世帯所得が低い世帯の乳児、体重増加不良が1.3倍に

2018年5月10日(木)12時45分 リセマム

世帯所得と乳児の生後18か月の体重増加不良との関連

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世帯所得が低い世帯の乳児は体重増加不良が1.3倍高いことが、北里大学が発表した調査結果より明らかになった。2018年5月1日にスイスのオンライン学術誌「Frontiers in Pediatrics」に論文が掲載されている。

 全国の5万5,783人の乳児を対象に、親の所得や学歴といった社会経済状況と体重増加不良との関連を分析した。

 乳幼児が月齢や性別からの期待値に沿って発育しない「体重増加不良」は、貧困と関連しておきやすいことが指摘されている。子どもへの社会保障が手厚いイギリスやデンマークの研究では、親の社会経済状況とその児の体重増加不良との間に関連は示されていないが、子育て世帯への社会保障が比較的少ない日本では、貧困が体重増加不良に影響している可能性が考えられる。

 そこで、北里大学医学部公衆衛生学の可知悠子氏らは、厚生労働省が全国規模で実施している「21世紀出生児縦断調査」に参加した平成13年生まれの乳児3万4,594人と平成22年生まれの乳児2万1,189人を対象に、親の社会経済状況によって生後18か月までに体重増加不良になる割合が異なるかどうかを調べた。

 調査の結果、世帯所得が上位4分の1の世帯と比べ、下位4分の1の世帯では体重増加不良に陥る割合が1.3倍高いことがわかった。この傾向は、平成13年と22年生まれの乳児の両方でみられた。

 また、親の学歴別に体重増加不良になる割合を比較したところ、平成13年生まれの乳児のみ、両親が高校卒の場合では、大学卒以上と比較して体重増加不良になる割合が1.1〜1.2倍高かった。しかし、この傾向は平成22年生まれの乳児ではみられなかった。

 北里大学医学部公衆衛生学の可知悠子氏らは「乳児の体重増加不良を予防するために、親への経済支援が必要と考えられる」として、「子どもへの社会保障を増やすこと」「低所得家庭への食料支援」「妊娠から子育てまでの切れ目ない支援によるネグレクトの予防」を対策案としてあげている。

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