タイムトラベルはすでに始まっている?現代科学が示す「未来への旅」

2025年3月31日(月)16時0分 tocana


「時間は相対的」──アインシュタインが示した未来への扉

 タイムトラベルと聞くと、タイムマシンに乗って過去や未来を行き来するSF映画を思い浮かべる人が多いだろう。だが、科学者たちは「未来への時間旅行」はすでに現実のものであり、私たちの身近なところで起きていると語っている。


 鍵となるのは、アインシュタインが1915年に発表した「一般相対性理論」だ。この理論によれば、時間は絶対的なものではなく、観測者の速度によって流れ方が変化する。つまり、速く動くほど、時間の進み方が遅くなるというわけだ。


 この原理はすでに実証されている。1971年、科学者ハフェルとキーティングは超精密な原子時計を飛行機に積み込み、地球を一周させた。その結果、飛行機の時計は地上の時計とわずかに異なる時間を刻んでいた。これが、未来への“時間旅行”の証拠である。


宇宙飛行士は「未来人」?時間を超えて生きる現実の旅人たち

 SFのような話だが、この時間のズレは現実にも起きている。国際宇宙ステーション(ISS)で長期間過ごした宇宙飛行士スコット・ケリーは、地球に残った双子の兄マーク・ケリーより、わずかに若くなって帰還した。これは彼が高速で地球を周回する間、時間がわずかに遅れて進んだためである。


 この「時間の進み方の違い」は、GPS衛星などの精密なシステムにも影響を与えており、実用上も無視できない現象となっている。人工衛星が正確な位置情報を送るには、この相対性理論に基づいた時間のズレを補正しなければならない。


 つまり、私たちは誰もが一秒ずつ時間を進む一方で、宇宙飛行士や高速移動をする物体は「より未来へ進む」ことができる。これが、現代科学が捉える「タイムトラベル」の実態である。


過去への旅は可能か?理論上の可能性と現実の壁

 未来への移動が科学的に可能である一方で、「過去へのタイムトラベル」には大きな壁が立ちはだかる。


 理論物理学者たちは、ブラックホールのような巨大な重力源によって時空を極端に歪めることで、いわゆる「ワームホール(時空のトンネル)」が発生する可能性を指摘している。もしこのワームホールを安定して維持できれば、過去へとつながるルートが開けるかもしれない。


 しかし、問題は山積みだ。こうしたワームホールを維持するには「負の質量」と呼ばれる、未確認の物質が必要だとされている。また、仮にその技術が実現しても、その装置が作られる以前の過去には戻れない。つまり、「過去に戻って歴史を変える」といったSF的展開は、残念ながら今のところ物理的に不可能ということになる。


 映画のような時間旅行はまだ夢物語かもしれないが、私たちはすでに、知らぬ間に「未来へ向かう旅」を始めているのかもしれない。


参考:Daily Mail Online、ほか

tocana

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