ジャパニーズウイスキーのロゴマーク制定、法制化を目指し整備を開始
2025年3月28日(金)16時4分 マイナビニュース
3月27日、日本洋酒酒造組合はジャパニーズウイスキーのブランド価値向上と品質保証を目指し、地理的表示(GI)および製法品質表示基準の申請とロゴマークの制定を発表した。2021年に制定された自主基準の実効性を高め、国際市場での信頼性向上を図る。
○「ジャパニーズウイスキー」を表すロゴマーク制定
日本洋酒酒造組合(JSLMA)は、2021年2月に「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」を制定し、ジャパニーズウイスキーの定義を明確化。2024年4月より本格施行を開始している。
3月27日に行われた「ジャパニーズウイスキーの認知向上の取り組みに関する記者会見」では、「ウイスキーにおけるジャパニーズウイスキーの表示に関する基準」の実効性を高めるため、新たに制定されたロゴマークの発表が行われた。
この背景には、外国産の原酒のみを使用したウイスキーを「ジャパニーズウイスキー」として輸出・販売したり、日本の酒造法上ウイスキーとは言えないブランドが海外においてウイスキーとして販売したりと、消費者に混乱を招いている状況がある。
2024年7〜10月にかけて行った調査では、ロサンゼルス・ニューヨークの販売店において、ジャパニーズウイスキーの定義に適合しない製品が約20%存在することが判明した。海外での認知度が十分とは言えず、基準の遵守状況も満足のいくレベルには達していない。
こういった状況を鑑み、国内外でのジャパニーズウイスキーの認知度を高めるとともに、消費者がジャパニーズウイスキーを識別しやすくすることを目指してロゴマークは制定された。
ウイスキー樽鏡板の中央に「JW」、周囲に「JAPANESE WHISKY」と、日本洋酒酒造組合を表す「JSLMA」が配置されており、すでに日本では特許庁へ商標登録出願を行っているという。
○ジャパニーズウイスキーの法制化に向けた取り組み
ロゴマーク制定と並行し、日本洋酒酒造組合はジャパニーズウイスキーのブランド価値向上に向けて、ふたつの施策を進めていることを発表した。
ひとつ目は、現在の自主基準の内容を法的に強化するため、酒類業組合法に基づく「地理的表示(GI)」の指定を目指すこと。ジャパニーズウイスキーの生産基準を定めるとともに、国内外での模倣品の流通を防ぐ効果が期待されている。
ふたつ目は、国税庁に「製法品質表示基準」の検討を進めることだ。ジャパニーズウイスキーを含む国産ウイスキー全般の表示ルールを定め、日本洋酒酒造組合に加盟してないメーカーに対しても規定を課すことで、消費者の商品選択に寄与することを狙う。
あわせて、大阪・関西万博の午餐会においてメニューに記載されるジャパニーズウイスキーを発表。ジャパニーズウイスキーが国際的にさらに高い評価を受けることを目指す。
日本洋酒酒造組合の理事長を務めるサントリーの塚原大輔氏は最後に、ジャパニーズウイスキーに該当しない国産ウイスキー(海外原酒を使用した製品、貯蔵期間3年未満の製品、スピリッツを加えた製品など)を含めた全体に対して言及した。
「ジャパニーズウイスキーに該当しない国産ウイスキーも、高い技能を持った職人さんの手によっておいしいウイスキーに仕上がっています。お客さまから幅広く愛飲されており、これらも重要なカテゴリーであると我々は考えております。日本洋酒酒造組合は、ジャパニーズウイスキーを初めとするすべての国産ウイスキーがさらなる発展を遂げることを心から願っております」(塚原氏)