ペアローンは「高額・長期化」傾向に - 利用世帯の特徴は?

2025年5月22日(木)9時38分 マイナビニュース


三井住友信託銀行が設置している「三井住友トラスト・資産のミライ研究所」は5月21日、「ペアローン」についての調査結果を発表した。調査は2025年1月、全国の18〜69歳(ただし関連業種(金融、調査、マスコミ、広告)従事者を除く)11,435名を対象にインターネットで行われた。
○ペアローンの利用が増加
住宅ローンの借入形態には、1人で借りる「単独ローン」と夫婦やパートナーと2人で借りる「ペアローン」の2つの方法があるが、近年、不動産価格の高騰や共働き世帯の増加を背景に、ペアローンの利用が増加している。同社の調査でも、ペアローンの利用が高まっていることが分かっている。
○単独ローンとペアローン利用世帯、世帯属性の違いは
まず、就労状況について確認をしたところ、自身・配偶者ともに有職者のいわゆる"共働き世帯"の割合は、ペアローンでは85.9%と当然ながら高いものの、単独ローンでも58.8%と半数を超えており、共働きでありながら単独ローンを選択している世帯も少なくないことが分かった。
次に、住宅ローン借入時の年齢については、単独ローンもペアローンも30歳代での借入れが最も多く、半数を超えている。次に多い年代は、単独ローンでは40歳代(24.0%)、ペアローンでは20歳代(注:18〜29歳を指す)(28.8%)となっており、ペアローンの方が若い世代の利用が多いことが分かる。おそらく、「1人の収入では希望の物件に手が届かないけれども、2人の収入であれば手が届く」という理由でペアローンを利用するケースがあるものと考えられる。
さらに、「現在の世帯年収」と「住宅を購入した当時の保有金融資産額」については、分布に若干の差はあるものの、世帯年収は「700万円以上〜1,000万円未満」、住宅購入時の金融資産は「1万円以上500万円未満」の層がいずれも最も多くなっていた。
これらの結果から、ペアローン利用世帯は、単独ローン利用世帯に比べて、「共働き世帯の比率が高く」「比較的若い世代も利用している」、ただし、「世帯年収」や「住宅を購入した当時の保有金融資産額」については、大きな差はみられないことが分かる。
○ペアローンの借入額は、単独ローンの1.3倍
まず、金利形態については、単独ローンかペアローンかによらず、変動金利が約6割、固定金利が約3割、変動金利と固定金利の組み合わせが1割弱となっていた。ペアローンであれば、「一方は変動金利、もう一方は固定金利」と金利形態を組み合わせることも検討の余地があるように思われるが、それでもやはり「より利率の低い変動金利」を選択した人が多かったものと思われる。
また返済比率も、金融機関の審査基準に多い「3割くらい」までに収まっている割合が、単独ローンで92.8%、ペアローンで90.3%とほぼ同水準だった。ただしその内訳は、単独ローンが、「返済比率2割くらい(42.3%)>1割くらい(31.8%)>3割くらい(18.7%)」であるのに対し、ペアローンは、「2割くらい(43.8%)>3割くらい(23.7%)>1割くらい(22.8%)」と高い比率にやや偏りがみられた。
例えば、住宅金融支援機構の提供するフラット35の場合、すべての借入れに関して、年収に占める年間合計返済額の割合=「総返済負担率」が、年収400万円未満で30%以下、年収400万円以上で35%以下を満たしてる必要がある。
次に世帯年収を3つの区分に分けて借入金額の中央値を比較したところ、いずれの世帯年収区分においてもペアローンが単独ローンの約1.3倍となっていることが分かった。
その結果、「頭金割合」と「借入期間」には単独ローンとペアローンで差が生じている。住宅を購入した時の保有金融資産額の分布には大きな差がみられなかったものの、頭金ゼロ・1割の比率は、単独ローン61.9%、ペアローン70.0%と差が出ている。おそらく、頭金の"実額"自体は同程度であったとしても、借入金額が大きい(≒物件金額が大きい)分、頭金の"割合"としては小さくなっているものと思われる。
さらに顕著な差が出ているのが、借入期間である。いずれも「借入期間35年」の選択が最も多くなっているが、単独ローン50.4%、ペアローン57.9%とペアローンの方が多くなっている。また、35年未満の割合は、単独ローン47.1%、ペアローン34.2%と大きく異なり、ペアローンにおいては、 36年以上が7.9%にものぼった。
つまり、ペアローンの方が「より高額な物件」を「借入期間をより長期化させて」購入する傾向がみられた。

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