全身がフジツボや藻に覆われ、別の姿に変わり果てたウミガメの救出物語

2025年5月9日(金)12時0分 カラパイア


image credit: Faceboook @Gulf Center for Sea Turtle Research[https://www.facebook.com/seaturtlecenter/posts/pfbid02UMQ2v8bSbQmKWouQqtUPhAgQYzwMkAH9pdP1RScAZ2mQioTNaZxgBQ5UGi2wkGWsl]


 2025年4月初旬、アメリカのテキサス州で、ビーチを散歩していた家族は、砂浜に打ち上げられていた奇妙な物体を発見して自分たちの目を疑った。


 海藻とフジツボに覆われたその物体は、一見岩の塊のように見えた。だが近づいてよく見てみると、なんとそれは1匹のウミガメの変わり果てた姿だったのだ。


 ポケモンでいうところのナエトルが進化してハヤシガメになった感じだ。


全身を藻やフジツボに覆われていたウミガメが保護される


 ヒューストンの南に位置するサージェントの海岸を散歩していたある家族が、身体中を藻やフジツボに覆われて動けなくなっているウミガメを発見し、メキシコ湾ウミガメ研究センター(GCSTR)[https://www.tamug.edu/GulfCenterforSeaTurtleResearch/index.html]に連絡を取った。



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 GCSTRではすぐにチームを派遣してこのウミガメを保護。早速身体の周りについた異物の除去と、ウミガメの治療を開始した。


 このウミガメは目の周りを含む全身と、口の中などの軟組織がすべてフジツボに覆われていたという。


これらのウミガメは、しばしば付着生物(別の生物の表面に付着して生活する生物)とともに打ち上げられます。ウミガメが病気になると、付着生物に重く包まれ、動きが鈍くなり、水面に浮噛んでいる時間が長くなります


 身体を覆っていたのはフジツボだけではない。藻やカニ・エビの仲間、コケムシやエボシガイの仲間など、無脊椎動物がたくさん付着していて、自力では動けない状態だった。


 そのためGCSTRのスタッフは、ヒューストン動物園の獣医師とともに綿密な治療計画を立て、何日もかけてフジツボをすべて除去していった。



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丁寧な除去作業の結果、自力で泳げるように


 GCSTRの広報担当者によると、徹底的に取り除いて行った結果、ウミガメの状態は改善し始めており、「元気で餌も食べるようになり、体重も増えてきた」とのこと。


 まだ完全に危機を脱したわけではないものの、再び自力で泳げるようになったそうだ。このまま順調に回復すれば、海に帰る日も近いかもしれない。



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 このニュースを聞いた多くの人が、GCSTRに感謝のメッセージを送っている。


彼女を助けてくれてありがとう!
きっと辛かったでしょうね
すごい! 藻やフジツボにここまで覆われてしまうのに、どのくらいの時間がかかるんだろう
まだ答えを探している段階ですが、この個体がしばらく前から体調を崩していたことは確かです(GCSTRコメ)
このウミガメは何歳くらいなんですか?
おそらくはまだ若い個体で、十代くらいだと思います(GCSTRコメ)
かわいそうに。でも、皆さんはこのウミガメに奇跡的な、そして細心の注意を払った治療をしてくれました。このまま回復していくことを願っています。そして、皆さんのご尽力に感謝します
いつ海に返されるのかしら。その時はぜひ子供たちを連れて見に行きたいわ

 こちらがこのウミガメから除去されたフジツボの一部。カメに付着するフジツボの種類は、カメの種類や生息する環境によっても違いがあるらしい。


 今回除去されたこのフジツボは、どうやら「カメフジツボ(Chelonibia testudinaria)」と呼ばれる種類のようだ。



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 フジツボは船の底に付着すると、水の抵抗が増してスピードが落ち、故障の原因になったり燃費に影響が出たりするという。


 ましてや船に比べれば小さなウミガメの身体が、ここまでフジツボで覆われてしまった場合、どれだけ彼らの行動が制限されるのだろうか。


 下は顔面に貼りついていたフジツボを除去する前と後のビフォーアフター。本当に辛かっただろうね。



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テキサスのウミガメの保護を担う団体


 GCSTRはテキサス州のリゾート都市ガルベストンに本拠を置く保護施設で、ウミガメ個体群の回復と、ウミガメにとって重要な生息地の保護を主なミッションとして活動している。


GCSTRの使命は、分子レベルから個体群レベル、生態系レベルまで、あらゆる組織レベルで研究活動を促進し、最終的にウミガメの個体群の回復につなげることです


 さらにメキシコ湾全域のウミガメを専門とする研究者の連携を促すためのコンソーシアムを設立。将来のウミガメ研究者の育成にも力を注いでいるそうだ。


 彼らは定期的に海岸沿いをパトロールし、ウミガメの巣を発見して保全したり、今回のように傷ついたウミガメの保護・治療を行っている。


 また、ボランティアや子供たちと一緒にビーチの清掃を行って、ウミガメについて学んでもらう機会を設けたりといった活動もしているとのこと。


 彼らの活動はFacebook[https://www.facebook.com/seaturtlecenter]のほか、Instagram[https://www.instagram.com/gulfcenterforseaturtleresearch/]でも紹介されているので、興味のある人はぜひ見に行ってみよう。


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