1日の正常な尿の回数はどれくらい?回数が多い原因と、対処法について

2025年4月17日(木)19時0分 ココカラネクスト

※本記事は、医師による執筆記事です。

1日の正常な尿の回数はどれくらい?

回数が多い原因と、対処法について。

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正常な排尿回数とは

1日の正常な排尿回数は、実は国際排尿機能学会では定義されていません。

本人が困っていなければ、それが正常です。

これ本当です。そう定義されています。

しかし日本人は、まわりから自己を定義してほしい国民なので、あえて日本では、正常の排尿回数は定義されています。
昼間は4回〜8回、夜は0〜1回です。
これよりも多くても、少なくても、困っていたら異常になります。
(ただし本人が困っていなければ正常です。)

つまり起きている時間帯で、排尿回数が9回以上で、頻尿で困っているのが頻尿症。
寝ている時間帯で、1回以上起きて、さらにそれによって不眠で困っている場合は、夜間頻尿症です。

ところで、1回排尿量は、300〜600mlくらいです。
現在ダイエット目的などで、多飲の女性が多く存在します。
たくさん飲めば、当然頻尿になります。

運動しない場合は、一般的に夏場は2リットル、冬場は1リットル、春・秋は1.5リットルくらいが、適量な飲水量です。

頻尿症の原因と対策

回数が多い原因と、対処法について

頻尿症の原因は、男女で違いがあります。
それは男女で尿路の形態が大きく違うからです。

男性は、女性より尿道が長く、さらに膀胱の出口に前立腺があります。
それで男性の頻尿の原因は、前立腺病気が多くなります。前立腺肥大症・前立腺癌・急性や慢性の前立腺炎などです。
前立腺肥大症・前立腺癌は、主に50歳以上の男性が罹患する病気です。
一方急性や慢性の前立腺炎は、比較的若年の男性でもストレスなので、発症することが多く、早めの対応が必要です。
また男性に多い疾患として、尿路結石があります。
尿量が減少する夏場に発生することが多く、膀胱内から体外に排出される際に、痛みととも著しい頻尿になることがあります。

一方女性には、前立腺がないので、前立腺の病気はなく、過活動膀胱・間質性膀胱炎/膀胱痛症候群・GSM(閉経関連尿路性器症候群)・急性細菌性膀胱炎また子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患でも頻尿になることもあります。

過活動膀胱

過活動膀胱は、他のあきらかな原因がないのに、突然急に強い尿意があり、結果として尿漏れすることがある病態です。
男女ともに発症し、日本には1000万人以上の患者数がいると推定されています。

対応としては、弱い尿意のうちは、あまりトイレに行かないようにする膀胱訓練という自律神経訓練をして、排尿回数をへらしていきます。
また急に尿意がでた時に、尿漏れしないように骨盤底筋をトレーニングで鍛えます。

また飲み物の種類は、カフェインや果汁入りを避けます。
炭酸飲料も減らします。
クリニックを受診すると1日1回内服の治療薬を処方します。
重症な場合は、膀胱にボトックスという薬を注射したり、腟からレーザーをあてたりすることがあります。

間質性膀胱炎/膀胱痛症候群

間質性膀胱炎/膀胱痛症候群は、膀胱に尿がすこしたまっただけで違和感や痛みがあり結果として頻尿になっている病気で、間質性膀胱炎は、膀胱内にハンナ—病変という良性の炎症所見があります。

膀胱痛症候群は、症状は、間質性膀胱炎と同じですが、ハンナ—病変がありません。
生活指導は過活動膀胱とほぼ同じです。
さらに食事の管理も重要です。発酵食品をはじめとするすっぱい食べ物やチョコレートなどの豆加工食品も控える必要があります。
治療薬は、抗うつ剤や抗アレルギー剤を処方します。膀胱内にDMSOという薬を入れたりして治療します。

GSM

GSM(閉経関連尿路性器症候群)は、女性ホルモン等の性ホルモンの低下により腟や外陰が萎縮しておこる病態です。
50歳以上の女性が罹患することが多いですが、若くても、低用量ピルの長期服用などで起こることがあります。
再発性膀胱炎・頻尿・尿失禁や、外陰部の乾燥や違和感・性交痛や性交後出血などが同時に起こります。
治療は、フェムゾーン(腟と外陰)の保湿と骨盤底トレーニングさらに性ホルモンの経腟や経外陰投与、レーザー治療等を行います。

急性細菌性膀胱炎

急性細菌性膀胱炎は、女性にとってもっともポピュラーな泌尿器科疾患です。
頻尿加えて、血尿・排尿痛・残尿感などが起こります。
発熱があったら膀胱炎ではなく腎盂腎炎です。
この場合はすぐにクリニック受診が必要です。熱がない場合は、安静・保温と
しっかり飲水で経過をみてもいいですが、数日経過をみても症状が改善しない場合は、クリニック受診が必要です。

子宮や卵巣の疾患

子宮内膜症や子宮筋腫などの婦人科疾患で起こる頻尿は、生理周期で症状が良くなったり悪くなったりすることがあります。
また卵巣腫瘍などでは、お腹がすこしずつ大きくなるので、あまり自覚症状がなく、頻尿しか症状がない場合もあります。
また子宮癌の場合も腟からの出血がすくなく、頻尿が主訴である場合があります。
数か月症状が継続する場合は、クリニックを受診しましょう。

夜間頻尿の原因と対策

昼間の頻尿を起こす病気が重症化してくると、夜間でも目がさめるようになります。
さらに心臓・腎臓・肺などの内科疾患や、更年期障害による睡眠障害で夜間頻尿になることがあります。
心不全、呼吸不全、腎機能障害なので体の中の水分量を調節できなくなると夜間多尿になるので、夜間頻尿になることがあります。
さらに内科疾患に関しては糖尿病の初期や尿崩症という病気の時も多尿になり夜間頻尿になります。
これらの疾患は、診断がしないと治療できないので、血液検査他の内科的検査が必要です。
不眠症でも夜間尿になります。特に女性で起こりやすいのが、更年期障害による睡眠障害です。
更年期になると女性ホルモンの低下により、感覚過敏がおこり、小さな音や光に反応して、眠れなくなります。
メラトニンなどのサプリメントや漢方でも対応できますが、症状がひどい場合は、ホルモン補充療法などを行うと症状が改善します。
膀胱はこころの鏡という格言があります。
頻尿は、生活の質を大きく低下させる症状で、放置するとうつ病などの精神疾患になることもあることが知られています。
生活習慣改善をしても症状が改善しない場合は、泌尿器科を受診して、原因をはっきりさせて、しっかり治療しましょう。

[文:フェムゾーンラボ]

※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。

関口 由紀

神奈川県横浜市出身の医師。日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本東洋医学会専門医・指導医、日本透析療法学会専門医、博士、経営学修士。女性医療クリニック・LUNAグループの理事長、横浜市立大学大学院医学部泌尿器病態学客員教授を務める。

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