"部下の世話係"から抜けられない上司が、無意識にしている会話

2025年5月30日(金)7時0分 マイナビニュース


この記事では、2万人以上のリーダーと向き合ってきたエグゼクティブコーチが、現場で使える超実践的なメソッドを紹介する『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(林健太郎/明日香出版社)から一部を抜粋してご紹介。今回のテーマは「チームがまとまるリーダーは静かに待ち、バラバラのリーダーはすぐに教える。」
○チームがまとまるリーダーは静かに待ち、バラバラのリーダーはすぐに教える。
最も短時間で済むのは、「指示・命令」。次に速いのが、やり方を教える「ティーチング」方式。その次が、本人にやり方を考えさせ、必要なら助言する「メンタリング」方式。本人に答えを出させるコーチングは1番時間がかかります。
しかし長いスパンで見ると、やり方を教える「ティーチング」は時短どころか、上司の時間を奪います。新人ならともかく、2年目や3年目の部下にもいつまでも懇切丁寧に答えを教えていたら、上司は「世話係」から抜けられなくなるのです。
そんな上司は、部下から見ると、言葉は悪いですが「ちょろい上司」です。
たとえば、次のようなことが起こります。
部下:Aさんは必要経費の提出がいつも遅くて、2回催促しないといけないんです。
上司:そうか、それは手間だね。どうしてかな。本人に理由は聞いてる?
部下:いえ、聞いてないです。
上司:何かあるのかもしれないよ。フォーマットが書きづらいとか、提出時期がちょうど忙しいタイミングだとか。事情がわかれば、対策もわかるかも。
部下:はあ……。
上司:いや、「はあ」じゃなくて……いいよ、私が聞いとく。
上司は自分の仕事を増やし、部下はそんな上司に依存しています。自分で考えなくても上司がなんとかしてくれる、と思っているのです。
では、自分で考えさせるにはどうすればよいでしょうか。次は成功パターンを見てみましょう。
部下:Aさんは必要経費の提出がいつも遅くて、2回催促しないといけないんです。
上司:そうなんだ。もう少し詳しく聞かせてくれる?
部下:毎月、期限の10日前に一斉メールで「7日後までに」と早めの期限を伝えるんです。みんなは7日以内に送ってくれるんですが、Aさんだけダメで。
上司:というと?
部下:1回言っても出さない、2回言ってやっと出す、という調子で、困っちゃって。
上司:そうなんだね。ほかにもある?
部下:言い訳が多いです。『フォーマットが難しくて』とか。
上司:ほう、そうなんだね。だとしたら……?
部下:えーと……どうなんでしょう、あのフォーマット、難しいんでしょうか? どこが書きづらいか彼女に聞いて、簡易版を作ろうかな。みんなも喜ぶかも。
上司:うん、そのアイデアいいね!
部下:ありがとうございます。相談してよかったです!
今回、上司は答えを一切言っていません。その代わり、「合いの手」を入れています。「もう少し詳しく」「というと?」「そうなんだね」「ほかには?」「だとしたら?」と。
「もう少し詳しく」は、はじまりの言葉も兼ねた合いの手です。「そうなんだね」は、聞いているよ、という承認。相手が話しやすくなる効果があります。
「というと?」「ほかには?」「だとしたら?」は、相手が考えるきっかけを作ります。
部下の相談に乗るときは、これらを使って会話してみましょう。並行して、時間をかけて自律を促す働きかけもしましょう。ティーチング→メンタリング→コーチングと段階を追って、少しずつ手を放すのです。
メンタリングやコーチングは、1回ごとの所要時間こそ長いですが、その目的は部下の成長と自律です。自律すれば、上司は仕事を完全に任せられます。
長い目で見たとき、本当の時短になるよう、対話という投資をはじめましょう。
○『チームが「まとまるリーダー」と「バラバラのリーダー」の習慣』(林健太郎/明日香出版社)
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