いま、ここで生きてる」をテーマとした同展は、魯迅を出発点としながら1960年代の学生運動や1989年の東西冷戦の集結など、今日の息苦しさを生む原因となり、かつ世界のいろいろな地域で共鳴して起きた出来事をたどります。展示を通して、1人1人が未来を生き抜くために、希望を見いだす場となることを目指しています。

全5会場、7つの章で構成


同展は7つの章で構成されます。現在を生きる私たちの暮らしの縮図ともいえる「いま、ここで生きてる」から始まり、6つの章へと誘います。

「わたしの解放」(ギャラリー2、ギャラリー5)、「すべての河」(別会場)で紹介される作家たちの作品や活動には、社会的なルールの中で生きる彼らが想像力によってその制約を乗り越えていこうとするエネルギーに満ちています。

「流れと岩」(ギャラリー6)、「鏡との対話」(ギャラリー1)、「密林の火」(ギャラリー3、ギャラリー4)の章では100年の時間の流れの中で紡がれてきた歴史と作家個人の人生の接点が示されていきます。

「苦悶の象徴」(ギャラリー7)は、現在の現実を映す最初の「いま、ここで生きてる」の章とは対照的に、目覚めた個人の内面世界を示すものともいえます。

「無料」で観覧できる横浜美術館グランドギャラリー


同展の序章「いま、ここで生きてる」を展開する横浜美術館のグランドギャラリーは誰でも無料で観覧OK。10組の参加作家たちのインスタレーションによってキャンプ場のような空間となっています。
グランドギャラリーに併設する「ギャラリー8」とプロジェクトスペース こどものアートひろば「はらっぱ」、屋外の「ギャラリー9」、横浜美術館壁面、クイーンズスクエア横浜(2階クイーンモール)、元町・中華街駅連絡通路(みなとみらい線「元町・中華街駅」中華街・山下公園改札1番出口方面)も無料で観覧可。
現代アート作品にさらに興味がわいた人は、ぜひチケットを購入し、全作品をご覧ください。オンラインでの購入が便利。横浜市民は割引もあり、18歳以下は無料です。
横浜美術館限定販売で、期間中何度でも入場できるフリーパスも用意されています(他のチケットとの差額でアップグレードも可)。

横浜市内の各拠点でも展示やプログラムを実施


さらに「アートもりもり!」の名称のもと、同時期に市内の各拠点が統一テーマ「野草」を踏まえて展開するさまざまな展示やプログラムを実施します。
「第8回 横浜トリエンナーレ 鑑賞券」と「BankART Life7」(主会場:BankART Station)、「黄金町バザール2024」(主会場:京急線日ノ出町駅・黄金町駅間の高架下スタジオほか)のパスポート引換券がセットになったセット券も用意されていますので、あわせてお楽しみください。
「野草:いま、ここで生きてる」鑑賞券……横浜美術館/旧第一銀行横浜支店/BankART KAIKOの3会場に入場可能(別日程も可)
一般2300円、横浜市民2100円、学生(19歳以上)1200円
セット券……鑑賞券と「BankART Life7」「黄金町バザール2024」のパスポートがセットになったチケット
一般3300円、横浜市民3100円、学生(19歳以上)2000円
フリーパス……全ての会場に何度でも入場可
一般5300円、横浜市民5100円、学生(19歳以上)3000円
※横浜美術館のみで販売、他のチケットとの差額でアップグレード可

第8回 横浜トリエンナーレ 概要

会期:2024年3月15日〜6月9日
時間:10:00〜18:00(最終入場は閉場30分前)※6月6日〜9日は20:00まで開場
定休日:木曜(4月4日、5月2日、6月6日を除く)
問い合わせ:050-5541-8600(ハローダイヤル)※9:00〜20:00
この記事の執筆者:田辺 紫 プロフィール
神奈川県在住コピーライター。2001年2月より総合情報サイト「All About」で横浜ガイドを務める。2009年4月、第3回かながわ検定 横浜ライセンス1級取得。「横浜ウォッチャー」として、ブログ、SNSを運営。
(文:田辺 紫)

All About

「現代アート」をもっと詳しく

「現代アート」のニュース

「現代アート」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ