【李錦記の本社訪問】オイスターソースは奥深い。李錦記の香港本社に行って食べてわかった元祖オイスターソースの実力

2025年4月26日(土)12時0分 食楽web


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●オイスターソースをこの世に生み出した李錦記。香港にある本社を訪問してわかったその旨さへのこだわりとは?

 オイスターソースといえば、中華料理はもちろん、実はかけダレとしてや、カレーの隠し味などにも使える万能調味料です。そのオイスターソースを開発し、この世に送り出したブランドが、スーパーなどでもよく見かける「李錦記(リキンキ)」です。

 その本社があるのは香港です。今回、特別に本社見学ツアーに参加して、オイスターソースの誕生秘話から、素材や製造方法のこだわりなどを伺い、さらに本社にある専用キッチンで作ったオイスターソース料理も試食してきました。

 いざ李錦記の香港本社見学の様子をご紹介していきましょう。

李錦記本社のエントランスロビーで驚愕

 2025年3月、香港にある李錦記の本社のエントランスをくぐると、そこにはど〜んと巨大なオイスターソースのオブジェがあり、その横には李錦記の2代目の代表・李兆南氏の像が鎮座していました。白翡翠でできているそうで、もうこの時点で度肝を抜かれます。まずこの場所で、李錦記のスタッフさん(もちろん香港人)からオイスターソースの歴史を教えてもらいました。

 オイスターソースの誕生は実は偶然の賜物だったそうです。1888年、広東省南水近くの小さな村で料理店を営んでいた創業者の李錦裳(リ・キンシェン)氏は、ある日、牡蠣を煮ていた調理中に火を消し忘れてしまいます。鍋底には、牡蠣の汁が煮詰まって焦げ付いていました。

 しかし、その汁は香りがよく、舐めてみると、今まで味わったこともないような深いコクと旨味を感じたそうです。李錦裳はこれを使って調味料を作れないかと考え、試行錯誤のうえ完成したのが、元祖オイスターソースというわけです。瞬く間にこの調味料の美味しさが広まり、オイスターソースの会社・李錦記を設立。


香港のスーパーでは『李錦記』オイスターソースも種類豊富に販売されています。日本で売っていないものもあるので香港に旅行した際はお土産にぴったり

 2代目の李兆南氏の代になると、海外にもオイスターソースを広め、創業から137年経った今では、香港のみならず、日本、アメリカ、ヨーロッパ、中国およびアジア各国と、世界100カ国以上で李錦記のオイスターソースが販売されています。

 そして興味深いのは、料理ジャンルを超え、世界中のシェフたちが李錦記のオイスターソースを愛用していること。しかも、広東料理をはじめとする中国料理だけでなく、和食、フレンチ、エスニックなどでもオイスターソースが使われているのです。

 さて、筆者も李錦記本社のキッチンでオイスターソースを使った料理をいくつか試食させてもらったのですが、中国料理以外にも実に多様な使い方ができることを知りました。その料理の一部をご紹介していきましょう。

中華というジャンルを超えた絶品料理たち


李錦記本社内にあるキッチンで、特別なフルコース(前菜、メイン、チャーハン、デザートまで)をいただく

 今回、いただいたのは、李錦記本社に設置されたキッチンで作られた特別なフルコースでした。その中から特に印象的だったオイスターソースを使った料理をご紹介したいと思います。


「ネギ油蒸し鶏」。オイスターソースがちょっとかかるだけで、コクと旨味が加わります

 まずは前菜の「ネギ油蒸し鶏」。あっさりとした蒸し鶏に、爽やかなネギ油とオイスターソースがほんの少しかかっています。ネギとオイスターソースの複雑な香りをまとったやわらかい鶏肉は絶品の一言。

 オイスターソースはほんの数滴と少量しか使われていなのですが、これがあるのとないのとでは大違い。牡蠣のエキスで鶏肉に高級感が加わり、旨味がグンと増幅されています。

 ちなみに、李錦記本社にあるラボでは、オイスターソースをはじめとする調味料の「甘味、酸味、塩味、苦味、渋味、鮮味」という6つの味を分析し、常に一定のバランスを保つように管理されています。この中で“鮮味”という言葉は初耳でしたが、舌の上で続く味の余韻、言い換えると舌に残る旨味を表す中国語だそうです。さすが美食の国。奥深いですね〜。


「牛肉とじゃがいものオイスターソース炒め」[食楽web]

 続いては、メイン料理のひとつ「牛肉とじゃがいものオイスターソース炒め」です。こちらは前菜と違い、しっかりとオイスターソースが使われた濃厚な肉料理。牛肉が非常にやわらかく、噛むほどに旨味や甘みが増幅。まるでフレンチの牛肉の赤ワイン煮のようなコク深さです。

 また、ホクホクのじゃがいにもオイスターソースがしみこんでいて、最高に旨し。ホクホクとしていて、旨味が口いっぱいに広がります。そして後味がさっぱりしているのもオイスターソースならではかもしれません。

 さらにオイスターソースを使用した「カニ玉」や「麻婆豆腐」、「黒チャーハン」といった中華料理の試食が続きました。こんなにオイスターソースを使った料理を食べているのに、しつこくないのが不思議です。

 そして最後はデザートは、なんとオイスターソースを使ったプリン!


「オイスターソースのカラメルプリン」

 見た目はクラシックなカラメルソースがかかったプリンに見えますが、このソースにオイスターソースが使われているんです。

 繰り返しますが、オイスターソースといえば牡蠣のエキス。しかしそんなことを完全に忘れてしまうほど、ひたすら旨味が凝縮した濃厚カラメルソースになっています。これもすっきり、あっさり。濃厚な卵味のプリンとソースの相性の良さに感動すら覚えるレベル。オイスターソース、恐るべし! と唸ってしまいました。

李錦記のオイスターソースへのこだわりがスゴい


牡蠣に対する李錦記の基準は非常に厳しく、成熟したものから何段階にもわたる選別を経て、特定の品種のみを採用

 そもそも、オイスターソースに限らず、李錦記は製品へのこだわりがすごいんです。李錦記スタッフの話によると、企業のモットーは「100-1=0」。99 では? と思いますよね。でもこれは、製造過程で1つでもミスや手抜かりがあれば、その商品の価値は0になる、ということを意味しているそうです。

 オイスターソース製造に関しても、当然手抜かりはありません。牡蠣の養殖場までしっかり管理し、新鮮で安全なものだけを選別。材料の砂糖や小麦粉なども厳しく厳選。そしてオイスターソースの一番の特徴である旨味やコクを引き出すため、常に味のバランスの検査をし、100%自信があるオイスターソースを作ることを徹底しているというわけです。

 実際にラボや製造過程を見学しましたが、最先端のマシンがずらり。まるで半導体工場のようにクリーンでした。そしてこの本社で味わったオイスターソースのフルコースでよくわかったのは、オイスターソースは、中国料理という枠にとどまらない調味料であるということ。

 ぜひ、みなさんもオイスターソースをたくさん使ってみてください。普段の料理のクオリティがグンと上がると思いますよ。

(撮影・文◎土原亜子)

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