【中国】電磁レールガンを使用し脅威のスピードで宇宙飛行士を宇宙に“撃ち込む”計画

2024年3月29日(金)12時0分 tocana

 今よりも安全確実に宇宙飛行士を宇宙に送り届ける画期的な技術の開発が近いのかもしれない。中国では巨大レールガンで弾丸のように宇宙飛行士を宇宙に向けて“撃ち込む”ことを計画しているという——。


■レールガンで宇宙飛行士を宇宙に“撃ち込む”


 国際宇宙ステーション(ISS)が運用されている衛星軌道上に宇宙飛行士を安全確実に、かつ低コストで送り届ける新たな技術は宇宙開発において依然として切望されている。


 かつては宇宙まで上昇する「軌道エレベータ」の構想が真剣に検討されていたが、残念ながらこのアイデアは現在の技術では実現不可能である。


 米カリフォルニア州のスタートアップ「SpinLaunch(スピンローンチ)」は、積載物を時速1600キロ以上で発射する“遠心発射システム(centrifugal launch system)”を開発している。このシステムは従来のロケットよりもはるかに燃料効率が高く低コストでの輸送が可能になるのだが、宇宙飛行士の打ち上げは想定していない。


 遠心発射システムは積載物を積んだ小型ロケットをまるでハンマー投げのように振り回して勢いよく射出するのだが、この過程で積載物に加わるGは凄まじく、到底、人間が耐えられるものではないのだ。


 より安全で効率的、かつ確実に宇宙飛行士を宇宙へ送り届けるにはどうすればよいのか。


 そこで中国の科学者たちは電磁レールガンに着目した。宇宙飛行士を“弾丸”に見立てて、レールガンで宇宙に向けて撃ち込もうというアイデアである。


 中国メディア「South China Morning Post」によると、巨大な電磁発射軌道に沿って極超音速宇宙船を加速させてマッハ1.6の速度で打ち上げ、上空で宇宙船は自らのエンジンに点火し、音速の約7倍で地球の大気圏を離脱するという。


 これまでのところ、科学者たちはこのアイデアを全長2キロのリニアモーターカー軌道上でテストし、時速1000キロ近くの速度で重量物体を発射することに成功している。軌道の長さを延長し、距離を延ばす計画もあり、それが成功すれば速度は5倍になるということだ。つまり時速5000キロという驚異的なスピードが射出時に実現するのである。


■レールガン開発では中国が一歩リードか


 NASAと米海軍も以前、電磁宇宙発射システムと極超音速機の開発を試みていた。


 1990年代、NASAは49フィートのミニテストラインを建設しようとしたが、技術的な困難と資金不足により、約32フィートまでしか完成させることができなかった。


 この野心的なプロジェクトは最終的に中止され、軍当局は代わりに低速電磁カタパルト技術の開発にリソースを投入した。


 米海軍はこの技術を最新鋭空母「ジェラルド・R・フォード」に導入したが、この電磁カタパルトシステムの故障率が高いことを公に認めている。


 現在、アメリカは再び原点に立ち返り、レールガンと極超音速ミサイルの開発に取り組んでいる。


 しかしブランクのあるアメリカよりも中国は電磁レールガンの研究で躍進を続けており、高性能電源、精密制御技術、強い電磁干渉に耐えられる電子機器の開発などで一歩先をリードしているともいわれている。


 レールガンで宇宙飛行士を宇宙へ向けて“撃ち込む”日は近いのか。そして米中のレールガン開発競争がどのような展開を見せるのか長い目で気にかけておきたい。


参考:「IFL Science」、「Daily Mail」ほか

tocana

「宇宙」をもっと詳しく

「宇宙」のニュース

「宇宙」のニュース

トピックス

x
BIGLOBE
トップへ