厳しさ増す私大経営、「計画的撤退」支援へ…急な破綻回避のため「専門家チーム」新設

2025年4月24日(木)13時0分 読売新聞

 少子化の進行で私立大の経営が厳しさを増す中、文部科学省は、私大が経営からの撤退を円滑に進められるよう支援する専門家チームを新設する方針を固めた。文科省は、大学の統廃合や定員削減などの「規模の適正化」を進めており、急な破綻を回避するための対応策も講じていく考えだ。

 文科省は、24日に開かれる私大のあり方を検討する有識者会議で案を示す。

 大学が突然破綻し、在籍する学生が行き場を失わないためにも、早めの縮小や計画的な撤退を促すのが狙いだ。撤退を決めた大学から要請があった場合、弁護士や公認会計士らによる専門家チームを派遣する。複数年にわたり、資産の処分などの助言を行う。

 また、文科省は経営が行き詰まった大学に撤退を勧告する際の目安も示す。学生の募集停止後、在学生が全員卒業するまでに必要な人件費や施設費が不足する場合を想定している。

 さらに、経営難の大学への私学助成金の交付要件も厳格化する。文科省は今年度、経営が悪化している42学校法人に経営改善計画を提出させ、経営指導している。この対象を経営が悪化しかけている法人にも広げ、計画通りに経営が改善しない場合は、私学助成金を減額する。100法人程度が対象になる見込みという。2026年度から仕組みを導入する。

 多くの大学は経営が厳しくなっており、日本私立学校振興・共済事業団の24年度の調査では、私大598校の6割で入学者が定員を下回る「定員割れ」となった。大学入学者数は現在の64万人から2050年には3割超減の41万人に減少すると推計され、大学の破綻リスクは高まる一方だ。

 文科省の担当者は「経営が悪化してからでは手の施しようがなくなる。大学は常に経営状態を把握し、急な破綻を防ぐための策を講じる必要がある」と話している。

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