遺族年金月額7万円。<年金なんて>とバカにしていた元クラブ勤務・82歳女性の無念。「本当に掛けておけばよかった。がん保険も入っていれば…」
2025年5月16日(金)12時30分 婦人公論.jp
(写真提供:Photo AC)
人生100年時代といわれるなか、「年金だけで暮らせるのだろうか…」と経済的な不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。そのようななか、登録者数11万人超えの人気YouTubeチャンネル『梅子の年金トーク!』を運営している梅子さんは、人には聞けない年金額、年金生活のリアルを、街角の年金受給者にインタビューして発信しています。そこで今回は、『梅子の年金トーク!』を書籍化した著書『聞くのがこわい年金の話 ─ 年金、いくらですか?』より一部を抜粋してお届けします。
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年金なんてバカにしていた 元クラブ勤務82歳女性の無念
年齢:82歳
性別:女性
職業:無職
家族:独身(死別)
以前の職業:クラブ勤務
年金月額:7万円(夫の遺族年金、本人は0)
82歳です。仕事はしとったけど、私、全然掛けてなかったんよ。若いときは、年金なんてバカにして。掛けてなかったから、自分の年金はないの。去年、主人が亡くなったから、あれ、主人の遺族年金をもらってるの。主人は船関係の仕事をしとったんよ。
まだ2回くらいもらっただけよ。2回は確認したけど、あとは放っておいてる。二カ月で15万円くらいあったかなぁ。そうすると一カ月7万円じゃろ。
扶養っていうのもよくわからん。夜働いとったから。クラブに勤めてたの。経営者じゃないよ。勤めで働いてた。二人で働いて、それを置いとったから、それをいま砕いてね。あんまり長生きしたらのうなるけど。年金だけじゃ全然食べられんもん。
「年金はバカにしたらいけんよ」
60歳までクラブで働いてたけど、体を壊した。タバコを吸ってたから肺がんになった。いまも病院に行ってきたばかりよ。お酒とタバコが原因。職業がらよね。
年金は掛けておいたほうがいいね。掛けんかったら私みたいにバチが当たるもん。本当に掛けておけばよかったと思ってる。私が20代の頃は、確か300円くらいだったもん。一番安くていいときだったはず。残念です。少し昼働いてたから一年ちょっとはあるんだけど、年数が足りなすぎて何もならない。
『聞くのがこわい年金の話 ─ 年金、いくらですか?』(著:梅子の年金トーク!/興陽館)
昼の仕事を辞めて、クラブで働き始めてから、友達が「年金掛けよう、掛けよう」って誘ってきたけど「いいや。いい、いい」っていってしまったね。年金のことなんて、頭になかったもんでね。私くらいの年の、80歳より上の人間は、年金を掛けとったら、しっかりもらえたんだ。年金はバカにしたらいけんよ。
肺がんもね、一回切ったんだけど、また再発しよったんよ。3年前に切ったんだったっけな。すぐ再発して。がん保険も入ってなかったね。がん保険も入っておけばよかった。これも安かったんよ。200円から300円くらいだった。でも、バカにするやろ。若い頃は自分が元気がいいから。保険に入っとったらまとまった金額がもらえたのに。
インタビュー後のアフタートーク!
現在の制度では、20歳以上の人は年金への加入は強制ですが、いわゆる「サラリーマンに扶養されている配偶者で20 歳以上60歳未満の方」については、昭和36年4月〜昭和61年3月まで、国民年金への加入は任意だった時代がありました。
そのため、年金に加入していない無年金者の方は、意外と存在するんです。
(写真提供:Photo AC)
年金制度では、無年金者をなくすため、任意加入制度というものを設けています。任意加入制度とは、60歳までに老齢基礎年金(いわゆる国民年金)の受給資格を満たしていない場合や40年の納付済み期間がない場合でも、年金額の増額を希望するときには、60歳以降でも国民年金に任意加入できる制度のことです。任意加入できる上限の年齢は65歳未満(受給資格を満たさない場合は70歳未満)になります。
国民年金の加入期間が一年増えると、年金は年に約2万円増えます。国民年金保険料の金額は令和7年度から一カ月あたり1万7510円なので、一年間任意加入をした場合、21万120円という額を支払うことになります。そんなに払って2万円しか増えないのかと思うかもしれません。
この数字だけ聞くと、任意加入のお得感はあまり感じないかもしれませんが、約10 年間で元がとれる計算なので、私は60歳になったら任意加入をして受給額を増やしたいなと思っています。
付加年金に加入することもおすすめ
私と同じように、任意加入を考えている方には、一緒に付加年金に加入することもおすすめです。
付加年金とは、国民年金に加入している方を対象とした年金の上乗せ制度のことをいいます。国民年金保険料に月に400円を上乗せして支払うと、受けとれる年金の額が増えるという仕組みです。増額される年金額は「納付月数×200円」です。
たとえば60歳から65歳になるまでの5年間付加年金に加入すると、5年間で2万4000円の支払いで、年金が年額1万2000円増えることになります。つまり2年で元がとれるわけです。ものすごくお得な制度ですよね。
年金は一生涯受けとれるお金です。もし、まだ受給前で、何かしらの対策ができるのであれば、任意加入や付加年金を検討してみてください。
年金格言 国民年金保険料にプラスする付加年金は2年で元が取れてお得。
※本稿は、『聞くのがこわい年金の話 ─ 年金、いくらですか?』(興陽館)の一部を再編集したものです。
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