和田秀樹「高齢になってからうつになる人は多い」真面目でまっすぐな性格だと自己評価している人ほど…

2025年4月23日(水)12時30分 婦人公論.jp


(写真提供:Photo AC)

「精神科医になり、あまりに多くの人が、手が抜けないために、心の病に陥ってしまう現実を目の当たりにした」と話すのは、高齢者専門の精神科医・和田秀樹先生。そこで今回は、和田先生の著書『60歳からの「手抜き」の極意』から一部を抜粋・再編集し、<第二の人生を存分に楽しむための新提案>をお届けします。

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うつにならないために手を抜こう


高齢になってからうつになる人は意外と多いものです。

あれをしなくちゃいけない、これをしちゃいけない、あの人はこんなところがよくない、自分にも悪いところがあるなどとネガティブなことを考えていると、だんだん暗くなって、うつ状態に陥ります。

若い頃より回復力が落ちている分、暗黒状態からなかなか抜け出せません。

だからこそ、うまく手を抜くことが必要なのです。自分があれをしなくても、これをしちゃっても、世界は問題なく回っていきます。なんとかなります。

できるだけうつになりたくないと思ったら……


周囲に鬱々として悩んでいる困った人がいたとしても、自分の家族や親族でない限り関係ないと考えて、なるべく距離を置きましょう。薄情だと思うかもしれませんが、巻き込まれてしまうと自分のためにも相手のためにもなりません。

健康診断の検査数値にしても、気にしすぎないようにしましょう。薬を飲むたびに気になるのなら、薬もやめてしまいましょう。そうやっていちいち考えているとますますうつになりやすくなります。

できるだけうつになりたくないと思ったら、まず日光に当たりましょう。外に出て風を感じながら、家の近くを歩きましょう。

そして、物事を深刻に考えず、適当にとらえて、手を抜いて生きることが何より大切です。

うつになりやすい生き方とは


うつになりやすいタイプというのがあります。

何事もくそ真面目に取り組まなくてはいけないと思っている人、かくあるべし思考に支配されている人、物事を小難しく考える人、決めつけが激しく人にもそれを押しつけようとする人です。


(写真提供:Photo AC)

今までの経験上、これが正しいと思ったらそれを頑なに信じ続ける。自分が正しいと信じていることと他人の行動が異なると「これが正しい」と他人にまで押しつける。医者の言うことを額面どおりに受け取って、頑固に守り続ける。

そのような人たちは、まわりから見ると変わり者に見えるでしょうが、本人はただ真面目でまっすぐな人間だと自己評価しているものです。人にぐいぐい押しつけるのも、親切だと思ってやっているのです。そんなふうに、何かにとらわれたような考え方をしていると、うつになりやすいのです。

他の医者のように押しつけはしたくない


「人生いろいろ」「時代とともに価値観も変わる」「人それぞれいろんな考え方がある」「やってみなくちゃわからない」「失敗したっていい」と柔軟に考えて受け入れられる人は、そうそううつにはならないものです。

世の中、こちらが正しくてあちらが間違っているということはあまりありません。何を根拠にするかによって、正しいかどうかは変わります。

こうして私が主張し続けていることにしても、本当に正しいか正しくないかはわからないものです。

私は医者として、現在考え得る「最高に信じられそうなこと」「患者さんのためになりそうなこと」を常に考えているのであって、これを読んでいる人が信じようと思ったら信じてもらえれば嬉しいと思いますし、いや、ちょっと信じきれないと思うのであれば信じなくてもいいよという心構えでいます。他の医者のように押しつけはしたくないのです。

※本稿は、『60歳からの「手抜き」の極意』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。

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