絶海の孤島・青ヶ島在住の41歳女性が語る、“日本一人口が少ない村”の恋愛事情「幼馴染との結婚は考えられません」

2025年4月27日(日)12時10分 文春オンライン

 東京都心から約360km離れた絶海の孤島・青ヶ島。人口わずか163人(2025年3月時点)のこの島で、登録者数20万人超のYouTube「 青ヶ島ちゃんねる 」を運営する佐々木加絵さん(41)は、島の未来を見据えた取り組みを始めている。



青ヶ島生まれ・青ヶ島育ちの佐々木加絵さん(本人提供)


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島には若い人が多いですが、小さい頃から家族のように育ってきている


 青ヶ島には若い人が多い。全国の15歳から64歳の人口割合が約59%のところ、青ヶ島は約69%だ。しかし、若者同士の恋愛や結婚には大きな壁があるという。


「現在、島には若い人が多いですが、小さい頃から家族のように育ってきているから、今更幼馴染との結婚は考えられません」(佐々木加絵さん、以下同)


 役場や学校に転勤で来た人と島の人が結婚することはあるが、任期が終わると家族で本州に戻ってしまう。その結果、島生まれの子どもが少なくなっている。


「数年前までは青ヶ島の居酒屋で期間限定のバイトを募集していて、毎年のように本州からリゾートバイト感覚で来る人がいました。その中には、バイトの期間が終わっても島に残り、そのまま島の人と結婚する方もいたんですよ」


 佐々木さんはこう語るが、その居酒屋は現在閉店。島の人と本州の人が出会う場はほぼなくなってしまったという。


「島の少子化問題を解決するには、以前のように島の人と島外の人が出会う場を増やす必要があります。そのためには、少しずつ観光客や移住者を増やしていかないといけません」


移住希望者が住める家がないという問題も…


 しかし、移住希望者が住める家がないという問題も抱えている。青ヶ島は海に囲まれた島のため、空き家は潮風ですぐに傷んでしまう。新しく家を建てようとしても、材料を島まで運ぶ送料が高額になってしまうのだ。


 このジレンマを解決するため、佐々木さんは新たな取り組みを始めている。


「現在、私が主導して島内に『ミュージアムハウス』と『グランピング施設』を作る計画を進めているんです」


 ミュージアムハウスは、青ヶ島の文化や自然を紹介するミュージアム兼ゲストハウス。短期間の観光客だけでなく、将来移住を考えているような長期滞在の人も泊まれるようにする計画だ。また、ミュージアムの隣には飲食スペースを併設し、そこでリゾートバイトを復活させたいという。


 グランピング施設は、二重のカルデラがある池之沢という地域のキャンプ場に、最新の技術を使って数時間で快適な空間を生み出せる簡易住宅の設置を計画している。


「将来的には、キャンプ場以外にも簡易住宅を設置して、移住希望者が住める場所をさらに増やしていきたいです」


行政と島民が協力して課題に取り組むことが重要


 佐々木さんの取り組みが実現すれば、観光客や移住者が増え、新たな出会いの場が生まれる可能性がある。しかし、行政との連携や資金面など、まだ課題は残されている。


「青ヶ島には『ひんぎゃの塩』や『青酎』といった歴史的にも文化的にも価値の高い特産品がありますが、それらも自治体のサポートを受けずにやっています。『自分の力で島を良くしよう』という、還住の歴史を引き継いだ青ヶ島スピリッツは島の誇りです。でも、住居問題や少子化など、個人では解決が難しいものもあります」


 佐々木さんは、青ヶ島の未来に向けて、行政と島民が協力して課題に取り組むことの重要性を訴える。


「青ヶ島には『この島をもっと良くしたい』と思う若い人たちがたくさんいます。その人達が心置きなくチャレンジができる自治体になっていってほしい。そのためには、若い人たちが政治に関わっていく必要があると思っています」


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 このインタビューの全文は、以下のリンクからお読みいただけます。


写真提供=佐々木加絵さん


(仲 奈々)

文春オンライン

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