【フーテンの寅みやげ】BEAMS名物ディレクターが惚れた鹿児島生まれのウイスキー「KANOSUKE」
2025年4月30日(水)10時50分 食楽web
シングルモルト嘉之助
●日本全国を仕事で飛び回るBEAMS JAPANの名物ディレクター・鈴木修司さん。尊敬してやまない『男はつらいよ』の寅さんのように、年の1/3は旅の空という鈴木さんが、旅先で見つけた「フーテンの寅みやげ」をご紹介します。
こんにちは。ビームスジャパンの鈴木修司です。
私は出張に出かけると、国内・海外を問わず、ほぼ必ず思い出と共に旅先の地酒を持ち帰ってきます。日本酒や焼酎はもちろん、ワインにビールにウイスキー、お酒の種類は問いません。
そして先日まで訪れていた鹿児島で手に入れたお土産は、芋焼酎ではなく、シングルモルトウイスキー。実はいま、鹿児島に限らず日本各地でウイスキーを製造する蒸溜所が増えています。今回、訪れた鹿児島県日置市の『嘉之助蒸溜所』もその一つ。
初めて訪問した『嘉之助蒸溜所』
こちらの蒸溜所では事前予約で見学と試飲もでき、所内にある売店で、巷では入手が難しい“嘉之助ウイスキー”も購入できます。
ここは日本では珍しい海沿いに位置する蒸溜所です。内陸や山間部とは違う、独特のウイスキーの製造・貯蔵方法を採用しており、それが嘉之助ウイスキーならではの味わいに影響しています。
3基のポットスチルで個性豊かな原酒を造り分けている
ウイスキー造りの要である“ポットスチル”は形状の異なる3種類が横並びになっています。この3つのポットスチルで、味わいの異なるさまざまな原酒を造り分けているのです。
『THE MELLOW BAR』では、カウンター越しに東シナ海を望みつつ試飲できます
見学の最後は、待ちに待った試飲タイム。味わいの異なるウイスキーを少しずつ試してみたのですが、いずれも絶品。美しい景色の効果もあってか、試飲なのにすっかりほろ酔い気分になってしまいました。
●DATA
嘉之助蒸溜所
住:鹿児島県日置市日吉町神之川845-3
TEL:099-201-7700
営:10:00〜17:00(ショップは16:30まで)
休:月曜・年末年始(月曜が祝日の場合は営業)
アクセス:鹿児島市内から高速道路で35分、鹿児島空港から約60分
魚フライにきびなご。鹿児島の美味を堪能
ウイスキーと同じくらい大好物の“白身魚のフライ”。刺身小鉢が付いてくるのがまたニクイ
東シナ海ついでにオススメしたいのが、蒸溜所からほど近い海沿いにある道の駅『江口蓬莱館』です。新鮮な魚介はもちろん、地元の野菜や果物、そして周辺の特産品が充実していて、更に併設のレストランが素晴らしいのです。
ここではいつも「魚フライ定食」をオーダーします。個人的に、ここの魚フライは日本でも指折りの旨さだと思っています。
鹿児島に行けば必ず注文する「キビナゴの刺身」
話が前後しますが、鹿児島に行って必ず食べる魚といえば、やはり“キビナゴ”。刺身にして良し、天ぷらでも唐揚げでも良し、塩焼きなんて芋焼酎(お湯割り)との相性はこの上ないです。
●DATA
江口蓬莱館
住:鹿児島県日置市東市来町伊作田7425-5
営:9:00〜17:30(レストラン11:00〜15:00)
休:火曜
鹿児島で訪れたその他のスポット
建物からして由緒正しさを感じる『沈寿官窯』
今回の鹿児島で訪れた他のスポットの紹介も少し。
まずは私が長らく愛用している「白薩摩(しろさつま)」と呼ばれる美しい焼物をつくっている『沈寿官窯(ちんじゅかんがま)』。
日本屈指の美しい白い土と、長く正しい伝統による確かな製法が相まって、日常生活の豊かさをワンランク上げてくれるような素晴らしい器を作っています。いつ見ても惚れ惚れしてしまいます。
薩摩切子を製造する『美の匠 ガラス工房 弟子丸』
次に訪れたのは、鹿児島を代表する工芸品である「薩摩切子」の作り手である『美の匠 ガラス工房 弟子丸』(霧島市)。当たり前の話ですが、一線一線、すべて手作業で切られていて、その正確な柄構成にいつも感心します。
店を後にし、今度は友人の紹介で知り合った陶芸家・岩切秀央さんのアトリエへ。人気ギャラリーの店主だけでなく、古道具店の目利きたちにも注目される作家さんです。
工房2Fのギャラリー
岩切さんの工房の屋根裏にあるスペースが素晴らしかった。作品はもちろん、作業場からも独自のセンスがひしひしと伝わってきました。
空港の『山形屋食堂』の「皿うどん」が旨い!
『山形屋食堂』の名物「皿うどん」
いつも、鹿児島空港で飛行機に乗る直前に名残惜しく食べるのが、『山形屋食堂 エアポート店』の「皿うどん」です。
実は鹿児島には、鹿児島市内にある有名デパート・山形屋のレストランがあり、そこの皿うどんが絶品なのです。
写真では伝わりにくいですが、盛りの豪快さ、素朴ながらも中毒性のある美味しさに、毎回感激します。
●著者プロフィール
鈴木修司(すずきしゅうじ)|BEAMS JAPANクリエイティブディレクター
1976年、三重県松阪市生まれ。年間120日近くを旅に費やし、日本各地の様々な場所で魅力的なモノ・ヒト・コトを発掘。大学などで講師を務めることも。著書に『銘品のススメ』、監修書籍に『都道府県おでかけ図鑑』などがある。