青木さやか「珍しく一日中家にいた。最後は即興でピアノを弾いて娘とハモって歌う。少しだけ尊敬される瞬間」
2024年5月27日(月)12時0分 婦人公論.jp
(写真提供◎青木さん 以下すべて)
お笑いの仕事だけでなく、女優、エッセイストとしても忙しい日々を送る青木さん。今回は「娘の母でドライバーでたまにピアノ伴奏者として」を綴ります。
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昼からネコと寝られるのは最高
5月の半ば、一日中家にいた珍しい日。
わたしは一日外出しないLINE日は、一年に数回しかない。毎日仕事ってことではないけど、どこかへ出かける性分なのだ。スーパーとか、コンビニとか、どこでもいいのだけど。
朝、娘を送り出して、すぐにモノは溜まっていくものだ、とフリマに出すもの、処分するものをわけたりして、30分ほど経つとベッドに横になると、白いネコが寄ってきて傍で寝始めた。昼からネコと寝られるのは最高だ。すると、もう1匹のハチワレネコがやってきて、白いネコとわたしの間に入ろうとしてきた。必ず、ハチワレネコは間に入るのだが、わたしと白いネコの間に隙間がなかったものだから、ハチワレネコはわたしの顔の上にドスンと寝転んだ。
顔の半分にネコが乗っていた。
ベッドでわたしと一緒にくつろぐクティとシティ
夏場の家での過ごし方など考えたり
ベッド傍の窓は網戸にしてあって、いい風が入ってきた。5月は、まだ涼しい風。西向きのリビングは夏が思いやられる。
あまりにも暑いので、昨年遮光カーテンかすだれか、それとも二重窓か、なにか対策はないものか、いくらくらいかかって、どれくらいで設置してもらえるものなのか、と調べていたら夏が終わった。今年の夏だって、きっと暑いだろう。みんな、家で夏場どうやって過ごしているのか。もしかしたら夏場は北向きの部屋に避難しているとか?
そんなことを考えながら、少し眠ったり、キャベツとベーコンのスープを作って食べたり、ネコに「また寝ているのか」と喋りかけたりしていると、あっという間に夕方。
娘から駅まで迎えにきてほしい、とLINEがありお迎えに。わたしは母でもあるがドライバーでもある。お客様である娘は、時には口も聞かず、時にはAirPodsを耳につけたまま、時には学校のことをぽつりぽつりと、時には歌いながら盛り上がる。
本連載から生まれた青木さんの著書『母』
娘は、わたしのピアノ伴奏で歌うのが好き
今日は「歌おう!」の気分のようだ。
歌はHave You Ever Seen The Rain
帰宅すると、久しぶりに家の中心を陣取りピアノの蓋をあけた。娘は、わたしのピアノ伴奏で歌うのが好きだ。わたしは、一度聴いたことのある曲は、即弾けるという特技を持っている。それは凄い!と驚かれるが、特に披露の場はなくここまできた。しかし、娘とのコミュニケーションには役立ったいる。弾きながら、自由自在にハモることもできる、わたし。娘はピアノを弾いているわたしに対しては、若干の尊敬を持っている気がする。
西向きの窓からは綺麗な夕日。赤く染まってきた。気分が大きくなり、網戸にし、世界中に聴こえるような声で、わたしたちはハモりはじめた。
I wanna know, have you ever seen the rain?
今日は、いい一日になった。