住宅ローンは年収の何倍まで借りられる? 年収別・借入額の目安

2025年5月2日(金)11時45分 マイナビニュース


現在、変動型の住宅ローンの金利が上昇傾向にあります。今後もこの傾向が続けば、住宅ローンの返済額が増え、家計に影響を及ぼします。そのため、金利上昇のリスクも考慮したうえで、無理のない借入額で住宅ローンを組むことが大切です。
そこで本記事では、年収別の住宅ローンの借入額の目安を表にしてご紹介します。ただし、実際の借入可能額は、同じ年収であっても家族構成やライフスタイルによって変わってきますので、返済計画に影響する考慮すべきポイントについても解説します。
住宅ローンの借入額の目安は年収の5〜6倍
住宅ローンの借入額の目安として、「年収の何倍まで」といった考え方をします。これを年収倍率といいます。
住宅金融支援機構が実施した「2023年度フラット35利用者調査」によると、フラット35を利用している人の年収倍率の平均は以下のようになっています。
新築住宅を購入する場合はおよそ7倍、中古住宅はおよそ5〜6倍となっています。
この調査での年収倍率は所要資金を世帯年収で割ったものです。所要資金とは、住宅の購入金額のことで、頭金を含めた金額となるので、実際の借入額とは異なります。
たとえば、世帯年収800万円で年収倍率を7倍とすると、所要資金は5600万円となります。このうち2割を頭金で用意した場合、借入額は4480万円となり、世帯年収の5.6倍となります。
このように、住宅の購入金額と借入額は分けて考える必要があります。頭金をどの程度用意できるかは個々の事情によりますが、この調査の年収倍率よりも実際の借入額の年収倍率は低くなると考えられるため、概ね5〜6倍と考えておくといいでしょう。
返済負担率から借入金額を求める
年収倍率を使って借入可能額を算出する方法は、おおまかな目安を把握するには有効ですが、実際に日々の生活を送りながら無理なく返済を続けていける金額かどうかを判断するには、別の視点からの検討が求められます。その視点が「返済負担率」という考え方です。
返済負担率とは、「年収に占める年間返済額の割合」のことです。計算式は以下になります。
返済負担率=年間返済額÷年収×100
ここでの年収は「手取り年収」を当てはめます。手取り年収とは税引き後の年収です。
一般的に無理なく返済できる返済負担率は20〜25%程度といわれています。
仮に返済負担率を20%とすると、年収500万円の場合は、年間返済額は100万円となります。月々の返済額にすると約8万3,000円です。
以下に、返済負担率20%の年収別の年間返済額と借入可能額を表しました。
借入可能額は、フラット35の現在の最頻金利、返済期間35年で試算しています。借入金利や返済期間が変わると借入可能額も変わってくるので、一つの目安としてみてください。
借入可能額から年収倍率を計算してみると、 約5倍ということがわかります。この借入額では、現在の上昇傾向にある住宅価格に対して足りないと感じるかもしれません。
そこで返済負担率を25%に上げてみましょう。
返済負担率を25%にすると、年収倍率は約6.3倍となります。このくらいの借入額になると、希望の物件を購入できる可能性が高くなってくるでしょう。
金融機関が設定する返済負担率は30〜35%
多くの金融機関では、借入可能な返済負担率を30〜35%としています。フラット35では年収400万円未満は30%以下、400万円以上は35%以下という基準があります。
金融機関の基準は申込者が返済能力を超えた借り入れをしないように設けられた基準であり、借入可能な上限額となります。そのため、住宅ローンの審査をクリアできる借入額と無理なく返済できる借入額は別と考えましょう。一般的には返済負担率が25%以下になるように借入額を設定すると安心です。
年収以外に考慮すべきポイント
同じ年収でも家族構成や金融資産、今後のライフプランによって、適切な借入額は変わってきます。そこで、年収以外に考慮すべきポイントを3つご紹介します。
将来のライフイベントによる出費
ライフイベントとは、第一子大学入学、第二子高校入学、海外旅行、車購入など、大きな出費が伴う行事や出来事のことです。自分と家族の将来のイベントとそれに伴う出費を把握しておけば、長期にわたる返済計画が立てられます。それによって、無理のない返済額を求めることができるでしょう。「ライフイベント」と「予想される出費」を記入したライフイベント表を作成するとわかりやすいでしょう。
完済時の年齢
住宅ローンは返済期間を長くすると月々の返済額が抑えられるので、借入可能額を増やすために、長期ローンを選ぶ人は少なくありません。借入時の年齢が若ければ、定年までに完済することも可能ですが、高齢での借り入れだと、年金生活中に返済が続くリスクがあります。そうしたリスクを避けるには、定年前に完済できるような借入額にしておく必要があります。
収入減少や金利上昇のリスク
長い返済期間の中では、病気やケガ、転職などによって収入が減少することがあるかもしれません。また、将来的な金利上昇によって返済額が増え、家計に大きな負担がかかることも考えられます。
こうしたリスクに備えるには、固定金利の選択や十分な貯蓄の確保が有効ですが、そもそも無理のない金額で借り入れておくことが、もっとも安心できる対策といえるでしょう。
まとめ
住宅の購入は、多くの人にとって人生で一度きりの大きな決断であり、夢を購入するような側面もあります。
そのため、モデルルームを訪れて気持ちが高まり、つい予算を超える物件を選んでしまい、背伸びしたローンを組んでしまうケースも見受けられます。そうなってしまう理由は、金融機関が提示する借入可能額は「借りられる最大限」であり、「返せる適正額」ではないからです。
将来にわたって安心して返済を続けるには、自分たちにとって無理のない返済額を導き出すことが重要であり、スタートとなります。記事内で紹介した年収ごとの目安や住宅ローンシミュレーションを活用しながら、今後のライフプランも含めて検討してみてください。
石倉博子 いしくらひろこ ファイナンシャルプランナー(1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP認定者)。“お金について無知であることはリスクとなる”という私自身の経験と信念から、子育て期間中にFP資格を取得。実生活における“お金の教養”の重要性を感じ、生活者目線で、分かりやすく伝えることを目的として記事を執筆中。ブログ「ファイナンシャルプランナーみかりこのお金の勉強をするブログ」も運営中! この著者の記事一覧はこちら

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