さえない無職中年→超イケオジに大変身…「天職は女性用風俗セラピスト」と気づいた43歳男性の超ユニーク人生「入店5ヶ月で売上200万円になりました」
2025年4月13日(日)12時10分 文春オンライン
〈 「マンションにトラックで突っ込もう」手はふるえ、涙を流しながらクレーム対応したことも…“人の気持ちがわからない”のに営業マンになってしまった「43歳男性の悲劇」 〉から続く
「人の気持ちがわからない」——幼少期からそんな悩みを抱え、人よりも多くの苦労を抱えてきた参時さん(43歳)。病気、両親との葛藤、ビジネスでの失敗など40歳になるまで多くの困難を抱えてきた。インタビュー後編では、そんな彼が「女性用風俗セラピスト」として花開くまでを紹介。たった数年で、まるで別人のように変身した理由とは?(全2回の2回目/ 最初 から読む)

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36歳での生まれ直し、なぜ「女性用風俗」の道に?
——伯父さんはなぜ自殺を?
参時 遺書には、「僕は好きなことができずに死にます」と書かれてあったそうです。田舎の長男として育てられ、家を出る選択肢が与えられていないことを嘆く内容でした。24歳で自殺した伯父と、22歳で家を出た僕が母にとって重なって見えたかもしれませんね。
——幼少期からの鬱憤を明らかにしたとき、ご両親の反応はいかがでしたか?
参時 母はすごく困った顔をしながら「ごめんね」と。父からは「お前がそう思っているとはしらなかった。ただ、ちゃんとした大人になればいいなと思って育ててきたのだから、悪く思わないでほしい」と言われました。
両親に気持ちを伝えたことが嬉しくて、それから半年ぐらいは涙が止まらない生活になりました。誰かと喋っているとき、音楽を聴いたり、映画を観たりするだけで泣いてしまう。でも、よく笑うようにもなって。まるで赤ちゃんみたいにストレートな感情表現ができるようになりました。僕は36歳のときに「生まれ直し」たんです。
——そこからどういった経緯で「女風セラピスト」の道に?
参時 前の会社を辞めて、不動産関連会社を立ち上げました。でも、やっぱり合わなくて。それでも、生まれ直してから数年でコミュニケーションスキルにも自信がついたし、シェアハウス生活を通じて料理のスキルも向上しました。だから、最初は飲食業での独立を考えていたんですが、当時すでに40歳。体力的に厳しいんじゃないかと迷っていたときに知人から、僕が今所属している女性用風俗「3040」の開店の話を聞いたんです。
——40歳にして、女性用風俗セラピストに初挑戦。そこに迷いはありませんでしたか?
参時 お店の30〜40代のセラピストが多く在籍するというコンセプトは自分の年齢とも合致していたし、Hなことも好き。当時、彼女もいなかったので挑むしかないと思いました(笑)。1対1のコミュニケーションも、今の自分ならいけると自信もありました。
僕の面接を担当してくれたのが、「3040」代表の一条はじめさんでした。はじめさんは女性用風俗の一セラピストから、講師、店長、経営者にまで上り詰めた伝説的な人物です。出会ったその日に、絶対にこのお店でセラピストをやりたいと思ったんです。最初は副業で始めるつもりでした。でも、はじめさんの男性から見ても素敵な所作やエスコートを見て、本業としてやりたいと熱意を伝えたところ合格となりました。
1ヶ月で6000万円稼ぐセラピストも。ただし…
——デビューは順調でしたか?
参時 まず白髪を染めたり、レーザーでシミを除去したり、見た目を整えることから始めました。ヒゲがもともと濃いので、剃らずに伸ばしたんですが、どうやらヒゲのセラピストの需要は少ないらしくて……。最初はずっとお茶をひいていました。
でも、徐々に指名が入るようになったんです。入店5ヶ月めで大きな本指名をいただけて、月の売上が200万円になりました。
——すごいですね!
参時 努力の結果です。事務所で待機しながらも、自分に興味を持ってもらうために1日20件を目標にXでポストしたり、雑用を手伝ったりもしました。はじめさんの施術やエスコートの講習を何度も受けるうちに、スキルアップして本指名につながったのだと思います。
——どれくらい稼げるものなのですか?
参時 女性には一緒に過ごす時間を買っていただいています。24時間のご予約が入れば、1日24万円、1ヶ月間なら700万円になります。ちなみにこれまで一人のセラピストが1ヶ月で稼いだ最高額はいくらかわかりますか? 答えは6000万円です。
——え!
参時 10ヶ月分の予約が一度に入ったケースです。
——夢のある仕事に見えますが、苦労やトラブルもあるのでは?
参時 ハマりすぎた女性が、特定のセラピストにつきまとうようになってしまうことはあります。推しのセラピストを独占したいがために、ほかの女性から引き剥がそうとSNSで悪評を流したり。お店を辞めざるを得なくなると、悪評を流した本人から「これで私と一緒になれるでしょ」と迫られてしまうことも過去にはあったようです。
また、独占欲が暴走して、セラピストにきつい言葉を投げかける女性もいます。僕も人生で迷走していた時期があるので、理解できるところもあります。
——「人の気持ちがわからない」と悩んでいた頃と比べると、まったく別人のお話を聞いているようです。女風セラピストになってからのまわりの反応はいかがですか?
参時 僕が苦しんでいた頃を知っている友達に会うと、「楽しそうにやっているようで安心した」とよく言われます。この仕事を始めたときも全員に報告しました。応援や励ましの反応ばかりでしたし、みんな僕の仕事内容に興味津々でした(笑)。
——なかなか勇気のいることだと思います。
参時 30代後半からはもう別の人生です。自分の心を開くことができるようになったし、そんな僕を好きだ、素敵だと思ってくれる人も増えました。
——ご両親にセラピストになったことは話されましたか?
参時 売上が立って、初めて報告しました。父親からは「体だけは大切にしろよ」と、母親からは「顔が出る仕事はしないでね」と言われましたが、罪を犯しているわけではないので、こうして出ています(笑)。
僕はきっと、好きなことができずに死んでしまった伯父の魂の一部を引き継いでいるんだと思います。彼が生きられなかった人生をやり直しているのかもしれない。僕が自由に生きることが、伯父の霊を慰めることになる、そういう側面もあると思うんですよね。
これからの野望は…
——これからもセラピストを続けますか?
参時 はい。自分の天職だと思います。ほかのセラピストと違って、僕は夜職や同業他職での経験がまったくない未経験からのスタートでした。一条さんはじめ、お店のスタッフにゼロから育ててもらって、今では講師や店長の仕事も任せてもらえるようになりました。
僕みたいな30〜40代の男性が、若い男性にはない経験値と安心感で女性をエスコートするのが「3040」の存在価値ですし、僕たちにはそれができると自負しています。こうした大人の色気で、多くの女性に素敵な時間を過ごしていただきたい。
そして、女性が性の解放を自由にできる世の中にします。女性に幸せになり笑ってもらって、その女性の近くにいる人にも幸せになってもらう。僕は皆に笑ってもらいたいんです。
(東 ゆか)