《足裏が痛い》「足底腱膜炎」は放置厳禁!かかとの骨が変形する場合も…対処法&予防法は?
2025年5月29日(木)11時0分 女性自身
一瞬だけど、我慢するにはつらいかかとのズキンとした痛み。身に覚えがある人はすぐに対策をしたほうがよい。看過すれば、最悪、歩くのが難しくなることも——。
「半年ほど前から、かかとに『ズキン』と強い痛みを感じるようになりました。以前は、歩くうちに痛みが気にならなくなったのですが……。最近では、たくさん歩いたときには症状が悪化し、痛いほうの足を引きずって歩くのがやっと。寝起きに一歩踏み出したとき、いちばん痛みを感じます」
都内のクリニックを受診した40代のA子さんは、足の裏の不調をこう語る。
これは、特に更年期の女性に多く見られる“足底腱膜炎(筋膜炎)”と呼ばれる足の疾患だ。足底腱膜炎の患者を日々診療しているという、ゆりクリニック院長の矢吹有里先生に話を伺った。
「足底腱膜炎は、40代以上の女性に多い疾患です。かかとの骨から足の指の付け根にかけて張り巡らされている『足底腱膜』に炎症が起きることで発症します。
かかとや足底が地面に着き、炎症の起きている足底腱膜が伸びると、ズキンと痛みが走るのです」
痛みは足底腱膜と骨がくっついている箇所で起こる。具体的には、「足裏のかかとの真ん中」や「土踏まず」だ。特に朝起きたときや、長時間座っていた後の“最初の1歩”で鋭い痛みを感じる場合は、足底腱膜炎の可能性を疑ったほうがいいという。
【こんな症状が出たら足底腱膜炎(筋膜炎)かも】
・かかとに体重がかかるとズキンと痛む
・じっとしているときには痛みがない
・更年期を過ぎてから症状が出るようになった
・朝起きて初めに歩くときや、長時間座っていた後歩くときに症状が出る
・歩いているとだんだん痛みがなくなる
では、なぜ更年期ごろの女性の発症が多いのか。
「更年期に入りエストロゲンが急激に減ると、筋力低下が起こり、関節を支え骨をつなぐ靭帯や腱がゆるみ、足の骨格がゆがみます。そうすると土踏まずのアーチが崩れて、足裏で衝撃を吸収しづらくなる。その結果、足底腱膜に負担がかかって炎症が起きるのです」(矢吹先生、以下同)
更年期女性の中でも、扁平足の人やハイヒールを履く機会を重ねてきた人は要注意。
「積み上げてきた足への負担が、痛みの進行を早めます」と先生も警鐘を鳴らす。
女性ホルモンの低下以外にも、底が硬い革靴を履く、激しいスポーツで足を酷使、体重増加、柔軟性不足なども足底腱膜炎を発症する原因であることがわかっている。
さらに症状が進行すると、足底腱膜に骨が引っ張られて変形し、かかとの骨にとげができるほど重症化。冒頭のA子さんのように放置すると、歩行困難に陥ることもある。「たまに起きる痛みだから」と、決して侮らないことだ。
■素足でフローリングを歩くのも、足のアーチが崩れる原因に
歩行はQOLに大きくかかわるため、痛みが起きる前にぜひ対策をしておきたいところ。
そこで、おすすめの体操を矢吹先生に教えてもらった。足底筋膜体操は、実際に矢吹先生のクリニックで指導されているものだ。痛みが起きる前の予防はもちろん、既に痛みが出ているときの改善策としても有効だ。
一つ目の「タオルギャザー」は、土踏まずのアーチバランスを改善する効果があり、足裏にかかる荷重の軽減が期待できる。
二つ目の「足底腱膜の曲げ伸ばし」は、足裏をしっかりと伸ばすことで血流が改善され、炎症を抑える効果が期待できる。地道に続けることで炎症が収まり、症状がよくなる実感を得られるだろう。
ソックスやインソールの活用も、痛みの予防・改善につながる。
「更年期世代は足のアーチが崩れやすいので、フローリングなどの硬い床の上は靴下やスリッパを履いて刺激を和らげたほうがいいですね。痛みがあるときは、外出時、インソールを使うのも有効です」
それでもかかとに痛みを感じたら、整形外科を受診しよう。炎症を抑えるステロイド注射、医師の診断に基づき患者に合ったインソールをオーダーメードでつくるインソール療法、衝撃を与えて痛みを緩和させる体外衝撃波治療、リハビリの4つが主な治療法だ。
「インソール療法は医師が必要と判断したとき、体外衝撃波治療は“難治性足底腱膜炎”という病名がついた場合に限りですが、どちらも保険適用で治療できます」
根本治療としていちばん効果があるのはリハビリ療法だという。
「リハビリでは足裏の負担を減らすための根本的な体の使い方を指導し、数カ月かけて治療します。時間は要しますが、ほとんどの例で改善がみられます。それほど、改善効果は大きいです」
足底腱膜炎は、更年期が終わったからといって自然に治るものではない。自分の足で一生歩くためにも、症状が出た場合は一刻も早く整形外科を受診しよう。