餌代0円でまさかの高級魚が…!? 富山湾で採取した「ホタルイカ」を使った“超シンプル釣り”の釣果がヤバかった《1投1匹で釣れるお祭り状態》
2025年5月17日(土)7時10分 文春オンライン
〈 《釣行ルポ》プリッと弾けて濃厚な肝が溢れる…富山湾の風物詩「身投げ」で採取した“ホタルイカ”がとんでもない美味さだった 〉から続く
身投げするホタルイカをすくい、贅沢に味わい尽くした様子をレポートした 前編 に続き、今回はホタルイカを“餌”にした釣りに挑戦していく。
ホタルイカを釣り餌にしてみると何が釣れるのか検証してみると…
まずは、新潟県との県境付近まで北上する。この時期の海岸には遊泳力のないホタルイカが簡単に捕食できるため、浅瀬にも大きな魚が接岸するそうだ。つまりホタルイカシーズンは大物を狙う最大のチャンスでもある。採取したホタルイカだけでは心もとなかったので途中、スーパーで買い足して盤石な体制で釣りに挑む。

釣り場は沖に日本海の荒波を打ち消すテトラポッドが積まれた砂利浜を選んだ。テトラポッドは人工的な漁礁で、特にハタ類など根魚のかっこうの住処としても機能している。港や開けた砂浜より魚のストック量は多いはずだ。
大きな針にホタルイカを1匹丸々引っかけて明るいうちから投げ込んでアタリを待つ。
すると間髪入れずに竿が海に引きずられそうなほど大きなアタリがでた。慌ててアワセを入れると力強い強烈な引きをみせる。間違いなく大物と確信し、慎重に引き寄せるとお腹がパンパンに膨れたクロダイが釣りあがった。
ホタルイカを求めて浅瀬を回遊していたのだろう。続く2投目も即座にアタリがでてずっしりと肥えたクロダイが姿を見せる。
日が暮れるまでの1時間で6回アタリがあり、4匹ものクロダイが釣れた。
目を離す隙がない、まさに入れ食い状態であった。ホタルイカが湧く時間ではなかったものの、連日流れ着くイカの残像を追っているのだろう。クロダイをはじめ、春に産卵を迎える魚は多く、荒食いが必要なシーズンでもある。この時期にホタルイカが与える生態系への恩恵はあまりにも大きい。
暗くなると今度はカサゴやムラソイの活性が上がり、1投1匹で釣れるお祭り状態。
ホタルイカパターン恐るべし……。
竿をぶちまげる日本海の高級魚が…!
沖のテトラポット付近まで仕掛けを遠投していると、カサゴのアタリが多いなかでひときわ大きなアタリがでた。クロダイほどの重量感はないが、明らかな強い抵抗を見せる。これは……?
ついにキジハタが釣れた! オレンジ色の鮮やかな体色が特徴的で日本海側では代表的な高級魚。タダで手に入る餌にしては十分すぎる釣果となった。みんな大好きホタルイカ。富山湾を訪れ、ホタルイカの神秘を目の当たりにし、そして釣りの面でも発見の多い遠征であった。
まだまだホタルイカを堪能…
シーズン中は海が荒れていない限り、多種多様な魚類がスーパーや道の駅で売られているため手ぶらで帰る心配はない。
他にも日本海の幸が驚きの価格で販売されているので、スーパー巡りは観光のルーティーンに組み込みたいところ。
また富山県魚津市では生で食べるにはハードルの高いホタルイカのお刺身を提供しているお店がある。その一つである「源助」に立ち寄り、富山湾の幸を存分にいただいた。
鮮度の高いホタルイカのお造りはコリコリした歯切れのいい食感。身に爽やかな香りやほのかな甘さがあって小さくても個性的な食味を持ち合わせている。
また、今や超がつくほど高級食材となったシロエビのお刺身は、ステータスが甘さに全振りしたような突き抜けた甘味が味わえる。
私の個人的なおすすめは何といってもマアジ。石川県もそうだが北陸の沖で獲れたマアジは太平洋側ではめったにお目にかかれないほど高い脂質を有しており、上品な脂の美味さが特徴でぜひ味わっていただきたい。
富山湾の幸を獲って釣って味わい尽くす! 週末の旅行先に富山を選んでみてはどうか。
写真=ぬこまた釣査団(大西)
(ぬこまた釣査団(大西))