転職のかぎ握る職務経歴書の作成をAIがお手伝い...利用上の注意点は
2025年5月2日(金)11時0分 大手小町(読売新聞)
転職活動のとき、自分の職歴やスキルなどを記入した「職務経歴書」の提出を求められることがありますが、どのように記入すれば採用担当者にうまくアピールできるのか、頭を悩ませる人は少なくありません。いま転職業界では、生成AIを使って職務経歴書の書き方を指南する動きが広がっています。「自分のアピールポイントを整理できた」「キャリアを考えるのに役立った」などの声がありますが、生成AIを使う上で、どんな注意点があるのでしょうか。

人材サービス会社「Waris(ワリス)」(東京都千代田区)は4月から、「職務経歴書AI分析」のサービスを始めました。
自分で書いた職務経歴書を会員向けのマイページからPDF形式でアップロードすると、約1時間で返答があります。生成AIが職務経歴書を読み込んだうえで、採用担当者の目を引くようなスキルを列挙して箇条書きにしてくれるほか、「キャリアリスク(個人のキャリアにマイナスの影響を与える可能性のある点、例えば、スキル自体が時代遅れになっているなど)」についても分析し、どの部分を強調して記述すべきかなど、改善点を指南してくれます。
1日1回と利用回数に制限はありますが、Warisの登録会員に無料で提供し、年間3000人の利用を見込んでいます。

同社では昨年2月から1年間、試用版でサービスを提供してきましたが、期間中に職務経歴書を分析してもらった547人から、「AI相手なので変に臆することなく、自己PRやキャリアプランを考え直すことができた」「自己分析を深めたり、文章を練り直したりするのに役立った。心強いツールだ」といった声が寄せられたため、正式にサービスを提供することにしました。
ユーザー層として想定されているのは、転職経験やフリーランスでの仕事経験のある女性たち。「様々な職業経験をしているものの、自分のスキルとして一般化できない」「複数の経験を統合して、一つの強みとして言語化できない」「自分はたいした経験はしていないと思い込んでしまう」といった悩みを解決しつつ、企業から高く評価される職務経歴書を目指すとしています。
転職・求人サイト「doda(デューダ)」も昨年4月から、生成AIで職務内容を自動生成して、職務経歴書を作成する機能を搭載し、「職務経歴書の作成が最短たった1分で可能」とうたうサービスを始めました。
生成AIで作成された職務経歴書は、dodaのキャリアアドバイザーが添削。転職希望者一人ひとりの強みや、希望する業種や職種に沿った内容へと磨き上げることにしています。
Waris共同代表でキャリアコンサルタントの米倉史夏さんは、「AIの示す強みやリスクは、あくまで傾向の一つです。出力された内容にとらわれ過ぎず、自分で『そうかも』と思ったら深掘りし、『違うな』と思ったら違和感の理由を考えることが大事です」と話します。
その上で、「AIは構造的・論理的に職務経歴を整理してくれますが、どんな意思を持って長いキャリアを歩んできたのかというキャリアストーリーはご自身にしかわかりません。分析結果を参考にしつつ、ご自身の価値観や意思をぜひ加えてほしいです」とも説明しています。
職務経歴書は定期的にアップデートしていくと、転職活動の準備を効率的に進めることができると言われています。転職業界に登場した便利なツールを活用して、時々自身のキャリアの棚卸しをしてみるといいかもしれません。
(読売新聞メディア局 永原香代子)
【参考サイト】▽Waris▽doda