「英語は話せて当たり前。親が翼として授けるべき」東大卒ママがわが子を英語の幼稚園に転園させた“シンプルな理由”

2025年4月23日(水)12時0分 文春オンライン

〈 東大卒ママが育児中いつもイライラしていた“ストレス”の正体「もうダメだ」「私が育てているからいけないんだ」 〉から続く


 公立の小学校、中学校、高校を経て、一浪して東京大学理科II類に入学。現在は、9歳、7歳、5歳の男の子たちを育てている中村希さん。長男が生後4ヶ月だった頃に始めた学習塾「みらい塾エイトステップス」の塾長としての顔も持ちます。


 ここでは、そんな中村さんが「子育て哲学」について詳しく紹介した 『田舎の公立小中高から東大に入った私の勉強法』 (平凡社新書)より一部を抜粋。東大卒ママがわが子をバイリンガルに育てるために選んだ方法とは……。(全3回の3回目/ 最初から読む )



英語を勉強する子ども(イメージ)


◆◆◆


「英語は話せて当たり前。親が翼として授けるべき」


 長男が生まれたとき、「英語とか話せるようにさせたいよね〜」という気持ちはありつつも、なかなか行動に移すことはできませんでした。Amazon Prime Videoを見せていたときに「英語で見ればいいのでは?」ということも頭をかすめましたが、それすらも実行に至らず。ディズニー英語システムをやっている知り合いがいて検討するも金額に驚き断念……。


 その後、英語については特に重視することもなく、家の近くの家族経営のアットホームな幼稚園に入りました。親子ともに友だちもできてとても楽しく通っていました。年中さんになった頃、私自身が宅建の勉強や塾の仕事が忙しくなってしまい、「もう少し息子を預けられる時間を延ばしたい」という気持ちが強くなっていきました。


 保育園に入れようか、仕事の時間をやりくりしようかと迷う中で、ちょうどそのとき読んでいた勝間和代さんの本の一節に目がとまりました。「迷うということは、その選択肢の中に本当に望んでいるものはない」といった旨の言葉でした。そこからさらに「子どもの預け先に望んでいるものは何なのか?」と考えていたのですが、今度はインスタグラムで、バイリンガル育児をしている人の考え方に出会い、衝撃を受けます。今までは、息子たちは英語ができたらいいよね、というくらいにしか思っていなかったのですが、その人は「英語は話せて当たり前。英語くらいは親が翼として授けるべき」という認識を持っていたのです。私は「ほお〜」と驚くばかりでした。


「何とかバイリンガルで育てていくことはできないだろうか」


 人やモノから影響を受けやすいタイプの私なので、そこから居ても立ってもいられなくなり、「何とかバイリンガルで育てていくことはできないだろうか」とより真剣に考え始めました。そして、「あ! 預け先で英語が話せるようになればいいんだ!」という結論に至ったわけです。


 すぐに周辺の英語の幼稚園をピックアップ。調べたところ、預かりも18時30分までしてくれて、幼児教育・保育無償化で補助金も出るとのことでした。長男が年少さんで幼稚園に入る前の時点では夫はサラリーマン、私も塾を始めたてで、金額的に全く考えもつかなかったことですが、そのときには状況は少し変わっていて、手が届かない金額ではありませんでした。夫に、なぜこのタイミングで長男に英語が必要なのか、英語が話せることでどんなチャンスが開かれるのか、ということを話し、英語の幼稚園に転園させることになりました。


 もちろん、途中で転園することになる長男とも何度も話し合いをしました。最終的には「僕は宇宙飛行士になりたいから英語を話せるようになりたい」ということで英語を頑張る決意をしました。長男は年長さんの1年間、日中はずっと英語の環境で過ごし、友だちにも恵まれ、だいぶ英語を話せるようになりました。2学年差の次男も長男と同時に、年少さんのときから英語の幼稚園に入園して、英語を話すことが当たり前の環境で過ごし、三男も現在英語の幼稚園に通って、だいぶスムーズに英語でお話しするようです(親の前では見せませんが。恥ずかしいんですかね〜)。


「与えすぎることは決してよい結果にはならないのではないか」


「子どもに何を与えるか」——。これは親として永遠に答えが出ないのではと思うほど、とても難しい問題です。塾の生徒を見ていて思うのが、「与えすぎることは決してよい結果にはならないのではないか」ということです。単純に与えることがよいわけでは決してなく、与えたら与えたなりのよさがあり、与えなければ与えないなりのよさがあると思うのです。


 例えば、「わかりやすい授業」を与え続けると、生徒は「わかる喜び」を感じることができます。ただ一方で、「わかりにくいことを理解しにいく」という気骨を発揮させることはできません。また、親が1週間のやるべきことを管理してあげたとしたら、子どもは効率よく勉強ができるようになり、おそらく成績が上がります。でも、自分のやるべきことを自分で決めない癖が身についたままでは、いつまでたっても自分の計画を自分で立てられるようにはなりません。夕飯を親がつくる場合、その間の時間は子どもにとって勉強できる時間になりますが、夕飯を子どもがつくる場合、料理をする力、段取り力などさまざまな力が身につきます。


 このように、何かを与えたら他の何かを受け取りづらくなり、何かを与えなければその分他のものを受け取ることができます。その中で、英語を、親が環境を与えてなるべく学ぶ負担を減らすか、あとから学びたいときに自力で学んでもらうか、と考え、わが家は前者を選びました。


 たしかに、あとから自分で学ぶことはできるけれど、私自身の経験を考えたときに「英語が話せるようになる」ということは自力で登るには相当ハードルが高いことだったからです。一方で、英語圏で育てばもちろん2、3歳児でも話せるようになるくらい、環境さえ整っていれば英語は習得できるものです。


 ということで、英語は親から環境をプレゼントすることで、子どもたちの可能性が広がったらいいな、そんな思いで取り組んできました。


(中村 希/Webオリジナル(外部転載))

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