観光はしない。温泉と宿の時間を楽しむひとり温泉旅。宿探しは週末・観光シーズンを避けて。お風呂あがりのビールが最高の瞬間!【2025編集部セレクション】
2025年4月18日(金)12時30分 婦人公論.jp
イメージ(写真提供:photo AC)
2024年上半期(1月〜6月)に『婦人公論.jp』で大きな反響を得た記事から、今あらためて読み直したい1本をお届けします。(初公開日:2024年04月24日)
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ひとり旅は何も決めずにふらりと旅する楽しさもあるけれど、目的があれば充実度はさらにアップ。自分だけの《楽しみ》《好き》を思う存分に味わう3人の旅スタイルを紹介します。今回のテーマは「温泉」。ひとり温泉旅行の達人がおススメする旅先は——。(構成=大野麻里)
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その日の気分で気ままに過ごす贅沢な時間《温泉》
湯治をしていた祖父の影響もあり、私にとって温泉は身近な存在。20代の頃は、気の合う女友だちと温泉旅行をしていました。ただ、友人が結婚したら気軽に誘うことが難しくなり、別の友人とも行ってみたものの、旅のスタイルが合わず、気を使って疲れてしまって。それならば、とひとりで泊まれる温泉宿を探すことにしたのです。
初めて宿泊したのは、栃木県の日光湯元温泉にある「紫雲荘」という小旅館。せっかくならば運気のいい方角に行こうと、風水を頼りに選んだ場所で(笑)、憧れだった泉質の「にごり湯の硫黄泉」、人目が気にならない「部屋食」という条件で決めました。
ほんのり青みがかった半透明のお湯に浸かり、日光名物の湯葉を使った料理を堪能した私はひとり旅の虜になり、さまざまな温泉地へのひとり旅を計画するようになったのです。
今ではひとりを心から満喫していますが、当初は女性のひとり客は少なく、気恥ずかしさもありました。けれど、おいしいご飯を食べて、地酒を飲んで、温泉に浸かれば、しみじみ「来てよかったな」という気持ちに。15年が経ち、おひとりさまの女性客もずいぶん増えたように感じています。
私は宿で過ごす時間が好きなので、周囲を散歩する程度。観光にはあまり興味がありません。いつも早い時間にチェックインして、混雑しないうちに温泉へ。夕食に舌鼓を打ち、部屋でのんびりした時間を過ごし、そのまま早めに寝てしまうこともあれば、もう1回温泉に入ることも。
翌日は朝食をとり、チェックアウトぎりぎりまで温泉を満喫します。とにかくその日の気分で気ままに過ごすので、ひとりでないと難しい(笑)。誰かと一緒だと「あそこに寄ってから宿に行こう」「早く宿を出て観光しよう」となりがちですから。
「退屈しないの?」と思う方もいるでしょう。実は温泉宿は、夕食や朝食の時間、お風呂の時間(男女の浴室入れ替えや貸切風呂の時間制限)など、タイムスケジュールがしっかりあって、意外と忙しいんですよ。
ひとり温泉旅の難関は、何といっても宿探し。週末や観光のベストシーズンは、ひとり客を受け入れるところが少ないからです。おすすめは、「大人1名1室」「日付未定」で探すこと。
私は紅葉や雪見風呂にもあまり興味がなく、人が少ない温泉でゆっくり過ごしたいタイプ。ですから冬のハイシーズンは雪が降る温泉地を避け、温暖な九州・四国地方、静岡県あたりに行っています。
初めのうちは、部屋食のできる温泉宿にこだわっていました。寂しいわけではないけれど、大広間や宴会場で食事することに少し抵抗があったからです。もし人の目が気になるようでしたら、「個室食事処」がある宿もおすすめですよ。
ちなみに私は、夕食時は持参した部屋着に着替えます。帯の締め付けが気になり、料理やお酒が思う存分楽しめなくて。(笑)
そうして見つけた温泉宿で、のんびりした時間を思う存分過ごすために、アウトドア用の軽量カップと、ドリップバッグのコーヒーを持っていくことも。お風呂あがりにビールやコーヒーを飲みながら本を読んだり、テレビを観たり。
自宅にいるときとさほど変わらない時間を過ごしながら、ただただ温泉を楽しむ。もったいないという人もいますが、私にとってはこれ以上ない贅沢な時間です。
おすすめ旅先3選
【湯田川温泉(山形県)】
私の地元の近くにある湯田川温泉は、鶴岡市の奥座敷とも呼ばれ、三方を山に囲まれた温泉地です。お湯は透明で、やわらかな泉質。
評判を聞いて泊まった「九兵衛(くへえ)旅館」は、温泉と料理のすばらしさに感動し、何度も再訪しています。
「湯田川孟宗(ゆたがわたけのこ)」という孟宗竹(もうそうちく)の筍が有名で、この筍を使った料理を4月中旬から6月上旬頃まで食べることができますよ
【美ヶ原温泉(長野県)】
美ヶ原温泉・旬彩 月の静香(写真提供◎旬彩 月の静香)
松本市街地にあるためバスなど交通の便がよく、アクセスのしやすさが魅力です。お気に入りの宿は、「旬彩 月の静香」。効能豊かな泉質で、お風呂あがりに冷やした温泉水を飲むことができます。
食事がおいしい宿なので、ぜひ部屋食付きで。松本市には浅間温泉もあり、こちらもいいお湯ですよ。松本城や市内の街歩きも楽しめます
【別府温泉、由布院温泉(大分県)】
別府温泉の「サリーガーデンの宿 湯治柳屋」(写真提供◎サリーガーデンの宿 湯治柳屋)
この2つは定番の温泉地ながら、やはり温泉好きには外せません。
別府は「地獄めぐり」で有名ですが、現代的な湯治宿「サリーガーデンの宿 湯治柳屋」がお気に入り。とろりとやわらかなお湯とともに、温泉の蒸気で食材を蒸す「地獄蒸し」が楽しめます。
別府からバスで行ける由布院では、めずらしい青湯が楽しめる「ゆふいん泰葉」がおすすめです
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