人気スタイリストが教える、毎日同じ服を着続けても飽きない理由。「1セットの服」で自分を好きになる方法とは?【2025編集部セレクション】

2025年4月15日(火)12時0分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

2024年上半期(1月〜6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年5月15日)
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「今日何を着たらいいか分からない」「似合う服と着たい服が違う」…。一年3セットの服を着回す「制服化」を提唱する人気スタイリスト・あきやあさみさんの元には、このようなお悩みが毎日のように届くそう。そこで今回は、「なりたい自分」に近づける服の選び方を、自著『「一セットの服」で自分を好きになる』から、一部引用、再編集してお届けします。

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美術館に行くような気持ちでファッションを見てみよう


(1)枠を決めずに自由な想像をして選んだ一セット
(2)現実的な予算や用途から選んだ一セット

(1)と(2)のコーディネートをどちらも真剣に考えてみてください。

きっと、かなり違ったファッションスタイルが出来上がったのではないでしょうか?

もちろん(1)の服装は、実際に購入して生活するのは現実的ではないかもしれません。しかし一度大きく視野を広げてみると、これから服を選ぶときの視点が変わってくるはずです。

まずは、想像を広げるためにファッションの世界を広く覗いてみましょう。

例えば、YouTubeでシャネルやディオール、プラダ、グッチなどのブランドのコレクション(パリコレなど)を見たり、ヴォーグやヴァンサンカン、シュプールなどの雑誌をじっくりと眺めたりしてみましょう。

そこには、装飾的で華やかで贅を尽くしたファッションの世界が広がっています。服を探すというよりは、美術館や博物館、テーマパークに行くような気持ちになってください。

そこで見られるものは、なかなか買えない価格帯のものばかりですし、日常的に着用できる服ではありません。しかし眺めているうちに「最高峰ってこんな感じなんだな」「もし何も縛りがなかったら、こんな服を着てみたいな」と、解放的で自由な発想ができるようになります。

直感で「なんだかいいな」と思った服や雑貨を「美術館に展示されている作品を見るように」じっくりと観察してみましょう。

「赤いワンピースにシルバーのアクセサリーの組み合わせがかっこいいな!」
「透き通った淡いブルーのワンピース、海の中にいるみたいできれいだな」
「この美しい布の重なり、どうやって作っているんだろう」

そんな風に「心が惹かれた部分」に注目し、静かに観察することで、自分の「好き」や「興味」を敏感に感じられるようになります。

身近すぎるものや、手の届く範囲のアイテムだけを見ていると、「今の自分に似合う・似合わない」「今の生活に必要・不必要」「今のタイミングで買う・買わない」といった視点でしか判断できないものです。

まずは手の届かないほど非現実的なファッションの世界や、映画や本の中など、現実とは離れたものを「これも経験のうち」と思って味わってみましょう。

想像の世界を見て、イメージをしっかりと膨らませてから選んだ服は、手頃な価格であっても、「この(自分が大好きな)世界観から切り取ったもの」というワクワク感が生まれます。「培った想像力」は確かな土台となり、あなたのリアルクローズを支えてくれます。

翼を広げてからファッションを選ぶと「飽きない」


「制服化」をしていると必ず「同じ服をずっと着て飽きないんですか?」とか「新しい服を買うのを我慢しているのですか?」と聞かれます。

私はほぼ毎日、同じ服を着続けているのですが、これが不思議と飽きないもの。「むしろ、この服をもっともっと何回も着たい!」という気持ちでいっぱいです。それは、想像から生まれる「憧れ」の言葉を、実際に着る服に反映し、身に纏(まと)っているからです。


『「一セットの服」で自分を好きになる』(著:あきやあさみ/幻冬舎)

例えば私はファッションデザイナーの山本耀司さんがインタビューでおっしゃっていた「一着の服を選ぶってことはひとつの生活を選ぶってことだぞ」という言葉に影響を受けて、一層真剣に服を選ぶようになりました。

はじめて買ったワイズ(山本耀司さんが手掛けたブランド)のワンピースは、私の宝物であり、その服を着ると「時代に流されることのない価値観を持つ、自立した女性」というワイズの信念を身に纏っている気分になります。

服を作るブランドやデザイナーの考えを知ってリスペクトすると、「飽きる」という感情が生まれません。一時的な「好き」は変わっていくかもしれませんが、「敬意」は長く続くもの。

まずは自分の気持ちに制限をかけず、想像の翼を大きく広げていきましょう。

新しい服よりも先に「全身鏡」を買おう


さあ、「想像の世界」から、「現実の世界」に戻ってきました。

みなさんに、おすすめしたいアイテムがあります。それは、「全身鏡」です。お持ちでない方は、新しい服を買うよりも先に全身鏡を買いましょう。

全身鏡を選ぶポイントとして、できれば大きめのもの(幅40センチ以上×縦150センチ以上)、そして、周りの「枠」ができるだけ細いものをおすすめしています(枠が太いと、その分、鏡の面積が小さくなってしまうからです)。

・全身がゆったり視界に入って、背後に部屋が少し映るくらいの余裕があると、しっかりとファッションに向き合えます。

・自立するタイプの全身鏡がおすすめです(部屋の中で、いろんな光の当たり方のところへ移動できるため)。

・玄関のシューズクローゼットや、お風呂に備え付けられている鏡は、いくら大きくても冬場は寒く夏場は暑いので、じっくり観察するのに適していません。長時間薄着でいても落ち着いていられる場所に置けるものが良いでしょう。

全身鏡で自分のファッションを俯瞰しよう


なかには、「できるだけ鏡を見たくない」「自分の姿を直視するのがつらい」という方もいらっしゃいます。

私も思春期からずっと体型コンプレックスとの戦いを続けてきたので、お気持ちは痛いほど理解できます……。特に学生時代は「鏡を見るのが怖い、苦痛だ」と感じてしまうこともありました。

しかし、そんなときでも「大好きな服を着ていると、不思議と鏡を見ることが嫌じゃないな」と気がついたのです。

まずは、鏡に映る好きな色や好きな柄を見ることに集中し、慣れてきたら自分自身を俯瞰してみましょう。

みなさんに「大きな全身鏡を買いましょう」と提案すると、「(ゴクリ)それはつまり、現実の自分の肉体に向き合えということですね」と言われてしまうことがあるのですが、それは少し違います。

顔の造作やありのままのボディラインと向き合うというよりは、頭の先から足の先まで、じっと自分の「ファッション」を観察しよう。そして全体のバランスを見たり、細かなところに目を向けたりしよう、ということです。

鏡と向かい合うのに気分が上がらないときも、落ち込む必要はありません。その日はゆっくり休んで別の日にチャレンジしてくださいね。

※本稿は、『「一セットの服」で自分を好きになる』(幻冬舎)の一部を再編集したものです。

婦人公論.jp

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